KPIの設定においてもストーリーが重要です。
一流のマーケターは戦略にストーリーを持たせます。
ストーリー化することで納得度が高く実効性、再現性が高くなるからです。
KPIの設定においてもストーリーが重要です。
一流のマーケターは戦略にストーリーを持たせます。
ストーリー化することで納得度が高く実効性、再現性が高くなるからです。
老舗製薬企業の一つである田辺三菱製薬は、昨年3月に上場廃止し三菱ケミカルホールディングスグループの完全子会社となりました。
2期連続の営業赤字を見込むなど苦戦が続く中、成長戦略の柱として “プレシジョンメディシン” と “アラウンドピルソリューション”の提供を提唱しています。
プレシジョンメディシンとは適切な医療を、適切なタイミング、適切な患者さんに届けることにより患者さんの治療満足度を高め、アラウンドピルソリューションとは治療薬を起点とし、予防から予後にかけてソリューションを提供することです。
簡単に言えば早期発見、早期治療、継続的治療の患者の囲い込みと言えるでしょう。
人口減少により、医薬品マーケットはパイを奪い合うゼロサムゲームです。
薬物治療を開始するフェーズからの競争では遅すぎます。
これはペーシェントトリートメントフローにおけるバリューチェーン戦略でもあります。
治療における各フェーズで価値提供を実現し、顧客を獲得したら手放さない戦略です。
さてこの戦略は赤字から黒字へ転換の起爆剤となるでしょうか?
皆さんご存知のように医薬品ではMorbidity and Mortalityという考え方があります。
死亡率/罹患率に関するリスクです。
例えば高血圧患者では降圧薬の投与により血圧を低下させる治療を行います。
血圧を適正値にコントロールすれば生命予後が改善するという仮説です。
降圧薬を投与した患者で血圧が改善するのは当然のことですが、総死亡を改善したか否かを検証する必要があります。
総死亡には自殺や事故、寿命など一見薬剤とは無縁と思われる死亡原因も含まれます。
総死亡が減少せず、逆に増加した場合には現時点では因果関係は無いとされていることが実は薬剤の投与が原因となっている可能性があります。
大阪でのコロナワクチンの有用性についての記事がありました。
60歳以上
未接種:死亡率4.6% 重症化率6.1%
接種済:死亡率1.6% 重症化率1.9%
40~50歳
未接種:死亡率0.3% 重症化率2.2%
接種済:死亡率0.0% 重症化率0.1%
20~30歳
未接種:死亡率0.01% 重症化率0.2%
接種済:死亡率0.0% 重症化率0.0%
接種者は未接種者より低下しています。
総死亡を知るために超過死亡数を調べました
1~5月
全国:5076~24300人/1億2千500万人
東京:61~451人/1400万人
大阪:865~1300人/885万人
兵庫:514~834人/540万人
大阪の超過死亡が突出して多いことが気になります。
超過死亡は冬季には増えますが4~5月に増加することはまずありません。
医師、医療関係者のワクチン接種から始まり高齢者の接種が始まったのは4月1日以降ですが当然ながらコロナとの因果関係は不明です。
接種率が大きく異なる年代別感染率が全て減少している点も検討すると面白いかもしれません。
これまでも生活習慣改善や健康管理のためのアプリはありましたが、最近では治療用アプリの開発も活発になって来ました。
厚生労働省に承認されれば保険適用され、医療の一環として医師の処方があれば使用可能になるそうです。
第一三共株式はがん患者様を支援する治療アプリ、大日本住友製薬は2 型糖尿病管理指導用モバイルアプリを開発しています。
田辺三菱は重点領域の一つである鬱病や統合失調症などの治療に関するアプリや、薬の飲み忘れを防ぐ服薬管理アプリの開発を行っています。
ではなぜ製薬企業は患者用アプリの開発に積極的なのでしょうか?
製薬企業は患者に対して直接的なマーケティングを行うことは出来ません。
しかし適正使用やコンプライアンスの改善は製薬企業の果たすべき役割であり、ビジネスとして市場の拡大にもつながります。
従来は医師・薬剤師を介して行うしかありませんでしたが、アプリを提供することで患者への直接マーケティングが可能になります。
競争市場で競合に勝つためにはどうすれば良いでしょうか?
射程距離理論では2者間競争の場合には競合の3倍、多者間競争の場合には√3倍の戦力を投入すれば必ず勝つ、悪くても絶対に負けないとされています。
では何を3倍(√3倍)すれば良いのでしょうか?
それを明確化するのがKPI設定です。
皆さんは(皆さんの会社では)どのようにKPIを設定しているでしょうか?
勿論、ただ単に出来る活動を思いつくだけ上げれば良いわけではありません。
目的に応じて、それを実現するために必要な活動と活動量を決めます。
では必要な活動と活動量はどのようにして決めれば良いでしょうか?
活動と活動量を明確化するにはモデル式を活用すると良いでしょう。
EXCELで数式を埋込めば、どの要因を動かせばどれだけ売上が変化するかシュミレーションすることが可能です。
実現したい目的と、その目的を実現するために必要な活動と量からKPIを設定します。
活動を確実に実行するために、活動内容を明確にし数値化するKPIを設定していると思います。
ではKPIの役割はなんでしょうか?
