【S.ILab株式会社 設立のご案内】

Strategic Science for Competitive Edge
戦略に、科学という再現性を


法人化のご報告

このたび、S.ILab(戦略向上研究所)は「S.ILab株式会社」として法人化いたしました。
これまで培ってきた戦略コンサルティングと独自の分析アプリケーション開発の知見をもとに、さらに多くの企業様の意思決定をご支援できるよう、体制を強化いたします。


私たちの想い

従来のビジネスフレームワークは、扱う人の経験や直感に依存するため、同じ課題に対してもアウトプットが人によって異なるという課題がありました。
一方でAIは、驚異的な分析力を持つ一方で、その判断根拠が見えにくい“ブラックボックス”であることが多く、意思決定の納得感や説明責任という面で課題を残します。

私たちが開発した DXS Stratify® は、この両者の課題を超えることを目指して誕生しました。
誰が使っても、何度使っても、同じ結論にたどり着ける。
戦略を“科学”し、“再現性”をもって導き出す。
それが私たちの信念です。


ミッションメッセージ

Strategic Science for Competitive Edge
私たちは、競争に勝つための“科学的な戦略”を提供します。


会社概要

社名:S.ILab株式会社(Strategic Improvement Laboratory)
所在地:〒260-0013千葉県千葉市中央区中央2丁目5-1千葉中央ツインビル2号館7階
代表者:岡崎 倫夫
事業内容:セミナー・コンサルティング/競争力分析アプリ「DXS Stratify®」の開発・提供
設立日:2025年3月31日


お問い合わせ

DXS Stratify®の導入、コンサルティングのご相談等は下記までご連絡ください。
Email:senryakuken@si-lab.work
Web:https://si-lab.work/

DXS Stratifyの本質は、「未来の予測」ではなく「コントロール」 にあります。

多くのデータ分析ツールやDXソリューションは、過去のデータをもとに未来を「予測」することを目的としています。しかし、不確実性が高い市場環境では、予測の精度が限られるため、単に未来を予測するだけでは十分ではありません。特に、医薬品業界のような競争環境では、規制や市場の変動要因が多く、単純な予測に頼ることはリスクが伴います。

DXS Stratifyの意義:「競争環境のコントロール」

DXS Stratifyは、競争環境を可視化し、適切なターゲティングとリソース配分を行うことで、企業が市場の流れを「コントロール」できるようにする ことを目的としています。これは、Lanchesterの法則やゲーム理論などの数理モデルに基づいた定量的な分析により、どこで戦うべきか、どの顧客を狙うべきか、どのリソースをどの程度投入すべきかを明確にするものです。

つまり、DXS Stratifyは、
✅ 未来を「予測」するのではなく、未来を「作る」ための意思決定を支援する
✅ 競争環境を数値化し、戦略的なターゲティングとリソース配分を可能にする
✅ 企業が市場の流れをコントロールし、競争優位を獲得できるようにする

という点で、単なるBIツールや予測分析とは異なる、実践的な戦略ツールであると言えます。

近年、「AIによって営業は不要になる」という議論を耳にする機会が増えています。確かに、デジタル技術の進化により、リードジェネレーションやマーケティングオートメーションの分野では、AIが大きな役割を果たすようになっています。しかし、この議論には一つの前提が潜んでいます。それは、多くのビジネスモデルが「消費財(FMCG)」の視点で語られているという点です。

消費財モデルが営業とマーケティングを混同させる

消費財ビジネスは、基本的にマスマーケティングを中心とした戦略を取ります。テレビCMやSNS広告などを活用し、幅広い消費者層にアプローチすることでブランド認知を高め、小売チャネルを通じて販売を促進するモデルです。このような環境では、営業の役割は「流通先の交渉」や「プロモーション活動の補助」にとどまり、営業=販売促進の一部という認識が根付いています。

