マーケティングオートメーション(MA)やデータ駆動型のアプローチでは、顧客の行動パターン、嗜好、購買履歴などから「ウォンツ」(欲望や願望)を把握することは比較的容易ですが、より深層の「ニーズ」を理解することは難しい場合があります。

「ウォンツ」は顧客が明確に表現することが多く、購買行動やアンケートの回答、ソーシャルメディア上の発言などから直接読み取ることができます。これに対し、「ニーズ」は人間の基本的な心理的、生理的要求に関わるものであり、顧客自身が意識していないことも多く、表面的なデータや行動分析だけでは把握しにくいものです。

ニーズを理解するためには、顧客の生活習慣、価値観、社会的背景など、より深いレベルの洞察が必要になります。これには、「定量的」なデータ分析だけでなく、「定性的」な研究手法も組み合わせる必要があります。例えば、インタビュー、フォーカスグループ、エスノグラフィック調査(顧客の日常生活を観察する研究手法)などがあります。

マーケティングオートメーションは顧客の行動や好みを追跡し、パーソナライズされたコミュニケーションを自動化するのに非常に効果的ですが、これらのツールだけに依存していると、顧客の表面的な欲求には応えられても、より深いレベルのニーズを見逃すリスクがあります。

したがって、顧客の真のニーズを理解し、長期的な顧客関係を構築するためには、マーケティングオートメーションを補完する形で、多角的なアプローチを取り入れることが重要です。