売上を上げるためには顧客に自社製品を処方してもらわなければなりません。
処方させるという行動変容を顧客に起こさせるための活動がKPIです。
すなわちKPIは顧客の行動変容を起こさせ処方を獲得することが役割となる指標です。
ですのでKPIを100%完遂しても顧客の行動変容を起こし売上が向上しなければ意味がありません。
KPIは固定ではなく機能していないようであれば変えていく必要があります。
本社が設定した最大公約数のKPIは市場の偏在や顧客ニーズが多様化する中では必ずしも自分の担当エリアと一致しない場合があります。
定期訪問やWeb面談、講演会の招聘などお品書きから選べば良いというわけにはいかないのです。
既に多くの製薬企業がオンラインによる顧客とのつながりを構築しています。
オフラインに変わる新しいマーケティングアプローチによる顧客とのつながり強化を模索している過渡期と言えます。
従来のMRによる顧客との面談ありきの前提からの脱却しようとしています。
消費材などの商品を購入する場合、オンラインであれば店舗に出向く必要もなく、自分で運ぶ必要もありません。
消費材によっては定期購入することで手間が大幅に省けます。
医薬品業界はどうでしょうか?
元々、顧客である医師は自分から製薬企業を訪ねて情報を得る必要はありません。
招こうと招かざろうとMRは勝手に訪問し情報を提供していきます。
またWebサイトを訪れて情報を入手し、購入を決めたとしても卸に発注して配送を待つ必要があります。
ある意味でオンラインチャンネルオフラインとオンラインが自然と融合している業界です。
新しいハイブリッド型のビジネスを考案する余地は大いにありそうですね。
今年の国内主要製薬企業の2021年4~9月期決算が報告されました。
昨年の国内主要製薬企業7社の4~9月期決算は、18社中8社が減収、10社が営業減益、2社が営業赤字、前年同期売上高は5%減、営業利益は13.4%減でした。
今年の国内主要製薬企業7社の4~9月期決算では、売上高は前年同期比10.9%増、営業利益32.7%増と回復の兆しを見せています。
しかし国内事業では6社(武田除く)で1.6%減とまだまだ厳しい状況が続いています。
経済性もさることながら少子高齢化による人口の減少は市場の縮小そのものを意味します。
特に気になるのが超過死亡です。
今年は例年になく大幅に超過死亡数が増えています。
全ての月で毎月1万人に近い数で前年より多くの方が亡くなっています。
コロナが原因であるのか、来年以降もこの傾向が継続するのかは不明ですが良い兆候ではないでしょう。
衆議院選挙の小選挙区と比例代表を合わせた465議席の配分が決まりました。
開票結果から『競争地位』を算出してみましょう。
自民党は276議席から15席減らしたものの、単独で国会を安定的に運営するための「絶対安定多数」である261議席を確保しました。
議席占有率は56%の安定目標値、安定的な強者の位置におり独走態勢にあります。
立憲民主党は選挙前の109席を下回り96議席です。
議席占有率は21%の上位目標値、弱者のなかの相対的強者ではあるが伸びるか落ちるか不安定です。
選挙前の4倍近い議席を獲得し第三党に躍進した日本維新の会ですが、9%の存在目標値、存在が認められるが市場への影響力は無く撤退の基準です。
同じく、存在目標値の公明ですが、自民党との連立により安定的な位置にいると言えるでしょう。
自民党の議席占有率と野党第一党の立民の議席占有率は√3倍を超えており、射程距離理論では圏外となり攻撃目標にはなりません。
射程距離に入るためには最低でも議席占有率を35%まで増やしたいところです。
候補者の一本化は良い戦略だと思いますが、政権を執るには、やはり連立するしか議席占有率を上げる方法がありません。
しかしクープマンモデルでは100:0になることはまれです。
多者間競争の場合、通常は2:1が最も安定したシェア差となります。
経営資源を投入する意義は非常に低いですが、自民党が失策する機会を見逃さずに継続して活動することがポイントです。
*当ブログ記事は特定の政党を支持するものではありません
「55年体制」についてご存知でしょうか?
言葉を聞いたことがあっても詳しい内容までは知らない人も多いかもしれません。
1955年(昭和30年)の総選挙をきっかけに成立したことから、55年体制と呼ばれています。
55年体制とは約3分の2の議席数を占め政権を握る自由民主党と,3分の1の議席数を保持する野党の日本社会党の2大政党が議会で対立する政治体制のことです。
つまり、国会では議席の約2/3を自由民主党が、残りを日本社会党が保持する、2対1の構造です。
55年体制は1993年の総選挙で自由民主党が衆議院議席数の過半数を割るまで、約40年近く続きました。
自由民主党は圧倒的に優位な立場でしたが、1/3の議席を日本社会党が確保するため、憲法改正に必要な2/3以上の議席を獲得できません。
とはいえ、日本社会党も与党になれるほどの議席は得られず、2対1のまま推移していきます。
このため55年体制は「一と二分の一政党制」とも呼ばれています。
医薬品市場においても競合製品とのシェア値が100:0になることはまれです。
2者間競争では75:25前後(3:1)で安定することが多く、多社間競争では√3:1(2:1)となります。
医薬品ではまず安定供給の問題があり、他にも患者の忍容性から1剤だけでは不安を抱えることになるからです。
これは単に心理的なものではなく、数学的にも証明されています。
射程距離理論のクープマン目標値では、2社のシェア値が上限目標の独占的市場シェア(73.9%)と下限目標の市場影響シェア(26.1%)の場合、2社の距離差は「逆転可能な差の上限」とされ、「3:1(サンイチ)の法則」とも呼ばれます。
つまりシェアで3倍以上の差がついてしまうと、勝ち目がなくなるということです。
さて今回の総選挙の結果はどうなるでしょうか?