一方で、B2Bビジネスや製薬業界のように、ターゲットが明確に決まっている1on1マーケティングでは、営業の役割は単なる情報提供にとどまりません。顧客のニーズを深く理解し、関係を築きながら、最適なソリューションを提案するという「課題解決型」のアプローチが求められます。つまり、AIによる自動化が進んでも、人間の営業が持つ「関係構築力」や「交渉力」は、容易に置き換えられないのです。

「AIで営業を置き換えられる」論の背景

では、なぜ「AIによって営業が不要になる」と語られるのでしょうか。その背景には、以下の3つの要因があります。

  1. マーケティングの研究やフレームワークが消費財ビジネスを基準に発展してきた 代表的なマーケティング理論である4PやAIDMAは、消費財の流通モデルを前提としています。そのため、B2Bや1on1マーケティングのように、長期的な顧客関係が重要なビジネスに対しては、そのまま適用できないケースが多いのです。
  2. コンサルティング業界やビジネススクールがB2C中心の成功事例を重視 多くのコンサルティング会社やMBAプログラムでは、P&GやCoca-Cola、Appleなどの消費財・B2Cブランドを成功事例として取り上げる傾向があります。これにより、マーケティングと営業の役割を区別せず、「マーケティングが自動化できるなら、営業も不要では?」という誤解が生じやすくなっています。
  3. デジタル広告やマーケティングオートメーションの進化 デジタルマーケティングが発展したことで、企業はAIを活用して顧客データを分析し、ターゲティングを自動化することが可能になりました。これにより、特にB2C領域では、営業を介さずに商品が売れる環境が整いつつあります。しかし、B2Bや製薬業界では、単に情報を提供するだけでなく、「顧客の課題を理解し、最適な解決策を提示する」営業の役割が不可欠です。

AIは営業を置き換えるのではなく、支援する

結論として、「営業はAIに完全に置き換えられるのか?」という問いに対する答えは「営業の種類による」ということになります。

  • マスマーケティング型の営業(消費財) → AIの活用が進み、営業の役割は縮小する可能性が高い。
  • 1on1マーケティング型の営業(B2B・製薬など) → AIは「営業支援ツール」として活用されるが、営業自体が不要になることはない。

特に1on1マーケティングでは、人間の営業が持つ「関係構築力」「交渉力」「問題解決力」は、AIには代替できない要素です。むしろ、AIを活用することで営業活動の質を向上させることができるため、「AIに仕事を奪われる」ではなく、「AIを使いこなす営業」が生き残る時代になるでしょう。

近年、データ駆動型の意思決定の重要性が高まっており、多くの企業がAIを活用したビッグデータ分析の導入を進めています。そのためAIを活用しないデジタルソリューションの分析機能は、劣ると誤解されることがあります。しかし、これは誤解です。その理由を、不動産価値の例を用いて説明しましょう。

不動産価値には2つの側面がある

不動産の価値は、大きく分けて 「居住価値」「投資価値」 の2つの視点があります。

1. 居住価値:複雑で主観的

住むために不動産を購入する場合、人々は駅までの距離、床面積、間取り、建築方法、築年数など、さまざまな要素を考慮します。これらの要素は個人のニーズによって異なり、単純に掛け合わせるだけでは不動産価値を標準化することは困難です。そのため、大量のデータを集約し、AIを活用してパターンを分析するアプローチが取られることもあります。しかしパターンを分析したとしても、個々のライフスタイルや優先順位など、入居者ごとの事情までは完全に把握することはできず不確実性が残ります。

2. 投資価値:家賃価格が基準

一方で、不動産投資における価値評価は、家賃価格 という明確な指標で決まります。その物件がどれだけの家賃を生み出せるかは、市場の需給バランスの影響を受けますが、最終的には購入者が見出す価値に対する対価です。家賃価格が分かれば、収益額と購入価格と比較して収益性を判断できます。さらに、修繕積立金、固定資産税、その他の支出を差し引くことで利回りを算出し、重要な投資判断の基準とすることができます。

この考え方を医薬品販売データに適用すると?

