売上は、「客数 × 客単価 × 購入頻度」 で決まります。そして、現在の人口減少経済停滞の影響により、これらの要素すべてが減少傾向にあります。これを放置すれば、売上の自然減は避けられません。今回は、それぞれの要素にどのような影響があるのかを整理し、戦略の重要性について考えてみましょう。


1. 客数の減少:市場規模の縮小

日本の人口減少は、企業にとって避けられない現実です。特に若年層の減少は、新規顧客の獲得を難しくし、高齢化の進行により、購買意欲の低下が懸念されます。

また、経済停滞による所得の伸び悩み企業のリストラは、可処分所得を圧迫し、消費を抑制する要因となっています。B2B市場においても、取引先の業績悪化が発注の減少につながり、結果として客数の減少を招くことになります。


2. 客単価の低下:価格競争の激化とデフレ圧力

経済が停滞すると、消費者は価格に対して敏感になり、より安価な商品・サービスを選ぶ傾向が強まります。これはB2Cだけでなく、B2B取引でもコスト削減の圧力が高まり、取引単価の引き下げが求められるケースが増えます。

さらに、コモディティ化の進行により、製品・サービスの差別化が難しくなり、価格競争に巻き込まれるリスクが高まります。結果として、値下げを余儀なくされ、売上総額の縮小につながるのです。


3. 購入頻度の低下:消費スタイルの変化

経済不安が続くと、消費者は「本当に必要なものだけを買う」という意識が強くなり、購入頻度が低下します。特に耐久財の分野では、買い替えサイクルが長くなり、需要が先送りされる傾向があります。

また、シェアリングエコノミーやサブスクリプションモデルの普及により、「所有するよりも借りる」という選択肢が増え、一度購入すれば長期間使用できる商品はますます売れにくくなっています。


市場縮小時代に求められる戦略:ターゲティングとリソース配分の最適化

このように、客数の減少、客単価の低下、購入頻度の減少という三重苦が進む中で、従来の拡大戦略は通用しにくくなっています。だからこそ、これからの企業戦略では、ターゲットの明確化とリソースの最適配分がより重要になります。

💡 具体的な戦略の方向性

  1. ターゲットの明確化
    • 購買力のある顧客層を特定し、限られたリソースを集中投下する。
    • 市場全体の縮小にとらわれず、成長が見込める特定のセグメントにフォーカスする。
  2. 客単価の維持・向上策
    • 価格競争を回避し、ブランド価値や独自性を強化する。
    • バンドル販売やサブスクリプション型の提供を活用し、顧客単価を引き上げる。
  3. 購入頻度を高める仕組みづくり
    • 定期購入サービスやリピート促進施策を導入する。
    • 商品・サービス単体ではなく、アフターサービスやメンテナンス契約を組み合わせることで継続的な売上を確保する。
  4. リソースの最適配分
    • データ分析を活用し、売上に直結する活動に優先的に投資する。
    • 過去のやり方に固執せず、ROI(投資対効果)が高い施策を重視する。

まとめ

人口減少と経済停滞が進む中で、従来の売上拡大戦略は機能しにくくなっているのが現状です。しかし、市場が縮小しても戦い方次第で勝ち残ることは可能です。

ターゲットを絞り、選択と集中を徹底する
価格競争を避け、独自の価値を提供する
リピート率を高め、単発の売上に依存しないビジネスモデルを構築する
データを活用し、リソースの配分を最適化する

市場環境が変われば、企業の戦略も変わるべきです。縮小市場の中でも競争優位を確立するために、今こそ戦略的なターゲティングとリソース配分が求められています。