シェア値上位2製品が拮抗している場合のマトリクスフレームを見てみます。

シェア値は自社製品が26%、競合製品Cが27%の自社1%ビハインドです。

自社製品はd行フレームに顧客が存在しない綺麗な分布をしています。

競合製品Cはd行にも顧客が存在し、Abフレームも空欄です。

現状は拮抗から自社製品がやや優勢といったところでしょうか。

さらに競合製品Cにシェア差をつけ一強型にするためには、Aaフレームの顧客で市場拡大が可能か可能性を検討すること、そしてAbフレームの顧客を早急にAaにランクアップすることです。

大手製薬企業の撤退が進む生活習慣ですが、「治療満足度と薬剤の貢献度」の調査においても多くのプライマリー領域製剤が既に必要な薬剤は揃っており治療効果にも満足して象限に分類されています。

面白いことに糖尿病治療は既に満たされている象限に分類されていますが、糖尿病の合併症治療においては未だ満たされていないとの結果が出ています。

本来ならば糖尿病の治療の目的は血糖値の低下ではなく、血糖値をコントロールすることによる合併症予防が目的です。

SGLT2阻害薬フォシーガは日本で初めての慢性腎臓病の治療薬として承認を取得しました。

CKD国内患者数は1330万人と推定され多くは未診断であり早期の診断・治療により進行を抑制することが重要とされています。

そして2022年4-6月期に糖尿病治療剤の製品別売上金額で11年ぶりにそれまでトップだったDPP-4阻害薬ジャヌビア錠を抜き首位交代しました。

新たな適応症を取得することが必要ではありますが、既存製品による新規市場を獲得した事例です。

事業の成長・拡大を図るための4つの戦略として「アンゾフの成長マトリクス」が知られています。

市場と製品を新規と既存の2軸によって4象限に分類します。

フォシーガの新しい適応拡大の事例は「新市場開拓戦略(新規市場×既存製品)」に該当します。

新市場開拓戦略は衰退期にある製品を同じ技術から新たな製品やサービスを生み出すことによって新たに市場を開拓しその市場の独占を目指す戦略です。

市場規模が縮小し売り上げが減少していくプライマリー領域から撤退する製薬企業が出てきており、市場に隙間ができることで市場を独占するチャンスを得られる可能性があります。

今後もゲームチェンジャーは登場するでしょうか?

日本の宮大工はコンピューターや最新の建築道具など使用せず、直角に曲げられた曲尺と呼ばれる定規だけで微分積分、平方根、三角関数と言った建築に欠かすことの出来ない全ての数学的情報を算出することが出来る規矩術という技法を持っています。

曲尺の表には正規の目盛り表目 (おもてめ) を、裏にはその√2倍(角目)や1/π倍などの目盛りが刻まれているだけです。

デジタルによる進化は人に代わって多くの物事を行ってくれるようになりましたが、反面より複雑でブラックボックス化しているように感じます。

CRMに必要な分析にはREF分析、デシル分析、CPM分析など数多くありますが、その内容まで理解して使用している方は多くないでしょう。

その一方で多くの入力作業を必要とし、どのようなプロセスによって導き出されたか分からないサジェスチョンに従って活動を数値的にこなす今の営業はどのような心境でいるでしょうか?

マトリクス分析法は定量データと数式を組み合わせたいわばデジタルですが、分析結果を読み解き、最適な戦略を決めるのは私たちの自身です。

そこに面白さと喜びがあると私は思うのですがいかがでしょうか?

オンコロジー領域では一般に競合製品とされていても実際には厳格なインディケーションの違いから競合というより適応症例をいかに獲得するかが主眼になります。

また専門医と診療体制を有する医療機関が対象のためMRあたりの担当施設が少なく厳格なターゲティングは不要かもしれません。

しかしオンコロジー領域は順次適応拡大を図るためいずれ正面からの競合製品となる可能性があるでしょう。

適応拡大の際に競合製品はどこを中心に活動を展開するのか?先手を読みカウンターを撃つことが競争優位性につながります。

マトリクス表を見れば少なくとも現状では担当4施設に対して均等にリソースをかけることが理にかなったことではないと分かるでしょう。

コロナに感染しました。

ブログ記事の更新も不定期になっています。

最近流行っているようで私の周りでも感染した方は多く、喉の痛みが主症状のようです。

とはいえそれではランチ時のたわいもないエピソードです。

4回目接種を検討されている方にはエピソードではなくエビデンスが必要でしょう。

ブースター接種をためらっていた妻も急に接種予約を入れる始末です。

私も喉の痛み以外はただの風邪といったところです。

ざっと拾えるデータを揃えてみました。

どのように判断させるでしょうか?