この不動産の考え方を、医薬品の販売データに置き換えてみましょう。

AIを活用したデータ分析は、医師の処方傾向や病院との関係、過去のエンゲージメント履歴など、多様な変数を統合し、処方行動のパターンを分析・予測する手法です。しかし、これらの予測はあくまで過去データに基づく統計的推定であり、実際の意思決定を完全に再現するものではありません。これは、不動産の居住価値を分析するのと似ており、複雑で多面的かつ個別事情に左右されます。

では、医薬品市場における真に重要な価値指標は何でしょうか? それは 家賃価格が投資価値を決めるように、「顧客がどの製品をどれだけ購入しているか」 という販売実績データです。

ここに一般消費財とは異なる医薬品ビジネスの特殊性があります。AIによる予測に依存せず、実際の購買データを基に市場ポジションを可視化し、戦略的なリソース配分を最適化する ことができます。

戦略とは、投資家の視点を持つこと

医薬品は一般消費財とは異なり、科学的データに基づく明確なウォンツ(需要)が存在します。そのため、顧客の購入データこそが市場の動向を示す最も信頼性の高い指標 であり、これはちょうど 家賃が不動産投資の価値指標となるのと同じ です。

重要なのは、戦略とは「どこに経営資源を投入すれば、最も大きなリターンを得られるのかを選択すること」 であり、そのためには 投資家目線 が不可欠だということです。経営資源を どこに、どのように配分すれば最大の効果を発揮するのか を考えることが戦略そのものです。

例えば、不動産投資では 確実性が高く、高利回りが見込める物件に資金を集中させる ことが鉄則です。それと同様に、医薬品市場でも、成長が期待できる市場やターゲット顧客を的確に選び、そこにリソースを投入する ことが重要になります。

DXS Stratify®は、医薬品販売データベースをもとに、どの市場・どの顧客・どのくらいの経営資源を投資すべきかを明確にするツール です。これは、AIが膨大なデータから傾向を探るのとは異なり、投資判断をシンプルにし、再現性のある意思決定を可能にするアプローチ です。

結論

AIを活用すれば必ずしも優れた分析ができるわけではありません。家賃価格を知ることで不動産投資の良し悪しを判断できるように、顧客の購買データを正確に把握することで市場の可能性を判断することができます

低次元統計分析を活用するDXS Stratify®は、AIを活用したビッグデータ分析とは異なる、余計なノイズを排除し、シンプルかつ再現性の高い戦略的な意思決定を可能にする、より直接的かつ明確なアプローチを提供するツール です。それは、「実際の購買データ」という確固たる指標を基に、戦略的な意思決定を支援すること にあります。DXS Stratify®は、AIベースの分析とは異なるアプローチを取り、明確な数値に基づいたアルゴリズムによって競争力を可視化し、再現性の高い意思決定を可能にします。

AmazonとNetflix。どちらも世界的な企業であり、映像ストリーミングサービスではよく比較されます。しかし、AmazonにとってNetflixは本当に”競争相手”なのでしょうか? 実は、Amazonが本当に意識しなければならないのは、映像の世界ではなく、EC市場での戦いです。その本当のライバルはNetflixではなく、日本市場では楽天なのです。

Amazonにとって映像ストリーミングは主戦場ではない

NetflixとAmazon Prime Videoは、どちらも映像ストリーミングサービスを提供しています。しかし、Amazonが映像事業を強化する目的は、Netflixのように映像ビジネスそのもので収益を上げることではありません。AmazonにとってPrime Videoは、あくまでECビジネスを支えるための”特典”なのです。

Amazonの本業はEC(電子商取引)であり、さらにクラウド事業(AWS)や広告事業なども展開しています。そのため、Netflixのように映像配信の成功が企業の存続に直結するわけではありません。むしろ、Prime Videoは「Amazon Prime」の付加価値を高め、プライム会員の維持率を向上させることが主な役割なのです。

たとえば、日本ではプライム会員の継続率が非常に高いことが知られています。その一因は、送料無料や翌日配送といったECのメリットだけでなく、Prime VideoやPrime Musicといったエンターテインメント特典があるからです。つまり、AmazonがPrime Videoを運営する最大の理由は、Netflixと競争するためではなく、ECの競争力を高めるためなのです。

