「どうぞメモ代わりに撮ってください。」

先日、登壇の機会をいただいたあるビジネスセミナーで聴講者の方々にそう伝えました。
会場では「撮影禁止」のアナウンスがされていましたが、私はあえて許可することを伝えました。

なぜか?
その日のスライドや構成の多くの部分で、AIの力を借りてつくったからです。

つまり、誰でも再現できる。
“再現性100%”のコンテンツだったからです。


当日、私が語ったことに共感してくれた方がいたとしたら、それはもう「あなたの常識」になっています。
その瞬間から、それは私だけの知識ではなく、社会の共有知になったのです。


では、こんな時代に「専門家」は何を語るべきでしょうか?

かつて、専門家とは“知っている人”でした。
情報を独占し、特別なスキルをひけらかし、
「これは我々の世界の話なので、一般の方にはわかりません」などと言っていた時代もありました。

でも今は?
検索すれば答えは一瞬で出てきます。
AIに聞けば、昨日までの知識は即座に得られます。


もはや、知識を持っていることに価値はない。
それを「どう使うか」がすべてです。

「専門家だから偉い」と思っている人がいたら、それはもう危険信号かもしれません。
“分かる人にだけ分かればいい”という上から目線では、誰の信頼も得られません。


これからの専門家に求められるのは、
知識を語ることではなく、知識で“何かを変える”こと。

・誰かの課題を解決する。
・気づきを引き出す。
・新しい価値を生み出す。

つまり、ただの“解説者”ではなく、“変化の実行者”であるべきです。


私がセミナーで撮影をOKにした理由も、そこにあります。
私が語ったことをそっくりそのまま真似できたとしても、それで得られるのは「再現性のある情報」までです。その知識をどのように使い活かすかは再現することが難しいからです。


今、知識の“所有”ではなく、“活用”にこそ価値が生まれる時代。専門性は、「説明」ではなく「創造」に使われてこそ意義を持ちます。

― 営業戦略に「地政学」の発想を ―

営業戦略に“地政学”という言葉を使うと少し大げさに聞こえるかもしれません。しかし、地政学とは本来「地理的条件と力のバランスが、戦略的判断にどう影響を与えるか」を考える学問です。これはビジネスにおいても非常に有効な視点であり、特に競争が激しく、差別化が難しい製薬業界においては、まさに必要とされる発想ではないでしょうか。

DXS Stratify®は、この“営業地政学”という考え方を、単なる比喩ではなく、数理モデルによって実践レベルに落とし込んだアプリケーションです。医薬品販売データベースをもとに、各顧客(病院やクリニック)を「市場規模 × 競争地位 × 競争優位性」の3軸で分析し、戦略的に価値のあるターゲットがどこにあるのかを“地図”として描き出します。

この地図によって見えるのは、リソースを集中すべき場所と、撤退や維持で十分な場所との明確な境界です。つまり、勝つべき市場を選び、限られた営業力を効果的に配置する“戦力配分の最適解”を導くことができるのです。

さらに、DXS Stratify®の強みは、静的分析で終わらないことです。KPI設計とCRMを連動させることで、実行フェーズの可視化と管理までをサポートし、PDCAに頼らない新しい意思決定ループ「SPDAループ」の構築を可能にします。

従来のPDCAは、ある程度予測可能でルーチン化された業務には有効ですが、不確実性の高い環境や複雑な市場状況では限界があります。そこで重要なのが、**S(戦略立案)→P(行動設計)→D(実行)→A(分析)**という一連のループです。
このSPDAループは、変化する競争環境に対して柔軟に対応しながら、現場の行動を戦略と一貫性を持って設計・実行・評価するための仕組みです。

そして最後のA(分析)では、CRMに蓄積された活動データと成果データをAIで動的に分析し、成功要因(KSF)を可視化。属人的でブラックボックス化しやすい“勝ち筋”を、再現可能な知に変えていきます。

