競争市場において、競争地位(Competitive Position)および競争優位性(Competitive Advantage)は企業の成功を左右する重要な要素です。特に現在の市場縮小期には、これらの要素に注目することが一層重要となります。

1. 市場縮小期における競争地位の重要性

市場が縮小する時期には、企業が限られた市場シェアを維持または拡大することが難しくなります。このため、競争地位の評価と強化が不可欠です。

  1. リソースの最適化

縮小市場では、限られたリソースを最も効果的に配分する必要があります。

  • 戦略的意思決定の支援

競争地位を把握することで、取るべき戦略を明確にすることができます。

  • 競合の動向予測

競合他社の動向を予測し、適切な対応策を講じることができます。

2. 市場縮小期における競争優位性の重要性

競争優位性は、企業が競合他社に対して持つ独自の強みです。市場縮小期には、この競争優位性を最大限に活用することが生き残りの鍵となります。

  1. 顧客維持

新規顧客の獲得が難しくなるため、既存顧客を維持することが重要です。

  • 差別化戦略の実行

競合他社と差別化された価値を提供することで、価格競争から抜け出すことができます。

  1. 新市場への展開

競争優位性を活かし新しい市場に展開することで、リスクを分散させることができます。

競争地位の指標

競争地位を評価するための主要な指標には以下のものがあります。

  1. 市場シェア

市場シェアが高いほど、その市場での競争地位が強いとされます。

  • 売上高

高い売上高は、競争力の強さを示す一つの指標です。

  • ブランド認知度

高いブランド認知度は、強い競争地位を示します。

  • 顧客ベース

多くの忠実な顧客を持つ企業は、強い競争地位を持っています。

競争優位性の指標

競争優位性を評価するための主要な指標には以下のものがあります。

  1. 製品の品質

高品質な製品は、競争優位性の一つとなります。

  • コスト優位性

コストリーダーシップは競争優位性の一つです。

  • 技術革新

先進的な技術や独自の技術は強い競争優位性をもたらします。

  • 顧客サービス

優れた顧客サービスは、競争優位性を強化します。

  • 高いシェア値

市場シェアが高いことは、企業が顧客からの信頼と選好を得ていることを示し、強い競争優位性を意味します。

まとめ

市場縮小期においては、企業が持つ競争地位および競争優位性を的確に評価し、適切な戦略を講じることが重要です。これにより、限られたリソースを最も効果的に活用し、厳しい競争環境での生き残りと成長を実現することが可能となります。特に高いシェア値を維持することは、競争優位性を示す重要な指標となり、市場縮小期における成功の指標となります。

小池氏の2020年の得票率は60%にも及び、新規市場参加者は、既に絶対的な市場支配者が存在する非常に厳しい市場に参入するということを強く認識する必要があります。多くの都民は小池氏を支持しており、安易な批判は支持者を批判することにつながるリスクがあります。

そのため、他の候補者は、小池氏の任期中に明らかに支持率が低下するような要因がない限り、あからさまな批判は避けつつ、積み残しの課題点とこれまで取り上げられていなかった新しい着眼点の課題解決を提案するニッチ戦略が有効です。

マトリクス分析のAaフレームにおいて、最もシェア値が高い開票所は足立区の65.38%、次いで江戸川区の65.19%です。反対に最も低い開票所は杉並区の52.66%、次いで目黒区の53.08%、そして60%を下回りかつ最も全体の投票数が大きいのは世田谷区の54.69%でした。

いずれの開票所においても小池氏は絶対的な強者であり、安定値に到達しているため、切り崩しは困難ですが、相対的には杉並区、目黒区、世田谷区での票獲得は実現可能性が高いと考えられます。

また、2020年と2024年の開票所別得票率の相関は89%と非常に高く、小池氏の確固たる基盤が築かれているものと思われます。相関から外れるのは奥多摩町、利島村、新島村、神津島村、八丈町、青ヶ島村、小笠原村であり、ここからも強者の特徴がみられます。

