SQL(Sales Qualified Lead)とMQL(Marketing Qualified Lead)の観点から、人的営業の大多数をデジタルに置き換えることにはいくつかの誤りがあります。これらの誤りは、リードの質と営業プロセスの効率性に関わる重要な側面を無視することにあります。

SQLとMQLの基本
まず、MQLとはマーケティング活動を通じて獲得したリードで、ある程度の関心を示しているが、まだ購入の意思が確定していない顧客のことです。一方、SQLはさらに進んで営業活動によって購入の意思が高いと判断されたリードのことを指します。

デジタル化の誤り
人間の関係性の欠如: 人的営業は、顧客との信頼関係を築き、ニーズを深く理解することにより、顧客に合わせた提案が可能です。デジタル化により、このような人間関係の構築が難しくなり、結果として顧客満足度が低下する可能性があります。

特にB2B市場において、顧客のニーズは非常に複雑であり、カスタマイズされたソリューションが必要な場合が多いです。デジタルプロセスだけでは、これら複雑な要求に対応するのが難しく、SQLへの移行が遅れるか、成約率が低下する可能性があります。

人的営業では、顧客からの直接的なフィードバックを受け取り、営業戦略を柔軟に調整することが可能です。一方、デジタルプロセスではこのフィードバックが不十分になりがちで、市場の変化に対する反応が遅れることがあります。

デジタルマーケティングはMQLの生成には効果的かもしれませんが、これらのリードをSQLに変換するには、個別の対応や深い理解が必要になります。デジタルだけではこの変換が難しく、営業チャンスを逃す原因になり得ます。

企業にとって、人的接触を通じて顧客との関係を築くことは、ブランドへの信頼と忠誠心を高める重要な手段です。デジタル化はこのプロセスを損ない、長期的な顧客価値の創出を妨げる可能性があります。

人的営業の大多数をデジタルに置き換えることは、一見効率的でコスト削減につながるように思えるかもしれませんが、顧客との深い関係性の構築、複雑なニーズへの対応、品質の高いSQLの獲得といった面で大きな誤りを犯すことになります。人的営業とデジタルプロセスを適切に組み合わせることが、最終的には最も効果的な戦略となります。

不確実性が高いVUCAの環境下での意思決定は、極めて困難です。ビッグデータとデータ駆動型のアプローチは多くの場合、過去のデータに基づいて未来を予測しようとしますが、予測不可能な状況ではその有効性が限られてしまいます。このような環境下での戦略策定において、柔軟性、適応性、そしてスピードが重要になります。それを踏まえ、以下の4つのケースを考えてみましょう。

ケース①:単純なデータを単純に分析
このアプローチは、データの基本的な理解を提供し、初歩的な意思決定をサポートします。単純なデータを使った単純な分析は、ビジネスの日常運営に役立つ基本的な洞察を提供することができます。しかし、VUCAの環境では、このアプローチだけでは表面的な情報しか得られず、深い洞察や未来の不確実性に対応するための十分な情報を提供できない可能性があります。

ケース②:複雑なデータを複雑に分析
複雑なデータを複雑に分析することは、高度な技術と専門知識を要するため、一定のスキルが必要です。このアプローチは、データの深い洞察を提供し、より精密な予測や戦略的意思決定を可能にします。しかし、過度に複雑な分析は、解釈を難しくし、実際の意思決定プロセスを遅らせる可能性があります。また、VUCA環境下では、過去のデータに基づく複雑な分析が常に有効とは限らず、柔軟性や迅速な適応が求められます。

ケース③:複雑なデータを単純に分析
複雑なデータを単純に分析することは、データからの洞察を簡潔にし、迅速な意思決定を促進する可能性があります。VUCA環境では特に価値があり、迅速な判断と柔軟な戦略調整が可能になります。

ケース④:単純なデータを複雑に分析
単純なデータを複雑に分析することは、多くの場合、時間とリソースの無駄につながります。このアプローチは、必要以上に複雑なモデルを構築することで、実際には単純な問題を解決しようとします。これは、分析の目的から外れ、意思決定プロセスを不必要に複雑化させるため、避けるべきです。VUCA環境では、このようなアプローチは特に不利であり、迅速かつ柔軟な対応が求められる状況での効率的な意思決定を妨げる可能性があります。

このように、VUCA環境では、データの複雑性と分析のアプローチを適切にバランスさせ、迅速かつ柔軟な意思決定を可能にする方法を選択することが重要です。それには、データの洞察を簡潔にし、迅速な行動を促す能力が求められます。