自己判断とは言われてもスポンサーがついたTVのニュースを鵜呑みには出来ませんよね。

【コロナの現状】

日本の人口 
125,194,000 
感染者数感染率
166,2050.13%
重症者数重症化率
6140.37%
死者数死亡率
3070.18%

【コロナ症状の定義】

重症集中治療室、人口呼吸器が必要
中等症II酸素投与必要、酸素飽和度93%以下
中等症I呼吸困難、肺炎の所見、酸素飽和度93〜96%
軽症肺炎の所見なし、酸素飽和度96%以上

【ワクチンの効果】

年齢別死亡率、重症化率 2022年厚生労働省

20代では接種/未接種にかかわらず死者/重症者はゼロ

【懸念点】

ワクチンによる副反応および有害事象

【ワクチン接種と死亡】

ワクチン接種後の心筋炎死亡率は、一般人口 (2019 年人口 ) と比較して、有意に上昇していた。

特に20 代、30 代では心筋炎死亡率がそれぞれ約 21 倍、14 倍、疑い例を含めるとそれぞれ 35倍、16 倍と著しく高率であった。

接種後死亡例の報告漏れや、接種者がふだん健康であること、死因が正確に診断されていない可能性(誤 分類)などを考慮すると、ワクチン接種後の心筋炎死亡率はさらに高くなる可能性がある。

https://npojip.org/chk_tip/No101-f05.pdf

【20代の死亡例の報告】

米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンの接種後、男性4人が心筋炎を発症し死亡したと報告した。

うち2人は20代男性で、若い男性へのモデルナ接種をめぐっては、心臓の筋肉に炎症が起こる心筋炎などが出る割合が比較的高いとして、厚労省が注意を呼び掛けている。

心筋炎で死亡した事例が報告されたのは、モデルナ製では初めて。接種との因果関係はいずれも評価不能とされた。先行したファイザー製でも死亡事例は13例あり、若い男性に限ると20代の死亡例が1例ある。

【ワクチン接種と死亡の因果関係】

ワクチン接種後死亡して報告があった症例の内,半数 を超える人が数日以内に亡くなっている事実はワクチン接種とそれら死亡の間には,密接な関連があることを示唆している。

死亡者数は年齢とともに増加するが,年齢と死 亡までの日数との間に相関はみられない。心臓, 脳,肺の血管系障害および血栓症が死亡の 30% 近くを占めており,これはワクチンの作用機序から当然推測されることである。

しかし,当委員会 の決定のほとんどが因果関係については NE であ り,中には,因果関係有との報告がなされたにもかかわらず NE とされた症例(2021 年 8 月 4 日時 点で評価が完了した症例 668 例中 44 例(補足資料 SA1-9,SA1-10))もあった。

NEの決定は科学的な考察を放棄することを意味し,必ずや将来に 禍根を残すことになるであろう.当然のことながら,ワクチン接種後の死亡例については可能な限り病理解剖を行って病理発生プロセスの解明を進 めるべきである.