感覚ではなく、戦略で動く営業へ。
単なるトラッキングにとどまるPDCAではなく、不確実性に適応しながら、成果を導くためのSPDAループの実装こそが、これからの営業組織に求められる進化です。

今こそ、“地図なき営業”から、“戦う地図”を持つ営業へと変革する時です。

消費者の購買行動を説明する際、長年使われてきたのが「AIDMAモデル」です。
Attention(注意)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)という5段階の流れは、まさにマスマーケティング時代の購買プロセスを象徴してきました。

しかし、近年の消費行動を見ていると、このような“直線的な購買プロセス”では説明しきれないケースが増えてきました。

たとえば、「SNSで流れてきたコスメが可愛かったから即購入」「話題のカフェに行ってみたかったから予約」「このブランド、なんとなく世界観が好きだから選んだ」といった行動。そこには、「〇〇が欲しいから情報を探した」ではなく、むしろ「目に入ったから欲しくなった」という流れが存在します。

つまり、消費財においては、“ニーズ”が必ずしも明確な目的から生まれるものではなく、時に“手段”としてのニーズが“目的”化しているのです。

「癒されたい」「変化を感じたい」「誰かと共感したい」といった抽象的な感情が先にあり、その感情を満たす行動や商品が“目的”になる。
この構造は、医薬品などの機能的商材とは大きく異なります。

医薬品の場合、ウォンツはあくまで治療という明確な目的を達成するための「手段」です。選択はガイドラインやエビデンスに基づき、感情や共感ではなく、合理性と制度に根ざしています。

一方で消費財は、ウォンツが目的そのものになり得る。
そのため、行動変容モデルも変化せざるを得ません。

このような変化に対応するかたちで、近年はAIDMAの派生モデルも数多く登場しています。
たとえば、AISAS(検索→共有を含む)、ULSSAS(共感→検索→購入→シェア→共感のループ)、SIMA(Sympathy→Interest→Memory→Action)などです。

これらはすべて、「目的と手段が入れ替わる」現代の消費スタイルに合わせ、より循環的で感情主導型のフレームへと進化しようとする動きといえます。

ニーズはもはや、与えられた課題に対する“解決策を探す起点”ではありません。
生活者自身が「こういう気分でいたい」「こうありたい」と感じる、その瞬間に立ち上がる“自己目的化された欲求”なのです。

私たちがマーケティングを考えるとき、行動モデルそのものの前提を問い直す必要があるようです。

日本の製薬業界は、今後5年間で大きな転換点を迎えると予測されています。内資系製薬企業TOP10の売上は、2025年の約12.3兆円から2030年には約14兆円へと成長する見込みです。年平均成長率はおよそ2.6%と緩やかですが、第一三共や塩野義製薬のように高成長を遂げる企業も登場しています。とくに塩野義製薬は新型コロナ関連製品と抗ウイルス薬分野の強みを活かし、年平均成長率11.7%と驚異的な伸びが予想されています。

一方で外資系製薬企業TOP10は、2025年の約2.4兆円から2030年には約3兆円まで拡大し、年平均成長率は4.6%と内資系を上回ります。アストラゼネカやイーライリリーなどが牽引し、がん、自己免疫疾患、糖尿病・肥満領域での新薬が成長ドライバーとなっています。とくにアストラゼネカは9.1%という高成長を見込まれ、外資系の中で存在感を一層高めるでしょう。

このように内資と外資では戦略が大きく異なります。内資系は規模の優位性を維持しつつも、薬価制度改革や研究開発費の増大といった国内市場特有の課題に直面しています。そのため、グローバル展開とイノベーションによる競争力強化が不可欠です。一方、外資系はスペシャリティ医薬品への注力とグローバル戦略を武器に、着実にシェアを伸ばしています。

今後、日本の製薬業界は国内外問わず、革新と選択と集中が一層問われる時代に突入すると言えるでしょう。

「売れる商品をつくるには、顧客のニーズを掘り起こせ」
マーケティングの常識とも言えるこの考え方は、確かに消費財ビジネスでは有効です。なぜなら、消費財におけるニーズは、多くの場合“潜在的で漠然としたもの”だからです。