これらの開票所は、都市部と比較して投票者数が少なく、東京の中心部から離れており、アクセスが困難な場合が多いです。また島嶼部や山間部という地理的特性があり、住民の生活やニーズが都市部とは異なるため、選挙での関心事や争点が異なる場合があります。また地理的な制約や地方特有の問題(例えば、交通インフラ、医療サービス、観光業など)が選挙の主要な争点となりやすく、候補者がこれらの問題に対する具体的な解決策を提示する必要があるなど強者が避ける傾向にあります。

このように、新規参入で実績がない場合においても、過去のデータからターゲットと競争優位性を分析することで無駄な消耗戦を避け、成功確率を高めることができます。

「東京都知事選挙結果分析: 得票率から見る競争地位と競争優位性の重要性」

得票数と得票率の違い、特に競争地位と競争優位性を理解するためにどちらが重要でしょうか?

得票数とは

得票数は、各候補者が実際に獲得した票の数を示します。これは一見して、どの候補者がどれだけ多くの支持を得たかを知るために役立ちます。しかし、得票数だけでは、全体の選挙結果における各候補者の相対的な強さや位置づけを正確に把握することは出来ません。

得票率とは

得票率は、各候補者が全体の投票数に対して獲得した票の割合を示します。これは候補者の支持の相対的な強さを示す重要な指標です。具体的には、得票率を用いることで以下の点が明確になります。

  1. 競争地位の把握:
    • 得票率を用いることで、各候補者の相対的な支持の強さを比較できます。例えば、得票数が多い候補者がいる場合でも、得票率が低ければ、その支持基盤が他の候補者と比べてどの程度広がっているのかを把握することができます。
  2. 競争優位性の評価:
    • 得票率は、候補者の競争優位性を評価するための重要な指標です。例えば、得票率が高い候補者は、限られた資源を効率的に活用し、他の候補者よりも効果的に支持を集めることができたことを示します。

図の説明

添付の図は、2024年の東京都知事選の結果を示しています。左側の棒グラフは得票数を示し、右側のパイチャートは得票率を示しています。このパイチャートを見ると、各候補者の得票率が一目でわかり、誰が相対的にどれだけ支持を得たかが明確になります。

例えば、42.8%の得票率を持つ候補者は、全体の票のほぼ半分を獲得しており、他の候補者に対して大きな優位性を持っています。これに対して、得票数だけを見ると、どの候補者が競争地位や優位性を持っているかを理解するのは困難です。

各メディアが今回の選挙結果を総括していますが、得票数を元に議論を行っているため、競争優位性を定量化できず、客観性に欠ける個人的な感覚による定性情報にとどまっています。

昨日の東京都知事選は現職圧倒的勝利で幕を閉じました。2位の候補を射程距離圏外に突き放す圧倒的な差です。投票結果からは一強多敗、勝者総どりのベキ分布が見て取れます。昨今では情報通信技術が大きく進歩し、様々な業種業界、事例で従来の正規分布型競争市場からベキ分布型競争市場へと転換しています。

情報の非対称性の減少: 情報通信技術の進歩により、情報が広範囲かつ迅速に共有されるようになりました。これにより、候補者や製品に関する情報が一部の人だけでなく、広く一般に行き渡るようになりました。この結果、特定の候補者や製品に対する支持が集中しやすくなります。

  1. ネットワーク効果: インターネットやソーシャルメディアの発展により、ネットワーク効果が強まっています。例えば、ある候補者が多くの支持を得ると、その候補者への支持がさらに増えやすくなります。これは人気が人気を呼ぶ現象で、特定の候補者や製品に支持が集中する原因の一つです。
  2. プラットフォームの影響力: GoogleやFacebook、Twitterなどのプラットフォームが情報の拡散や共有に大きな役割を果たしています。これらのプラットフォームはアルゴリズムを使ってユーザーに情報を提供しますが、このアルゴリズムが特定の候補者や製品に対する情報を強調することがあり、それが支持の集中を招きます。

