デジタル化の進展、市場の飽和、顧客の期待値の上昇などにより、企業は競争が激化する市場で生き残り、成長するためには顧客中心の戦略を採用する必要があります。

 多くの業界では、新規参入者の増加と既存企業間の競争激化により、顧客を獲得して維持することが一層困難になっています。カスタマーセントリックなアプローチにより、企業は顧客ロイヤルティを高める必要があります。

 そのため、現在のビジネス環境において、カスタマーセントリック(顧客中心)なアプローチは非常に重要な位置を占めています。

 しかし、過去のデータに基づくパターンと傾向を元に、顧客ニーズに応えるということは、顕在化した市場に参入するということであり、顕在市場をめがけて多くの競合が参入するという意味でもあります。

 すなわち、顕在化したニーズに応えるカスタマーセントリック(顧客中心)とは、逆説的に競争環境を一層厳しくしていると言えます。カスタマーセントリックを実践する企業は、顧客のみならず競合に対してより敏感である必要があります。

 人口減少や景気後退により、市場が縮小傾向にある現在のビジネス環境は、ゼロサムのゲーム型競争市場となっています。

 市場ライフサイクルが成熟期から衰退期へ向かうフェーズでは、企業は顧客だけでなく競合にも焦点を当てることは、市場での優位性を保ち、持続可能な成長を実現するために不可欠です。