たとえば、「癒されたい」「自分を変えたい」「日々を少し快適にしたい」――。こうしたニーズに対して、「この香りで癒される」「このデザインなら自信が持てる」といった具合に、商品自体がウォンツ(欲求)となり、やがてそれが“目的”として消費されていきます。つまり、消費財では商品そのものが主役になるのです。

しかし、同じアプローチを医薬品ビジネスに当てはめると、まったく様相が異なります。

医薬品の世界において、ニーズとは患者の疾患や症状という“医療課題”であり、ウォンツとは、それに対して医師がガイドラインや科学的エビデンスに基づき選択する治療手段です。薬剤は“必要だから処方される”のであり、“欲しいから選ばれる”わけではありません。

つまり、医薬品はあくまで「目的を達成するための手段」であって、商品そのものが主役になることはありません。主役はあくまでも患者と、その疾患に向き合う医師の診療判断です。

この違いを見誤ると、医薬品マーケティングにおいても、「ブランド認知を高めよう」「感情的に訴求しよう」という消費財的アプローチに偏ってしまいます。ですが、医師が薬剤を選ぶ理由は、「納得できる根拠があるか」「診療スタイルに適合しているか」といった構造的・科学的な納得感に基づくものです。

したがって、医薬品ビジネスにおいて必要なのは、“感情的に刺さる訴求”ではなく、“理性的に腑に落ちる支援”なのです。

医薬品を単なる商品として捉えるのではなく、科学的根拠に基づいた“適応されるべき手段”として位置づけること。これが、製薬企業にとっての真の競争力となる視点です。

ビジネスの世界は、勝者がすべてを持っていく「ウィナー・テイクス・オール」の時代です。もともとは選挙用語だったこの言葉ですが、いまやインターネットビジネスを中心に、あらゆる業界にその現象が広がっています。

検索エンジンならGoogle、ECならAmazon、動画ならYouTube。どれも高いシェアを誇り、競合他社を大きく引き離しています。これらの勝者たちは一度得たシェアと顧客からさらにデータを蓄積し、サービスを強化し、ますます差を広げていく。こうして「勝者総取り」の構図が加速していきます。

そして恐ろしいのは、この構図がプラットフォーム企業だけでなく、利用者同士にも当てはまること。YouTuber、インフルエンサー、ECサイト…一握りのトップ層が膨大な利益を上げ勝ち続ける一方で、多くの人は奪われ続け、市場から駆逐されることになります。これが現実です。

では、私たちはどう戦い、生き残ればいいのでしょうか?
まず、「なぜ彼らが勝ち続けているのか?」を冷静に分析することが重要です。GAFAは偶然勝ったわけではありません。時代を読み、戦略的に意思決定を行い、市場内の強者であることを続けてきたからです。

そして、自社がその勝者と真っ向から戦って勝てる立場なのかを見極める。もし難しいなら、“勝てる戦場”を探すこと。特定の地域やニッチ市場、新たなサービスなど、自社の強みが活かせる場所があるはずです。

資本主義のルールは残酷ですがシンプルです。「自社の強みを最大化し、勝てる場所で、徹底的に届ける」。につきます。


かつて“華やかな知的職業”として注目を集めたコンサルティング業界に、今、静かな淘汰の波が押し寄せています。東京商工リサーチのデータによると、2024年度のコンサル会社の倒産件数は過去最多の151件。特に、資本金1億円未満・従業員5人以下の小規模事業者に倒産が集中しています。

背景には、顧客ニーズの高度化とAIの台頭による業務代替、そして「経験」や「人脈」に依存した旧来型ビジネスモデルの限界があります。差別化できないサービスや、専門性に欠ける提案は選ばれなくなりつつあるのです。

一方で、アクセンチュア、デロイト、マッキンゼー、BCGといった大手4社の状況は全く異なります。売上・利益ともに堅調に推移し、AI・DX・サステナビリティといった成長分野へ積極的に投資しています。例えば、BCGは生成AIと気候変動に特化した専門部隊を構え、わずか1年で数千件のプロジェクトを実施しています。

