謹啓 時下 ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

さてブログでもご紹介させていただいたマトリクスを用いた分析ですが、その新規性と進歩性により、経済産業省特許庁より特許番号:特許第7101426号を取得することができました。

またこのたび、拙書ながら発行セルバ出版、発売三省堂書店より「医薬品業界に学ぶ レッドオーシャンマーケット・サバイバルガイド」を上梓する機会をいただきました。

出版を記念して先着30名の方にに無料にて献呈させていただきます。

弊社ホームページのお問い合わせから送付先住所と内容欄に書籍希望と記載のうえお申し付けください。

特許取得を記念して無料相談会も実施しております、その他ご要望がございましたら合わせご連絡お待ちしております。

今後とも、何卒よろしくお願いいたします。

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謹白

MRの皆さんの中にはKPIの通りに活動しても成果に結びつかないと感じられている方は多いのではないでしょうか?

製薬ビジネス研究会でMRの方を対象としたアンケート調査でも実に90%以上の方がKPIの通りに活動しても成果には結びつかないと回答しています。

これは多くの製薬企業が導入する消費材を主体としたマーケティングの手法が医薬品ビジネスでは機能しないことに由来します。

消費材マーケティングでは分散市場における不特定多数の顧客を対象とするためにマスマーケティングになります。

その過程で、出来るだけ顧客とのタッチポイントを増やし、購買確率の高い顧客をスクリーニングし取り込んでいくかが主なプロセスです。

そのためMA(マーケティングオートメーション)によって一連の過程をデジタルに置き換えることで購買確率の高い顧客を抽出するプロセスを効率化出来るのです。

一方で医薬品ビジネスではターゲット顧客が不明であることはまずあり得ません。

ターゲットは購買意欲を有する人だけではなく、KOLやインフルエンサー、市場規模の大きさなどから選定されるため「顧客獲得」だけではなく「顧客攻略」の要素が非常に強くなる傾向があります。

そのためKPIのように絶対値による活動目標数を設定した活動効率化は機能しません。

顧客の行動変容を計る指標が必要になるのです。

MR認定センターから21年度のMR総数が報告されました。

21年度のMR総数は5万1848人で8年連続の減少です。

下げ幅としては過去4番目に大きな下げ幅となっています。

しかし医薬品業界全体で進むMRの減少のようであっても実際には、調査対象202社のうち1/3は変化なしと回答しており、10%以上の減少があったのはわずか9%です。

これは減少幅の大きさから一部大手製薬企業が大規模な人員削減を行っているものと推測されます。

関数による試算をしてみましたが推定値より大きな削減が行われていることが分かります。

社会保障費の削減の影響は多くのパイプラインをもつ大手製薬企業ほどより深刻です。

MR不要論が囁かれる昨今ですが実際には一部の現象に過ぎないのかもしれませんね。

薬価差の在り方に関する議論が活発化してきました。

焦点の一つは「医療機関や薬局の経営原資の一部」となっている点です。

元来、市場経済では需要と供給のバランスで決まる価格においても公的な薬価制度により保護されています。

製品価格は需要と供給バランスで変動し、購入には個人の経済水準などが影響しますが、医薬品では国民皆保険により経済的な理由に依存せず医薬品を受け取ることが出来ます。

また医薬品の価格は薬価制度による公定価格が定められており、価格競争による薄利多売によって利益確保が困難になることもありません。

そしてこのような独占市場の問題点は認識されつつも容認されています。

なぜなら新薬開発には莫大な費用と時間がかかるために、一定期間の独占的な利益を得ることを容認しなければ開発資金の回収が見込めなくなることから製薬会社が新薬開発に消極的になり、治療に必要な画期的新薬が供給されなくなることを回避するためです。

さらに循環的に薬価が低下することで、最終的に国民負担の軽減につながっていることも事実です。

どうやるかは目的を実現するための「手段」です。

厚生労働省の有識者検討会でどのような話し合いが行われるかは分かりませんが、「医薬品の迅速・安定供給の実現」という目的を見失わないようにしなければなりませんね。

戦後、日本の総人口は増加を続け、1967年には初めて1億人を超えましたが、2008年の1億2,808万人をピークに減少に転じています。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、我が国の人口は2048年に9,913万人と1億人を割り込み、2060年には8,674万人まで減少すると見込まれています。

長期的に見ると、明治時代後半の1900年頃から100年をかけて増えてきた人口は、今後100年のうちに再び同じ水準に戻ることが見込まれ、これまでの歴史を振り返っても類を見ない水準の人口減少を経験することになります。