ベキ分布型競争市場

ベキ分布とは、一部の要素が全体の大部分を占める分布のことを指します。例えば、都市の人口分布や企業の売上分布などが典型的なベキ分布の例です。

  1. 少数の支配者と多数の敗者: ベキ分布型の市場では、少数のプレーヤー(候補者や企業)が大部分のリソース(支持や売上)を獲得し、多数のプレーヤーが残りを分け合います。これは得票数や売上のグラフにおいて、一部のプレーヤーが圧倒的なシェアを占める形で表れます。
  2. 参入障壁の高さ: ベキ分布型市場では、トップのプレーヤーが圧倒的なリソースを持つため、新規参入者が競争に参加するのが難しくなります。これは現職の強い候補者が圧倒的な支持を受ける状況に似ています。
  3. フィードバックループ: 成功がさらなる成功を生むというフィードバックループが存在します。これにより、初期の成功が次第に拡大し、トップのプレーヤーがますます強くなります。

東京都知事選の場合

東京都知事選の場合も、現職が圧倒的な支持を受けるのは以下のような要因が考えられます。

  • 認知度の高さ: 現職は既に広く知られており、その知名度が支持の集中を招いています。
  • 実績の評価: 現職の過去の実績が支持を集める一因となっています。
  • メディア露出: 現職はメディアでの露出が多く、これがさらなる支持を引き寄せています。

これらの要因が組み合わさることで、現職の候補者が圧倒的な支持を受け、他の候補者が大きく引き離される結果となっています。情報通信技術の進歩により、これらの傾向がますます強まることが予想されます。

セミナーのご案内

このたび、株式会社R&D支援センター様のご企画で、光栄にも登壇の機会をいただきました。感謝の気持ちを込めて、特別なご案内です。

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皆様のご参加を心よりお待ちしております。

「ASCDAPモデルによるヘルスケア領域での治療受動行動の探求」

ヘルスケア領域における治療受動行動は、消費財ビジネスとは異なる独自の購買行動プロセスを持っています。AIDMAに代表される購買行動のプロセスは、消費財ビジネスなどの、顧客がニーズを自覚していない段階からスタートします。一方で、医療や医薬品の場合には、疾患や自覚症状が先行して存在するために、ニーズの前にウオンツが明確です。ASCDAPモデルを用いて、患者の治療受動行動のプロセスを探求してみましょう。

Awareness(認識):
治療受動行動のプロセスは、最初に疾患や健康上の問題を認識する段階から始まります。患者は自覚症状や健康問題を経験し、それが医療ケアを必要とすることを認識します。この段階では、患者は病状や治療方法について情報を収集し始めることが一般的です。

Search(探索):
患者が健康問題を認識すると、次に治療や医療ケアの選択肢を探索します。医師や専門家の意見を求め、さまざまな治療法や医療機関を調査し比較します。また、オンラインでの情報収集や同様の症状を持つ他の患者の体験談を参考にすることもあります。

Comparison(比較):
治療受動行動のプロセスでは、患者が複数の治療法や医療機関を比較し、それぞれの選択肢の利点や欠点を考慮します。この段階では、治療法や医療機関の選択に関する意思決定がさらに深化します。

Decision(決定):
比較段階を経て、患者は最適な治療法や医療機関を決定します。治療法のリスクと利益を考慮し、医師や専門家とのコミュニケーションを通じて意思決定を行います。また、保険の適用や費用の面も考慮されることがあります。

Action(行動):
決定した治療法や医療機関に基づいて、患者は行動に移します。治療を受けるための予約を行ったり、処方箋を受け取ったりします。治療には医師や医療スタッフとの協力が必要であり、患者はその指示に従いながら治療を進めていきます。

Post-Therapy Evaluation(治療後評価):
治療を受けた後、患者は治療の効果や結果を評価します。症状の改善や健康への影響を見極め、必要に応じて治療法や医療機関を再評価することもあります。また、他の患者や医療専門家との情報共有やフィードバックも行われることで、次の治療の決定に役立てられます。

このように、ASCDAPモデルを用いることで、ヘルスケア領域における患者の治療受動行動のプロセスをより詳細に理解し、患者中心の医療ケアの提供に貢献することができます。

