誰でもできる、エリアマーケティング⑥

自社製品の対象患者を調べてみよう。

透析患者を対象にデータを集めてみました。

参入市場として理想的なのは拡大している市場です。

プライマリー領域からオンコロジー領域へと各社主軸が移りつつありますが、高齢化社会を背景に継続して拡大している生活習慣病領域はまだまだ魅力的な市場と言えます。

商圏を確認していきましょう。

市場規模は投資に見合うだけの大きさがあるか?

継続的な成長が見込めるか?を確認します。

未来予測の中で最も実現の可能性が高いのが人口動態です。

比較的簡単に入手できるデータでもあります。

自社製品のターゲット層の規模および動向予測を行います。

地域医療構想における機能分担では、その機能を拡張する施設、縮小する施設、転換する必要がある施設が生じます。

2019年に厚労省から全国の公立病院や日赤などの公的病院のうち、診療実績が乏しいなどと判断した424病院に統廃合を含めた再編の検討を求め、病院名を公表したのは記憶に新しいところです。

実際に私が担当していた施設でも入院機能を閉鎖し外来機能のみに転換した施設がありました。

つまり外来で使用する薬剤は増える可能性があり、逆に入院患者に使用する薬剤は処方が期待できなくなるということです。

これらの情報は卸MSや競合に頼らず、自ら積極的に取得していきましょう。

地域医療構想が進むとなぜ、エリアマーケティングが重要になるのしょうか?

それはエンドユーザーである患者の所在が流動的になり、単一施設では捕捉しきれなくなるからです。

捕捉するためには医療圏全体でマーケティングを考える必要があります。

まずは担当エリアの自治体のホームページなどから地域医療構想がどのように進んでいるのか?機能分化はどのように進む予定なのかを把握しましょう。

また「地域医療構想調整会議の議事録」等を見つけることが出来るケースもあります。

自治体で定めた機能分化は患者の将来予測に基づいて計画されています。

つまり機能分化の流れを見れば、市場の規模や成長性、医療ニーズなどを知ることが出来るということです。

エリアマーケティングのためにはエリアに応じたマーケティングプランニングを行う必要があります。マーケティングプランニングでは幾つかのビジネスフレームを用いた標準的なプロセスがあります。

標準的プロセスでは、まず外部環境の情報を集め、市場と顧客、そして競合状況を把握します。その上で内部環境と照らし合わせることで相対的な自社の立ち位置を明確にしていきます。

マーケティングプランニングの主な目的は競合不在の市場を見付け出すためであり、あるいは差別化を図るためです。

すなわち知りたいことは、参入市場の規模と成長性、顧客ニーズ、競合に対する自社の優越性です。つまり3C分析のための情報を整理し完成させることと言えます。

3C分析に必要な情報が揃ったらSWOT分析で情報を分類します。クロスSWOTで強みと弱み、機会と脅威の掛け合わせから四象限を作成したら選択と集中によってSTPを完成させます。STPが完成したら後は実行計画に落とし込むことになります。

実行計画では追跡、分析、評価をするためにKPI、KRI、KGIを設定しPDCAサイクルを回して行きます。

このように標準化されたマーケティングプランニングプロセスをより詳しく順番に解説していこうと思います。

少子高齢化による市場の偏在や顧客ニーズの多様化、地域医療計画による機能分担など、市場環境の変化のスピードとその多様性に対して、本社一元管理のマーケティングプランでの対応は難しくなりました。