以下に、Amazon、Netflix、楽天のSTP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)を比較した表を作成しました。

Amazon・Netflix・楽天のSTP比較表

この比較から、各社の戦略的な違いが明確になります。

  1. Amazonは「ECとクラウドの巨人」であり、映像ストリーミングはプライム会員の付加価値として運営。
  2. Netflixは「映像に特化」し、オリジナルコンテンツと視聴データ分析によるパーソナライズが強み。
  3. 楽天は「ポイント経済圏での囲い込み」を武器に、ECだけでなく金融・通信などのサービスを統合。

Amazonにとって、Netflixは直接の競争相手ではなく、むしろ楽天のようなEC市場の競争相手にどう対応するかが重要な戦略課題となります。

営業部門への社内研修を通じて感じるのは、多くの企業が個人のスキル向上にフォーカスする一方で、組織としての戦略が不在であることです。

マーケティング活動を積極的に行っている企業は多いですが、その目的である戦略がないために、単なる施策の羅列や、現場への掛け声に終始しています。結局、何を目指しているのかが曖昧なままでは、営業活動が場当たり的になり、結果として効率の悪い活動になってしまいます。

特に、縮小市場や競争の激しい分野では、「個々の努力」よりも「戦略的なターゲティングとリソース配分」が勝敗を決する要素になるはずです。しかし、多くの企業はここを明確にせず、危機的状況に対して、場当たり的な「とにかく頑張れ」のマインドセットに依存しているように見えて仕方ありません。

本来ならば、

  1. 市場の、どのセグメント、ターゲット、ポジションを狙うのか?
  2. 競争優位性を獲得するために、どのようにリソース配分するのか?
  3. マーケティング活動は、その戦略をどう実現するのか?

といったフレームワークで考えるべきですが、営業現場では「活動量を確保しろ」「エンゲージメントを築け」といった話になりがちですね。

結局のところ、「戦略とはターゲティングリソース配分の意思決定である」という視点を持たない限り、営業組織の強化にはつながらないのではないでしょうか?

最近、診察室で医師が患者の顔を見ず、電子カルテの画面ばかりを見ているという話をよく聞きます。患者としては、「ちゃんと診てもらっているのか?」と不安になりがちです。しかし、これは単に医師の問題というより、データ駆動型の医療がもたらした一つの現象とも言えます。

さて、これを製薬業界に置き換えてみましょう。今、製薬企業のマーケティングや営業活動は、まさに「データ画面しか見ていない」状態になっていないでしょうか?


CRMの指示に従うだけのMR、データに依存するマーケティング

かつてMRは、医師の表情、態度、声のトーン、言葉のニュアンスを観察しながら、無意識にアプローチを調整していました。しかし、今ではCRMの指示に従うだけの営業活動が主流になっています。

本社のCRMには、「この医師には〇〇の資料を持って訪問し、△△のトークをしてください」といった詳細なサジェスチョンが示されています。MRはそれに沿って行動し、指示された通りの話をし、CRMに記録を入力します。しかし、それが本当に医師のニーズに合致しているのか? データが示す「正解」と、現場のリアルな「本当の正解」は一致しているのでしょうか?


データの限界:見えているのは「結果」だけ

データ分析が重要であることは間違いありません。しかし、データは過去の行動の記録にすぎず、その背景にある「なぜ?」を説明してくれるわけではありません。たとえば、CRMのデータから「この医師は過去3回、A製品の情報を求めている」と分かったとしても、その理由は何か? それは競合品との比較を検討しているのか、単なる情報収集なのか、患者のために真剣に選んでいるのか? データだけでは判断できません。

同様に、医師が電子カルテを見ながら診察すると、画面上の検査データや病歴は確認できますが、患者の表情やちょっとした違和感には気づきにくくなります。それが、診療の質にどのような影響を与えるのかは言うまでもありません。

製薬マーケティングも同じです。CRMに示された「推奨アクション」に従っていても、医師が本当に求めている情報なのか、あるいはMRの機械的な対応に飽き飽きしているのかは、データだけでは分かりません。


「診療の質」と「マーケティングの質」

医師が患者の話を聞かず、データだけを見て診療することが問題であるのと同じように、製薬企業も**「データありき」のマーケティングを見直す必要**があります。

では、どうすればよいのか?