DXS Stratify®は医薬品販売データベースを利用する、営業力強化のための低次元統計データ分析アプリケーションであり、複雑なモデルやアルゴリズムを必要とせず、基本的な統計学の原則に基づいてデータを分析する手法です。そのため、誰が行っても、何度実施しても同じ結果を得ることが出来ます。 

不確実性が高い環境下では、過去のデータや現在のトレンドに基づいた予測の信頼性が低くなります。さらに、新しいデータやトレンドが明らかになるまで戦略を調整するのが遅れがちになることもあります。

予測不可能なVUCAの環境では、さまざまなデータを分析して顧客のニーズや好み、競争の状況を予測し、それに基づいて戦略を立てるという「順推論的アプローチ」によるデータ駆動の意思決定プロセスや予測モデルでは、しばしば限界に直面することがあります。

このような状況では、予測を超えて、柔軟性、適応性、そしてスピードを優先した戦略の策定がより重要になってきます。

顧客ごとの売上実績や競合とのシェア値などの現在の結果や成果を分析し、それに基づいて戦略を調整する、「逆推論的アプローチ」は、以下の点でVUCA時代に適していると考えられます。

①具体性:現実のデータに基づいているため、戦略の具体性が高まり、実行可能性が向上します。

②即時性:現状のデータを基に戦略を立てることで、即座に問題に対処し、機会を捉えることができます。

③適応性:市場や競合の現状を正確に把握することで、状況の変化に応じた適応戦略を容易に策定できます。

医薬品販売データベースは顧客ごとの各薬剤使用情報を定量化しており、競合状況を含むため、「逆推論的アプローチ」のための理想的なデータベースと言えます。

DXS Stratify®は医薬品販売データベースを利用する、営業力強化のための低次元統計データ分析アプリケーションです。

DXS Stratify®は市場規模と競争地位および競争優位性の2軸により、自社の強みやコアコンピテンシーに基づいた顧客ターゲティングと市場規模の大きさによる顧客ターゲティングを組み合わせるという非常に戦略的なアプローチを実現します。

この2軸により製薬企業は自社の能力と市場機会をバランス良く戦略に取り入れることが出来るのです。

①網羅的な市場理解
自社の強みやコアコンピテンシーと、市場規模を考慮することで、リソースを最も効果的に活用し、成長機会を最大化できるセグメントを特定できます。

②戦略的な焦点
自社の強みやコアコンピテンシーと、市場規模を考慮することで、効率的なリソース配分を実現し、収益性の高い機会を確保するのに役立ちます。

③競争上の利点
自社の強みやコアコンピテンシーに基づくターゲティングにより、競争が激しい市場でも独自の価値提案を通じて差別化を図ることができます。

④柔軟性と適応性
市場のニーズや環境が変化した場合でも、柔軟に対応しやすくなり、変化する市場条件の中でも、効果的に顧客ニーズを満たし続けることができます。

⑤バランスの取れた成長戦略
自社の強みと市場規模の両方を考慮することで、企業は短期的な成功だけでなく、長期的な成長と安定性を目指す戦略を立てることができます。

医薬品ビジネスはその使用に処方箋が必要なため、予めターゲット顧客が明確な1on1マーケティングです。1-on-1マーケティングでは、顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズされたマーケティング戦略を実施します。

このアプローチは、顧客のニーズや好みに深く寄り添い、顧客満足度を高めることができる一方で、パレートの法則に基づくターゲティングを組み合わせる際にはいくつかの弊害が生じる可能性があります。

①過度の集中
パレートの法則によると、顧客の20%が全体の80%の収益を生み出しているとされます。1on1マーケティングにおいてもこの法則に従う場合、高い収益を生み出す少数の顧客に過度に集中してしまう可能性があります。これにより、収益の安定性が損なわれ、少数の顧客に依存するリスクが高まる可能性があります。

②市場機会の見落とし
少数の高価値顧客に焦点を当てることで、他のセグメントの顧客や市場の新たな機会を見落とす可能性があります。成長潜在性があるにも関わらず、初期段階では高い収益を生み出していない顧客群が見過ごされることがあるため、長期的な成長機会を逃すリスクがあります。

③顧客関係の脆弱化
特定の顧客群に過度に依存する戦略は、その顧客群のニーズが変化した時にビジネスに大きな影響を及ぼす可能性があります。その結果、企業はより広範な顧客基盤を持つことの安定性を欠くことになります。