地域医療構想を背景に、2025年度を見据えて加速する変化の流れへの対応を急ぐことは生き残りをかけた課題とも言えます。

製薬企業によっては、全営業所に「エリアマーケティングプランナー」などを配置する動きもみられます。

私が独自にMRを対象に行ったアンケートの結果では92%が「エリアマーケティングは必要」と回答しています。

しかし社内でエリアマーケティングのために標準化されたマーケティングプランニングのプロセスが明確化されていないケースも少なくありません。

エリアマーケティングの担当者を置いても現地での手探りによる試行錯誤の状態です。

そこでエリアマーケティングの手順について解説するブログを書くことにしました。

何回かにわけて書いていこうと思いますので是非、お付き合いください。

市場環境、顧客の消費行動、競合との競争状況を最も敏感に反映する指標は受発注データです。

受発注データは予め数値化された定量情報です。

そのため2次加工が容易で、客観的指標として共有化にも適しています。

そして、あなたが見ているその受発注データは、競合の担当者が見ているそのものと同じ可能があります。

つまり非常に危険な関係にあります。

そのような状況であっても競争優位性を得るためには受発注データをいかに活用し尽すかが競争市場で勝つための重要成功要因となります。

ダッシュボードに並ぶ数多くのデータの中で、売上実績と進捗率は、営業にとって最も関心の高いデータのはずです。

しかしただ眺めていても何も出てきません。

たとえ非常に高度な分析を行ったとしても、その結果に基づいて行動を起すための実行戦略を策定できなければ何の意味もありません。

情報を収集し、分析し、評価を行い、新たなアクションを起こすが重要です。

市場の選択においては常に「市場/顧客」、「競合」、「自社」の3Cの視点がとても重要です。

なぜなら自社は「市場/顧客」と「競合」の外部環境の影響を常に受けているからです。

市場の規模だけではなく成長性や顧客ニーズの動向を十分に考慮し、将来予測をしたうえで戦略プランを策定します。

様々な法律や規制に縛られる医薬品ビジネスは「究極のレッドオーシャン・マーケティング」であり、その競争は市場の縮小を背景にゼロサムゲームと化しています。

「必ず勝つ、絶対に負けない」ためにはリスクを避け絶対に勝てるセグメントを見つける必要があります。

それはターゲット市場においてNo,1になるということです。

しかしあまりに「必ず勝つ」ことを意識するあまり市場を狭く定義しすぎてしまっては成長のチャンスを逃す可能性もあります。

大手製薬企業であれば経営資源で競合に勝るため市場を開拓しリードすることも可能です。

持続可能な企業経営のためにはビジネスの環境に俊敏に対応する柔軟性が求められます。

ゲノム情報の集積・分析や生体機能の改変等に関する技術の急速な進歩により、医薬品開発の中心が「抗体医薬」に移行したことで、国内のバイオベンチャー・スタートアップ企業が増えています。

米国では新薬の半分がベンチャー企業によるものだと言われており、日本はまだまだ遅れているようです。

一方で大手製薬企業は製薬企業同士の合従連衡によりその数を減らしています。

今後、医薬品ビジネスの勢力図はどのようになっていくのでしょうか?

巨大企業が新興企業の前に力を失う理由を説明した企業経営の理論に「イノベーションのジレンマ」というのがあります。

なぜ、経営資源に勝る大手製薬企業が破壊的イノベーションを前に市場を明け渡してしまうのでしょうか?

大手製薬企業は新薬発売の際には市場や顧客ニーズなど得られる利益について十分な調査を行います。

そのため顕在化していないニーズに気が付きにくく、また市場規模が小さいため利益が得られないと判断することで新市場を切り開くチャンスを見逃してしまうということが起きます。

しかし規模の小さなベンチャー企業にとっては十分な利益を期待できる市場規模であるため、革新的な新技術によって新市場を開拓、選挙することが出来るというわけです。

大手製薬企業は全体市場を好み特定市場を避ける傾向がありますが、現在のようにブロックバスター製品が期待できないフェーズでは「ニッチ市場」戦略は検討すべきと言えます。

皆さんはDDDを最大限まで活用出来ていますか?

DDD(受発注データ)を手に入れることが出来る製薬企業は他業界から見れば羨ましくてたまらないと思います。

逆に言えば競合他社も手に入れることが出来るので同じデータを見ています。

上手く活用しなければリスクとも言えます。

データが1か月遅れだからとか、同一テリトリーに複数のMRがいて分割出来ないとか、データから外れている卸や大口顧客がいるや、ブリック単位までしか分からないなど、不満を言うかもしれませんがハッキリいって贅沢です。

平均25~35%のMRが非効率的な活動を行っているとの報告があります。

まずはDDDからターゲットを絞り込み、そしてSFEによってそのターゲティングの情報を堀り下げることでかなり精度の高い戦略プランを立てることが出来るはずです。

DDDによる絞り込みをしないままでSFEを用いてもターゲットを絞り込めないため非効率な活動が発生します。

データを制する者が競争市場を制するですよ。