「製薬企業は販売戦略下手がちょうどいい?」

国内主要製薬企業の2024年3月期決算で、売上は増加したものの営業利益が減少しています。主な要因として、新薬開発費の高騰と減損損失が挙げられます。

武田薬品や住友ファーマなどでは、開発中止や特許切れによる影響が大きく、利益率が大幅に低下しました。

製薬業界では依然としてブロックバスター戦略が中心です。この戦略は大ヒットする新薬を開発し、市場に投入することで高い収益を狙うものです。

これは新薬の開発を優先する一方で、営業部門の縮小が進む傾向からも伺えます。多くの製薬企業が成長戦略として新薬のロンチに注力しており、販売戦略の弱さが業績低迷の一因となっているように思われます。

しかし、医薬品の販売戦略には倫理的な問題が潜在します。医療従事者への販売圧力、特に、治療の必要性を過度に誇張したり、不適切な情報を提供することは患者の安全に影響を与える可能性があります。したがって、販売戦略の強化には倫理的な配慮と透明性が不可欠です。

販売戦略を強化することで、患者が新薬にアクセスしやすくなり、治療の機会が増えることもあります。ただし、販売活動が倫理的に問題を引き起こさないように、正確な情報提供と透明性を保つことが不可欠です。両者のバランスが重要です。

ランチェスター法則とゲーム理論を取り入れることで、過度な販売圧力を避けつつ販売戦略を強化することができます。

ランチェスター法則

弱者の戦略:限られた資源を集中させることで競争優位を得る。

強者の戦略:市場全体をカバーする広範囲なアプローチをとる。

ゲーム理論

協調戦略:競合他社と協力して市場全体の利益を最大化する。

競争戦略:相手の動きを予測し、最適な行動をとることで市場シェアを拡大する。

これらの理論を組み合わせることで、効率的な販売戦略を構築し、過度な販売圧力を避けることができます。倫理的な販売活動を維持しながら、戦略的に市場にアプローチすることで、持続可能な成長が期待できます。

ゲーム型競争市場における価格低下は、多くの場合、企業間競争の結果として起こります。単純に価格低下といっても、コストリーダーシップ戦略と低価格戦略という2つの戦略的なアプローチが存在します。今回は、これらの戦略をゲーム理論の観点からまとめてみましょう。

【コストリーダーシップ戦略】
コストリーダーシップ戦略では、企業は業界内で最低のコスト構造を実現しようとします。これにより、競合他社よりも低い価格で商品やサービスを提供できるようになり、市場での競争優位を確立できます。ゲーム理論の観点からは、コストリーダーシップ戦略を採用する企業は「先手を打つ」戦略を取ると解釈できます。つまり、他社よりも低コストで運営し、価格を下げることで市場の需給バランスを変え、他社が追従するか市場から撤退するかの選択を迫ります。

【低価格戦略】
低価格戦略では、企業は単純に市場平均価格よりも低い価格で商品やサービスを提供します。この戦略の目的は、価格感受性の高い消費者層を引き付けることにあります。ゲーム理論では、低価格戦略は「価格競争ゲーム」の一形態と見なされます。企業間で価格を下げ合うことにより、最終的には価格が均衡点に達するまで下落し続ける可能性があります。この均衡点は、全ての企業が利益を最大化できる価格レベルとは限らず、場合によっては「損失の最小化」のレベルになることもあります。

『ゲーム理論における均衡』
コストリーダーシップと低価格戦略をゲーム理論によって考えた場合、ナッシュ均衡が重要な概念になります。ナッシュ均衡は、全てのプレイヤーが自分にとって最適な戦略を取り続ける状態を指します。この均衡において、一方の企業が戦略を変更しても、他の企業は戦略を変更しない限り、その企業の利益は変わりません。

『戦略的相互依存』
ゲーム理論における重要な考え方の一つは、「戦略的相互依存」です。競争市場において、企業は他社の行動に常に注意を払い、自社の戦略を調整する必要があります。コストリーダーシップや低価格戦略を採用する際にも、他社の反応や戦略変更を予測し、それに応じて自社の戦略を適応させることが成功の鍵となります。