データは「参考」、判断は「人間」

CRMやマーケティングデータは、意思決定のサポートツールであり、全ての答えを持っているわけではありません。データが示す傾向を把握したうえで、「本当にこの医師に必要な情報は何か?」をMR自身が考え、判断する余地を持たせることが重要です。

定性的情報を重視する

CRMの数値データだけでなく、医師の反応や微妙なニュアンスを記録し、マーケティング施策にフィードバックする仕組みが必要です。「この医師は最近、他社の製品に関心を示している」「この医師は忙しく、短時間で要点だけ知りたがる」といった情報は、単なる数値では捉えきれません。

③ MRの観察力を再評価する

MRが持っている「観察力」や「場の空気を読む力」は、データ分析では補えない貴重なスキルです。CRMが指示する内容に加えて、MR自身が現場で感じたことをマーケティング戦略に反映させる仕組みを作るべきです。


「画面を見ず、目の前の人を見る」マーケティングへ

人間ドックにいくと、既に一線を退かれたベテラン医師に問診を受けることがありますが、聴診器の当て方や触診の素晴らしさは、素人目線でも十分に分かります。本当の医療に触れたような気分になります。

医師の診療が「データ偏重」になりすぎると、患者の不満が増し、診療の質が低下するのと同じように、製薬企業のマーケティングが「データ偏重」になりすぎると、医師との関係が希薄になり、競争力を失うことになります。

データは活用するものだが、盲信するものではない。 目の前の患者を診ることが医師の本来の役割であるように、目の前の医師に向き合い、リアルなニーズを探ることが、MRとマーケティング部門の本来の役割ではないでしょうか?


先日、保有している金(ゴールド)の一部を売却しました。価格が一旦安定期にあったので「そろそろ利確しておこう」と考え、所有していたうちの半分を手放すことにしました。結果としては利益を得ることができたのですが、売却後に金価格が続伸。
「もう少し待っていれば…」という気持ちと、「半分は残しておいたから資産はさらに増えた」という安心感。この2つの感情が同居する、いかにも投資らしい出来事でした。

この経験からあらためて実感したのは、「不確実性とどう向き合うか」が、投資だけでなくビジネス全般において非常に重要だということです。

私たちはつい、「もっと早く動けばよかった」「あの時こうしておけば…」と、過去の“たられば”に思考を奪われがちです。しかし、そもそも未来は誰にも読めません。だからこそ、不確実性を許容したうえで、自分なりのルールや戦略に基づいた行動を取ることこそが、最も理性的な判断なのです。

最近ではAIによる需要予測や行動分析が進化し、私たちはデータに基づいた意思決定ができるようになってきました。しかし、どれほど高性能な分析であっても、予測は常に確率的なものであり、100%の確実性はありません。だからこそ、「正確性」に固執しすぎると、かえって動けなくなるリスクすらあります。

重要なのは、「間違えないこと」よりも、「判断のプロセスに納得できること」。
つまり、“正解探し”ではなく、“納得解を積み上げていく”ことが、現代の意思決定における本質ではないでしょうか。

投資でもビジネスでも、不確実性は避けることは出来ません。むしろ、その中で行動することが、成果を手にするためのチャンスを得る方法なのかもしれません。

長期天気予報の限界:精度と変動性

医師への情報提供を単なる「コンテンツ配信」ではなく、価値を生み出し、競争優位性を確立するためのバリューチェーン(価値連鎖) として捉えることで、デジタル施策とMR活動の効果を最大化できます。情報提供のバリューチェーンは、ターゲットの特定 → 情報の最適化 → 伝達方法の工夫 → 行動変容の促進 → 競争優位の確立 という流れで構成されます。

