日本の製薬業界は、今後5年間で大きな転換点を迎えると予測されています。内資系製薬企業TOP10の売上は、2025年の約12.3兆円から2030年には約14兆円へと成長する見込みです。年平均成長率はおよそ2.6%と緩やかですが、第一三共や塩野義製薬のように高成長を遂げる企業も登場しています。とくに塩野義製薬は新型コロナ関連製品と抗ウイルス薬分野の強みを活かし、年平均成長率11.7%と驚異的な伸びが予想されています。

一方で外資系製薬企業TOP10は、2025年の約2.4兆円から2030年には約3兆円まで拡大し、年平均成長率は4.6%と内資系を上回ります。アストラゼネカやイーライリリーなどが牽引し、がん、自己免疫疾患、糖尿病・肥満領域での新薬が成長ドライバーとなっています。とくにアストラゼネカは9.1%という高成長を見込まれ、外資系の中で存在感を一層高めるでしょう。

このように内資と外資では戦略が大きく異なります。内資系は規模の優位性を維持しつつも、薬価制度改革や研究開発費の増大といった国内市場特有の課題に直面しています。そのため、グローバル展開とイノベーションによる競争力強化が不可欠です。一方、外資系はスペシャリティ医薬品への注力とグローバル戦略を武器に、着実にシェアを伸ばしています。

今後、日本の製薬業界は国内外問わず、革新と選択と集中が一層問われる時代に突入すると言えるでしょう。