アクセンチュアは年間30億ドル規模のM&Aを計画しながら、クラウドやGenAI分野でさらなる優位性を確保。デロイトはグローバルで組織再編を進め、税務・法務サービスでも高成長を実現しています。

では、なぜここまで差がついたのか?その理由は「構造」と「戦略」にあります。大手はすでに属人的なスキルや営業に依存するのではなく、テクノロジーと専門チームによる再現性ある仕組みでサービスを提供しています。また、グローバル展開により地域リスクを分散し、多様な人材を獲得・育成する仕組みも整っています。

コンサルティング業界でも「Winner Takes All(勝者総取り)」の構造が明確に現れつつあります。これは、他業界、たとえばIT、小売、製造、物流などとまったく同じ潮流です。小規模なコンサル会社は、主に中小企業をクライアントとしています。結果として、小規模コンサル側も案件数が減り、資金繰りが悪化し、連鎖的に倒産しています。

まさに「顧客の衰退=自分の衰退」という構造です。このままでは、業界の二極化はさらに進むでしょう。AIやDX、サステナビリティの専門性を備えた「勝ち組」と、差別化や人材確保ができない「淘汰組」に分かれ、生き残れるのはごく一部かもしれません。

中小企業を顧客とするコンサルタントは、この強者が圧倒的な競争優位に対して、弱者がいかに戦うべきか、を提供しなければなりません。

時代は「知の専門家」から「変革のパートナー」へ転換しています。これからのコンサルタントに求められるのは、課題を解決する力ではなく、未来を共創する力なのかもしれません。

製薬企業退職後に、資格を必要としないコンサルタントとして起業される方は少なくありません。そのような方の中には、これまでの経験や感覚に基づいた、武勇伝型コンサルタントも存在します。

知識はあっという間に陳腐化してしまいます。これまでの経験はVUCAの時代の前では意味を持たないどころか害悪になりかねません。常に勉強を心掛けアップデートをしていかなければ淘汰の波に飲み込まれてしまうでしょう。

医薬品ビジネスにおけるAIとデータ活用の最適解とは?

💡 ビッグデータとAI。
「ビッグデータとAI」、この言葉には未来の可能性を感じさせるワクワク感があります。では、ビッグデータの必要性はどこにあるのでしょうか?それは不特定多数の曖昧かつ多様な潜在的なニーズに対応するため、ビッグデータからトレンドやパターンを抽出し、消費財のようなビジネスではマスマーケティングのために標準化、汎用化することが必要だからです。いわば「多数に向けた最適解」を目指す世界です。

🤔では、このアプローチは医薬品ビジネスにもそのまま当てはまるのでしょうか?

実は、医薬品ビジネスは構造的にまったく異なる特徴を持っています。まず、ターゲットとなる顧客(医師や医療機関)はあらかじめ明確であり、ニーズも曖昧ではなく、ガイドラインや適応症に基づく制度的に規定されたウォンツであることがほとんどです。さらに、医師の処方判断には個別性が高く、常に説明責任が伴います。

このような環境下においては、「多数の傾向」を捉えるビッグデータよりも、「個別の理解」に基づくアプローチの方が実践的です。すなわち、ビッグデータによる未来予測よりも、スモールデータをもとに現状を正しく読み解く力こそが、競争優位の源泉となります。

スモールデータ × 低次元統計解析の強み

たとえば、医薬品販売データベースのような構造化されたスモールデータを、低次元統計解析と組み合わせて分析することで、医師の処方傾向や診療スタイルに応じた戦略的なアプローチが可能になります。さらに、「ピボット思考」を取り入れることで、静的な分析結果を動的に活用し、PDCAサイクルを高速で回す運用へとつなげることができます。

🧩 なぜ“読み解ける”ことが重要なのか?

