大手製薬企業の撤退が進む生活習慣ですが、「治療満足度と薬剤の貢献度」の調査においても多くのプライマリー領域製剤が既に必要な薬剤は揃っており治療効果にも満足して象限に分類されています。

面白いことに糖尿病治療は既に満たされている象限に分類されていますが、糖尿病の合併症治療においては未だ満たされていないとの結果が出ています。

本来ならば糖尿病の治療の目的は血糖値の低下ではなく、血糖値をコントロールすることによる合併症予防が目的です。

SGLT2阻害薬フォシーガは日本で初めての慢性腎臓病の治療薬として承認を取得しました。

CKD国内患者数は1330万人と推定され多くは未診断であり早期の診断・治療により進行を抑制することが重要とされています。

そして2022年4-6月期に糖尿病治療剤の製品別売上金額で11年ぶりにそれまでトップだったDPP-4阻害薬ジャヌビア錠を抜き首位交代しました。

新たな適応症を取得することが必要ではありますが、既存製品による新規市場を獲得した事例です。

事業の成長・拡大を図るための4つの戦略として「アンゾフの成長マトリクス」が知られています。

市場と製品を新規と既存の2軸によって4象限に分類します。

フォシーガの新しい適応拡大の事例は「新市場開拓戦略(新規市場×既存製品)」に該当します。

新市場開拓戦略は衰退期にある製品を同じ技術から新たな製品やサービスを生み出すことによって新たに市場を開拓しその市場の独占を目指す戦略です。

市場規模が縮小し売り上げが減少していくプライマリー領域から撤退する製薬企業が出てきており、市場に隙間ができることで市場を独占するチャンスを得られる可能性があります。

今後もゲームチェンジャーは登場するでしょうか?