④顧客満足度の偏り
ある特定の顧客グループにサービスを最適化しすぎると、他の顧客が二次的あるいは無視されていると感じる可能性があります。これにより、ブランドに対する全体的な満足度が低下し、顧客ロイヤルティが損なわれる恐れがあります。

⑤革新の欠如
高価値顧客にサービスを集中することで、既存のビジネスモデルや製品ラインに固執する傾向が生じる可能性があります。これにより、新しい市場機会や革新的なアイデアの探求がおろそかになり、長期的な競争力の低下につながる恐れがあります。

これらの弊害を軽減するためには、市場の動向を注視し、顧客基盤を多様化し、個別最適化された価値を提供するための戦略を継続的に調整することが重要です。

パレートの法則(80/20の法則)は、経済やビジネスの多くの領域で応用されている原則で、一般に「全体の80%の成果は、全体の20%の要因によって生み出される」とされています。

高度経済成長期のように市場全体が成長している時に、市場上位の経営資源に焦点を当てる戦略は、成長の機会を最大化するために有効であると考えられていました。

市場全体が拡大する高度経済成長期では、新しいビジネスチャンスが生まれ、多くの企業がその恩恵を受けることができました。しかし、現在のように市場が偏在し、縮小傾向にあり、利益を分け合うことがより困難なゼロサムゲームの環境では、パレートの法則をそのまま適用するのは困難です。

市場が成熟し、成長率が低下している場合では、自社の得意とする市場でのシェアを拡大することが重要です。そのため、市場を細分化し、自社の強みやコアコンピテンシーに基づいて特定のセグメントに焦点を当て、参入する戦略が重要になっています。

競争が少ないニッチ市場や自社の競争優位性が得られる市場を見つけ出すことで、支配的な地位を築きます。また、細分化された市場では、顧客ニーズをより深く理解し、カスタマイズされた製品やサービスを提供することで、顧客の満足度を高め、ロイヤルカスタマーを育成することができます。

現在のように市場環境が変化している中で、パレートの法則を適用する際には、その解釈を柔軟に変え、市場の細分化や自社の強みに焦点を当てることが、重要であり、成功につながる戦略と言えるでしょう。

製薬企業に勤める以前の同僚に近況を聞くと、アンケート調査が多くて忙しいと言っていました。

調査の目的や内容は知りませんが、実施数が決められていても、実施対象は明確には決められていないようです。

しかしこのように、対象顧客の属性分類を行わずにランダムにアンケートを行うことは、精度の低いデータ収集につながり、製品やサービスの改善、顧客満足度の向上、効果的なマーケティング戦略の策定に必要な洞察を提供することが難しくなります。

これではアンケートを使ったただの面談ツールであり、いわゆる手段の目的化と言えます。

例えば、医師の治療方針や処方傾向を知るためのアンケート調査において、以下の4タイプの属性で顧客を分類し、それぞれに適した質問を設計することは、製品の市場ポジション、改善点、および拡大可能性の理解を深めるのに役立ちます。

① 自社製品を高く評価している顧客
質問: 自社製品を選択した主な理由は何ですか?
目的: 自社製品の強みや魅力を特定する。

② 薬剤選択が絞り込まれていない顧客
質問: 薬剤選択の際、どのような情報を最も重視しますか?
目的: 未決定顧客がどのような情報に基づいて選択を行うのかを理解し、マーケティング戦略を調整する。

③ 競合製品を高く評価している顧客
質問: 競合製品を選択した主な理由は何ですか?
目的: 競合製品の強みを理解し、自社製品の改善点を特定する。

④ 自社製品を使用していない顧客
質問: 自社製品を使用しない主な理由は何ですか?
目的: 自社製品の認知度、価格、利便性など、使用を妨げる要因を特定する。

DXS Stratify®はこの4タイプの顧客分類を優先順位で可視化することが出来ます。さらに競合他社の視点からも同様に分析が可能なため、今後競合が実施するであろう戦略を予測し先手を打つことで競争優位性を獲得することが出来ます。

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ミクスオンラインからの報告では、MR(医薬品情報担当者)のデジタルツール利用と業務成果(活動計画の実施度)において、Web講演会の案内やその後のフォロー活動など、MR活動の効果を高めるためのデジタルコンテンツの活用が有効とのことです。