このように、ゲーム型競争市場における価格低下は、コストリーダーシップ戦略と低価格戦略という異なるアプローチを通じて、企業が市場内でどのように位置づけを図り、消費者を引き付けるかという戦略的な選択に大きく依存します。ゲーム理論は、これらの戦略がどのように実行され、市場の動きにどのように影響を及ぼすかを理解するために有効です。

私たちは日常生活の中で、無意識のうちに様々なものを比較しています。商品を選ぶ時、何か新しいことを学ぶ時、さらには人と人との関係性を考える時にも、比較のプロセスは不可欠です。

この比較の中には、「優劣」と「違い」の識別が含まれ、それぞれのプロセスは我々の決定、認識、そして価値判断に深く影響を及ぼします。しかし、これらの概念をさらに深く掘り下げると、もう一つ重要な概念「差別化」が浮かび上がってきます。

「優劣」の評価は、しばしば主観的な基準に基づくものであり、何が最良かを決定する過程で利用されます。たとえば、スマートフォンを選ぶ際に、カメラの性能やバッテリーの持ちを比較することがあります。この場合、個々のニーズや好みに応じて「優れている」と判断される基準が存在します。

一方で、「違い」は単純に存在する事実の認識であり、これを理解することは、より広い視野を持つことに繋がります。例えば、世界の様々な料理を学ぶことで、文化間の違いを理解し、それぞれの独自性を尊重することができます。

そして、「差別化」はこの二つの概念を一歩進めたものです。差別化とは、競合他社や代替可能な選択肢と比較した際に、ある製品やサービス、または個人が持つユニークな価値や特性を明確にすることです。市場におけるブランドのポジショニング、職場での個人の専門性の強調、さらには個人の趣味や興味においても、差別化は重要な役割を果たします。

このように、差別化は「優劣」の評価や「違い」の認識を超えて、独自の価値を創出し、それを明確に伝えるプロセスです。差別化を理解し適用することで、私たちはより意味のある選択をし、個人や製品、サービスをより魅力的に見せることができます。

共通ポイントの草分け的な存在であるTポイントと三井住友フィナンシャルグループのVポイントが22日に統合し、「青と黄色の新しいVポイント」が誕生しました。新しいVポイントの誕生により、共通ポイント市場は3強時代に突入し、勢力争いは今後、一層激しさを増しそうです。

ポイントの先駆けであるTSUTAYA(ツタヤ)が始めたTポイントは、2003年にはコンビニなど他の店舗でも貯められるようになりました。その後、金融系やスマホキャリア系などが参入し、共通ポイント化によって同一市場で競合する状況が生まれています。

古くから、店舗で買い物をすることでスタンプを貯め、買い物に使えるポイント制度は存在しましたが、スマホと電子マネーの普及により、その形態は大きく変化しました。

今回のTポイントとVポイントの統合が、共通ポイント市場の勢力図にどのような影響を与えるか、マーケットシェア理論から検証してみました。

元々、共通ポイント市場は、旧Tポイント、楽天ポイント、dポイントの3強競争市場でしたが、今回のTポイントとVポイントの統合により、競争市場の構造は変わりませんが、競争優位性には大きな変化が見られます。

旧TポイントはVポイントとの統合により、さらにシェアを高め、市場撤退の位置にあった旧Vポイントは市場リーダーとなりました。統合前と後ではシェア値が6ポイント向上しています。

6ポイントの変動がどれだけの競争インパクトを持つかというと、2位の楽天ポイントに対して、統合前の2.8倍から4.1倍へと競争優位性を高めています。単純計算では、従来よりも1.5倍、楽天ポイントよりもユーザー獲得率が高いことになります。

僅かなシェア値の変動であっても、競争市場での優位性に与えるインパクトは非常に大きいものです。総合スーパーが覇権を競って吸収・合併に急ぐ理由も同様です。

近年のビジネス環境では、かつての競合他社と提携し、市場占有率を高める戦略が多く見られます。

昨日の敵は今日の友、と言えるでしょう。