情報提供バリューチェーンの可視化

以下のようなフローで情報提供のバリューチェーンを設計することで、単なる情報配信を超え、能動的な関与を促し、競争優位を確立する ことができます。

  1. ターゲットの特定
    → DXS Stratify®を活用し、処方意向の高い医師を特定し、優先度を設定
  2. 情報の最適化
    → 医師ごとにカスタマイズしたパーソナライズドコンテンツを設計
  3. 伝達方法の工夫
    → MRとデジタルを統合し、タイミングとチャネルを最適化
  4. 行動変容の促進
    → KOLや診療サポートツールを活用し、処方行動を変革
  5. 競争優位の確立
    → 競合との差別化を意識した戦略設計を行い、情報提供の価値を最大化

デジタルとMRを組み合わせた情報提供のプロセスをバリューチェーンとして捉えることで、情報の価値を最大化し、競争優位性を確立できます。特に、多くの企業が同じ対策を進めることで差別化が困難になる中、単なる情報提供の効率化ではなく、独自の戦略視点を持ち、競争優位を築くための「情報提供のバリューチェーン」設計が重要です。

DXS Stratify®のようなツールを活用し、競争優位性のあるターゲティングを実現するとともに、デジタルとMRの連携、KOLの活用、パーソナライズドな情報提供を組み合わせることで、能動的な関与を促し、持続的な市場優位を築くことが可能 となります。

ビジネスにおいて、顧客に選ばれる方法を複雑に考えすぎてはいないでしょうか。差別化やブランディング、マーケティング戦略は確かに重要ですが、最もシンプルかつ確実な方法は、市場で圧倒的なシェアを獲得すること です。

なぜなら、市場で圧倒的なシェアを持つことによって、顧客は「どれを選ぶべきか」を悩む必要がなくなるからです。

シェアが高いと、顧客はこう考えます

圧倒的なシェアを持つ製品やサービスには、次のようなメリットが生まれます。

1. 「みんなが使っているから安心」

ある製品が市場の標準(デファクトスタンダード)になれば、顧客は迷わず選びます。
例:Windows、Google検索、Amazon

2. 「比較するのが面倒だから、これでいい」

シェアが高いと、選択肢を比較する手間が省け、直感的に選ばれやすくなります。
例:iPhone(スマホ選びに悩むより、iPhoneを買うのが無難)

3. 「みんなが使っていると価値が上がる」

ユーザー数が増えることで、商品やサービスの利便性が向上するネットワーク効果が働きます。
例:LINE(みんなが使っているから自分も使う)、Microsoft Office(仕事で標準化されているから選ばれる)

4. 「手に入りやすく、サポートも充実している」

シェアが高ければ、販売網やサポート体制も整い、利便性が向上します。
例:トヨタ(どこでもメンテナンス可能)、スターバックス(どこにでもある)

シェアを獲得するためのシンプルな戦略

シンプルに考えれば、圧倒的シェアを獲得するための方法は、大きく3つに集約できます。

1. 市場の最適なポジションを見つける(STP戦略)

競争が激しくない領域を狙い、そこから圧倒的なシェアを築きます。
例:Dyson(掃除機市場ではなく、高価格帯のプレミアム市場に特化)

2. 顧客の第一想起を獲得する(ブランド戦略)

圧倒的な認知を作り、消費者の頭の中で「○○といえばコレ」というポジションを確立します。
例:レッドブル(エナジードリンクといえばレッドブル)

3. ネットワーク効果を活用する(エコシステム戦略)

ユーザー数が増えるほど価値が高まる仕組みを作ります。
例:Facebook(ユーザーが増えるほどプラットフォームの価値が上がる)

まとめ

顧客に選ばれる最もシンプルな方法は、「圧倒的シェアを獲得し、選ばれる理由を不要にすること」です。ビジネスの成功において、「選ばれるかどうか」を考える前に、「選ばれざるを得ない状況を作る」ことが重要ではないでしょうか。