Web講演会を通じた業務成果の達成は多くのMRにとって有効な手法ですが、これを全てのMRに適用し、ベストプラクティスとして広く推奨することは出来ません。

Web講演会への参加は時間を要するため、すべての医師が参加できるわけではなく、結果として一部の医師に対するマーケティング活動が偏りがちになる可能性があります。これは、忙しいポテンシャルのある重要顧客に対する機会を逃すリスクを高めることになります。

個別最適化におけるマルチチャンネルの意義は、顧客ごとに最適な接点を提供することです。各顧客が好むコミュニケーションチャネルや情報の消費方法は異なるため、複数のチャネルを活用することで、顧客に合わせた情報提供やサービスの個別最適化が可能になります。これにより、顧客満足度の向上、関係の強化、最終的には業績の向上に寄与することができます。

さらに多くの製薬企業がWeb講演会を同様に推進することは、同一化を促し、差別化の機会を減少させます。そして参加に時間を要するWeb講演会は直ぐに飽和状態になります。その実施方法や内容の質、ターゲット顧客へのカスタマイズにより、提供する価値の独自性や、顧客エンゲージメントの方法によって競合から差別化を図ることが重要です。

個々の市場の特性、対象医師の好みを考慮し、個別最適化された戦略を立てることに加えて、競合他社に対する差別化が、最終的な業務成果、そして売上の向上につなげるためには重要です。

DXS Stratify®は個客と競合の3Cの視点から、市場環境を定量化および可視化することで、個別最適化のためのチャネル選択と競争優位性を得るための活動量を知ることが出来ます。

【本社部門の方への問い】

Q:データ分析に基づく客観的な提案をしても、営業部門からの理解を得ることが難しいと感じたことはありますか?

Q:営業部門がデータ分析や論理的推論による客観性の高い提案よりも経験則や直感を優先していると思うことはありますか?

Q:自分の提案を営業部門に理解してもらうための適切なコミュニケーション方法を見つけることに苦労したことはありますか?

Q:営業部門の納得感を得られず、それが機会損失や成果につながっていない原因だと感じたことはありますか?

Q:組織内でデータ駆動型のアプローチがまだ定着しておらず、自分のプランやアプローチが孤立していると感じたことはありますか?

【営業部門の方への問い】

Q:営業現場での経験や直感が重要であるにもかかわらず、本社の提案がこれらを反映していないと感じたことはありますか?

Q:営業現場での苦労や努力が本社には正確に伝わっていないと感じたことはありますか?

Q:本社は営業現場が直面する課題や複雑さを完全に理解していないと感じたことはありますか?

Q:営業担当者の経験や洞察が組織全体の戦略立案プロセスで十分に評価されていないと感じたことはありますか?

Q:本社が現実の市場環境や顧客のニーズを十分に理解していないと感じたことはありますか?

Q:本社の提案が現場の実情や顧客のニーズから乖離していると感じたことはありますか?

ビジネス戦略における製品開発には、機能駆動型(プロダクトアウト型)とデータ駆動型(マーケットイン型)の二つのアプローチがあります。従来、製薬企業は研究開発成果に基づいて製品を開発し、その後市場を開拓するプロダクトアウト型が主流でした。しかし、近年では既に顕在化している市場へ参入するマーケットイン型のビジネスモデルへの移行が顕著になっています。

プロダクトアウト型は、革新的な製品やサービスを開発し、それによって新たな市場を創出するアプローチです。例えば、高脂血症や骨粗鬆症など、従来は積極的な治療対象ではなかった疾患が、大規模臨床試験による治療の意義の確立やガイドライン、検診によるスクリーニングを通じて、新たな市場を創出したことがその例です。

一方で、マーケットイン型は、既存の市場のニーズに応える製品やサービスを開発する手法を指します。このアプローチでは、市場が顕在化しているためリスクは比較的低くなりますが、市場の成長が既に一定の段階に達しているため、市場シェアの獲得が非常に重要になります。

多くの製薬企業がプライマリー領域からより専門的かつ高度なオンコロジー領域へとシフトしており、競争環境が厳しくなっています。このような環境では、顧客の獲得には競合他社との差別化が不可欠です。

マーケットイン型のビジネスモデルでは、市場がすでに顕在化しており成長余地が限られているため、競合からシェアを奪うことが収益成長の主な手段となります。

DXS Stratify®は、市場、顧客、競合の3C(Company, Customers, Competitors)分析とマーケットシェア理論に基づく戦略プランニングをサポートするデータ分析アプリケーションです。医薬品販売データベースを活用し、精緻な市場分析を提供します。

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