少子高齢化など社会環境の変化は製薬業界においても今後益々業績の二極化を推し進めることになるでしょう。

このような環境の変化により将来の予測が困難なVUCAの時代にはこれまでの常識が覆されるような従来とは全く異なる視点や価値観をもって市場に大変革を起こすような企業や製品・サービスが登場することがあります。

未来が過去の延長線上にない今、経験則や感覚に頼ることは出来ない時代に入っています。

時代を見通す「戦略」を持つことで既存の市場ルールを無効化し、一気に業界トップに躍り出ることも可能ということですね。

最適なデジタルマーケティングのコミニュケーションチャネルとは目的に応じて相対的に決まります。

AIDMAなど顧客の行動変容のフェーズに応じて有効なコミュニケーションチャネルが提唱されています。

そして最も処方インパクトがあるのは人的販売です。

なぜ人的販売が最も処方インパクトが高いのか?

それは顧客獲得と顧客攻略の両面が必要なこと、デジタルによるテキストでの情報量では少ないこと、情報の洪水を整理し個別化して提供する必要があることからも明らかです。

メールやチャットなどのコミュニケーション代替ツールは対面によるコミュニケーションよりも事実を過不足なく伝えられるメリットがある一方で、使用される語彙数は、日本人が日常的に話したり、聞いたりする語彙数の5分の1にしかならないというデメリットがあります。

すなわち、対面コミュニケーションの1.4%程度の情報量しかオンライン言語ツールでは伝達出来ておらず、情報量が圧倒的に不足しています。

特に医師のような言語情報による認知特性を持つ顧客では処方インパクトが得られない可能性があります。

医薬品は高度な情報を伴う製品であるため、製薬企業は顧客が知り得ない非常に多くの情報を有することで顧客よりも有利な状況を得る「不完全競争」市場です。

しかし顧客が自社製品の情報にリーチしやすいようにデジタルを推進することで、顧客は自社製品の情報だけではなく、競合製品の情報を入手することで容易に比較することが出来るようになります。

その結果、顧客は既に必要な情報を得ているため、情報における企業側の優位性が薄れ、消費者主権の完全競争市場へとシフトすることでセールスが機能しなくなります。

一方で洪水のように情報が溢れていることで、かえって選択を困難にしている側面もあります。

そのため新しい製品に対するニーズが希薄化することで「選べないのでどれも選ばない」という状況を招く可能性があります。

それらを解消するためにはMRが顧客個々に合わせて情報を選択し提供する必要があります。

医薬品ビジネスにおけるデジタルマーケティングの特殊性を理解する必要があります。

デジタルマーケティングは消費材マーケティングのように顧客の顔が見えない、分散市場における不特定多数を対象としたマスマーケティングにおいては非常に効率的です。

しかし購入者である医師と、消費者である患者の2段階構造(B to B to C)である医薬品ビジネスでは、マスマーケティングだけではなくむしろダイレクトマーケティングが重要です。

すなわち受注確率の高い顧客の獲得だけではなく、顧客攻略の両面が求められます。

また高度な情報を伴う医薬品では顧客の自社製品の情報へのアクセスを高めるとともに、顧客が情報を持つことによる不完全競争から完全競争への移行を防がなければいけません。

またデジタルではテキストによる言語情報での情報提供が中心となりますが、情報量が不十分になることで十分な情報を顧客に届けられない可能があります。

このような背景からデジタルによる情報提供は当初期待した処方インパクトが得られていません。

医薬品ビジネスの特殊性を理解する必要があるでしょう。

「電子カルテ情報の標準化」や「診療報酬改定DX」など、今後の医療機関経営に大きく影響を与えるデジタル化の動きが活発になっています。

現在の電子カルテの競争状況を調べてみました。

1位の製品のシェア値が22%とまだまだ安定目標には達しておらず、2強型市場を形成しています。

26%を超えれば一強型市場も見えてくるでしょう。

3位のシェア値が8%弱であることから少なくとも7%未満の製品が7つ以上あるということです。

1位の製品の納入数は3600件前後なので納入実績が100件未満の製品が多く存在することが推測されます。

クープマンモデルでは7%以下は撤退の基準となりますが、電子カルテを一度導入したのに撤退されてはリスクが大きすぎます。

このケースでもシェア値が高い強者が市場内で優越性を持つことが分かるかと思います。

DXが進むにつれ、単に電子カルテの機能だけではなく、予約やAI問診、オンライン診療から支払いまで連携が必要なシステムは多く、これらを一気貫通で提供できる企業が市場を席捲することになるでしょう。