http://cont.o.oo7.jp/49_3/p499-517.pdf

本日もサンプルデータを用いたマトリクス分析をしてみましょう。

市場は3強型を形成しており自社製品はシェア値で2位の位置にいます。

ではシェア値1位の競合製品④と2位の自社製品を比較しながらマトリクス分析を見ていきましょう。

2製品の全体市場におけるシェア差は9%で、Aaはいずれも2顧客です。

自社製品にはAbフレームに該当する顧客が不在です。

しかし両製品が大きく異なるのはその中身です。

競合製品④のAaフレームの顧客は病院セグメントであるのに対して自社製品はBrick、すなわち200床以下のクリニックです。

病院であれば現状の訪問している診療科、顧客以外に訪問範囲を拡大することで市場拡大が期待出来ます。

新規の口座開設も移動の手間もなく、既に院内でNo,1製品であるため攻略難度はそれほど高くないでしょう。

特に大学病院が含まれていることから波及効果の面でも大きく期待できます。

近い将来、競合製品④は一強型へと進むと思われます。

自社製品の戦略はシェア差わずか2%の競合製品⑧を早急に引き離し上位2製品に踏みとどまるかが重要となります。

マトリクス分析ツールを使ってデータ分析をしてみます。

全体市場におけるシェア値から分かるように分散型の市場です。

製品ごとにマトリクスを比較していますが1製品を除きどの製品もAaがありません。

非常に混戦で競争環境は厳しいと推測されます。

またAaがある製品はAb顧客もあり、競合の中で抜け出す可能性があります。

いずれにせよどの製品も共通してAbフレームから顧客ごとに攻撃目標の製品を定め早急にAaにランクアップさせることが重要です。

SOVを主体とした数にモノを言わす戦略は既に過去のもとなりました。

とはいえ人的アプローチが顧客の購買行動における主要因子であることはこれからも変わることはないでしょう。

しかしながら製薬企業を取り巻く様々な変化は人員を潤沢に抱える事を許容出来なくなりつつあります。

とすれば限られた人員で競合の戦力を上回り縮小する市場で戦う術を持たなければなりません。

限られた戦力による精度の高いターゲティングと最適なリソース配分、顧客攻略のポイントを的確に捉えるための理論とプロセスが必要なのです。

12のフレームよるマトリクス分析は戦力を集中して投入すべき主戦場と、ゼロサムゲームの対戦相手である主敵、そして布陣として勝つためにすべき指針を視覚化します。

12のフレームの中で最もリソースを投入すべきは強化に分類されるAbです。

このフレームでは競合に対して圧倒的にシェアの差をつける必要があります。

そして強化フレームにリソースを集中するために撤退フレームから再配分することになります。

そして強化フレームでは顧客/施設ごとにマーケットシェア理論を参照して主敵とする競合を決めます。

射程距離理論を用いれば攻撃目標、競走目標が分かるでしょう。

この一連の手順はやるべき事を決めることであり、やらない事を決めること、すなわち戦略です。

市場が縮小する成熟期から衰退期ではリソースの配分と競合を意識した戦略が不可欠です。

市場内の競合製品全てを対象に差別化を行うなど、リソースを割り当てていては戦力が分散してしまい競合製品の戦力に押されてしまいます。

攻撃目標となる競合製品を定め、リソースを集中投下しなければなりません。

では複数の競合製品がある場合にはどのように似て攻撃目標となる製品を決めれば良いでしょうか?

マーケットシェア理論では競合との市場内シェアの差から相対的に決めることになります。

現状で市場内で最もシェア値が高いのは競合製品ブルーです。

そして自社製品は競合製品ブルーに次ぐ2番手のシェアとなっています。

そして自社製品の後は競合製品レッド、イエローの順番です。

シェア値にシェア値の差を追加すると競合製品ブルーと競合製品レッドはいずれも√3倍以内の射程距離圏内にあります。

どちらを優先して攻略すべきでしょうか?

理論上は競合製品ブルーも射程距離圏内であり攻略可能ではありますが、ややシェア値の差が大きすぎます。

逆にみれば競合製品ブルーは射程距離圏内にある自社製品を今のうちに潰しておきたいでしょう。

また競合製品レッドはシェア値の差で自社製品が上回りますがシェア値の差がほとんどなく、自社製品を脅かす脅威であるため早めにシェアを奪い市場から駆逐したい存在です。

まず早急に競合製品レッドからシェアを奪い競合製品ブルーとのシェアを詰めることが先決です。

競合製品イエローから自社製品に切り替えることができれば一気にシェアを高めることができますが、競合製品イエローはニッチ市場戦略の場合があるため時系列で実績推移を確認した方が良いでしょう。

戦略で必要となる「主戦場」「主敵」「布陣」、つまり「どこで:where」「だれが:who」「どんなふうに:like how」について具体的に想起出来るように事例を紹介しようと思います。

特に「布陣」=「どんなふうに」については馴染みがなくイメージしにくい方も多いかもしれません。

「どんなふうに」と「どうやって」は似ているようで非なるものです。

「どんなふうに」は戦略における「指針」であり、進むべき方向をしめす基本的な方針です。

指針を具体的に策定することで目指すゴールが明確になり組織全体が同じ方向を向いて進むことが出来ます。

一方「どうやって:in what way」は目的を達成するための「手段」でありビジネスにおけるマーケティングに該当するものです。

ともすれば「どうやって」に主眼が行きがちですがまず戦略の2W+1Hを精察することが最優先課題です。

私が顧問を務める医療法人と不眠症治療をサブジェクトに戦略と戦術を2W1H+1Wで考えてみましたがいかがでしょうか?