このアプローチの大きな強みは、解釈可能性の高さにあります。複雑なAIモデルによるブラックボックス的な結論ではなく、「なぜその判断に至ったのか」をきちんと説明できるという点は、規制の厳しい製薬業界において非常に重要です。

AIは、あくまで“前線の指揮官”ではなく、“後方の参謀”として機能すべき存在です。人間の判断力とAIの分析力を組み合わせ、認識のループを築くことによって、より納得感が高く、実行につながる意思決定が実現できるのです。

🔎最適解は「予測AI」ではなく、「読み解きAI」

医薬品ビジネスにおけるビッグデータ+AIの最適な活用とは、未来を予測する魔法の箱ではなく、「今」を読み解くためのレンズとして位置づけることにあるのです。

マーケティングやビジネスの現場では、「ビッグデータ」こそが時代の答えであるかのように語られてきました。確かに、膨大なデータを扱えば傾向やパターンを可視化しやすくなります。しかし、その一方で、私たちは“平均”や“多数派”のなかに埋もれた希少な価値を見逃していないでしょうか。

価値のあるものは、えてして希少です。希少だからこそ模倣が難しく、そこに独自性が生まれ、競争優位となる。これは製品だけでなく、情報やインサイトにも当てはまります。だからこそ、ビジネスにおいても「スモールデータ」が持つ意味がいま、見直されるべきだと考えます。

スモールデータとは、少数の具体的な事例や観察から得られる定性的・定量的な情報です。例えば、ある営業担当者が訪問先で得た医師のひと言、クレーム対応から見えた顧客心理、リピーターが語るちょっとした感想。こうした“声”は、ビッグデータの波に紛れてしまうほど微細かもしれませんが、そこにこそ本質が隠れています。

スモールデータは、解像度の高い“顕微鏡”のようなものです。全体像を俯瞰するのがビッグデータなら、スモールデータは一人ひとり、一件ごとのストーリーに焦点を当て、なぜそれが起きたのかという「因果」に迫ります。そして、この因果の積み重ねが戦略の根拠となり、実行力を高めるのです。

デジタル時代において、情報の量は無限に近づいています。しかし、本当に必要なのは情報の“量”よりも、“意味”を見極める力です。スモールデータは、単なるサンプルや外れ値ではありません。見過ごされがちな少数のなかにこそ、イノベーションの種が眠っているのです。

「とりあえず手元のデータを全部AIに放り込めば、何かすごい気づきが得られるんじゃないか?」そんな期待を抱いたことはありませんか?実はこれ、今のビジネス現場でよく見かける“データ神話”です。そしてこの神話、かなり危うい幻想でもあります。

たしかに、AIやビッグデータという言葉は魅力的に聞こえます。大量のデータを使えば、きっと人間には見えないパターンや関係性を発見してくれる……そんな夢が広がります。でも現実には、分析対象とアウトプットが明確でないまま大量のデータを処理しても、ほとんど役に立たない結果しか出ないことの方が多いのです。

なぜでしょうか?
第一に、AIは“魔法の箱”ではありません。何の目的も持たずに投げ込まれたデータからは、当然ながら“何をすべきか”という答えは出てきません。むしろ余計な変数やノイズが多いことで、誤った解釈や方向性につながるリスクすらあります。

第二に、データ分析とは「問い」から始まるものです。仮説があるからこそ、データはその検証の材料として価値を持ちます。問いが曖昧であれば、出てくる答えもまた曖昧。意味のある発見にはなりません。

第三に、スモールデータの方がむしろ効果的なケースも多く存在します。特にBtoBや医療業界のようにターゲットが明確な領域では、ビッグデータで広く浅く見るよりも、スモールデータで深く鋭く切り込んだ方が、再現性の高い分析結果が得られるのです。

つまり本当に重要なのは、AIでもデータ量でもなく、「どんな問いを持って、どんな仮説を検証したいのか」という視点。そしてその目的に合った最適なデータと手法を選ぶセンスです。

ビッグデータとAIを“お守り”のように使うのではなく、意思決定の武器として使いこなすことが、今後ますます求められます。主は人でありAIは従であるのです。