コロナの影響か製薬企業の早期退職者の募集はとまりませんね。

45歳以上のMRが対象となっています。

デジタルシフトの影響も大きな要因です。

しかしデジタルへの移行は過渡期であり、果たしてコモディティ化を脱し競争優位性につながるかを証明するにはもうしばらく時間が必要です。

医薬品ビジネスの競争は生き残りをかけ、ますます厳しくなっています。

MRの代わりとなる「営業」を担うチャネルをいち早く構築する企業が勝ち残るのではないでしょうか。

余談ですが、私は50歳を過ぎて31年務めた製薬会社を早期退職し、転職後に独立しました。

そんな私のことをチャレンジ精神や勇気があると言う人も少なくありません。

しかし45歳定年退職などとの声も聞かれる昨今では以前のように定年退職を満了する可能性は殆どありません。

当然のことですが転職も年齢とともに難しくなります。

残された選択肢は消去法的でいっても自ら起業することです。

誰もが不安を抱えている時代です。

最初からは上手くいかなくても人より早く初めて多くの経験値を得ることはきっとアドバンテージになりますよ。

競争市場には必ず競合が存在します。

厳しい競合との競争に勝つためには「競争地位と競争優位性」を知ることが重要です、

競争地位は市場内での自社のシェア値による状況を意味します。

それにより獲得すべきシェア値が明確になります。

目標シェア値に必要な細分化された市場(セグメント)を攻略する計画を立てます。

競争優位性はシェア値の差による競合に対する優位性を示します。

競合に対して自社は優位なのか劣位なのか、優位性の度合いに応じて必ず勝つ、絶対に負けない戦略を立てることが出来ます。

シェア値は単なる高い低いだけではなく、勝つための重要な指標です。

シェア値を使いこなさずに競争市場で競合との競争に勝つことは出来ないのです。

自社製品のポジショニングは不変ではなく、顧客の行動変容フェーズや処方動態によって変化します。

新規や切替、追加処方などの処方動態では、それぞれ市場規模や競合状況も異なります。

競合状況が異なれば当然のことながら戦略も変える必要があります。

新患や切替の競合状況は厳しいと言えます。

市場参入期は出来るだけ競合状況を避け、着実にシェアを積み重ねることが原則です。

間違っても市場内の強者に戦いを挑むようなことは避けるべきです。

セグメント設定はビジネスの投資対象として見合う市場規模/金額であるかが判断の基準です。

しかしブロックバスターなど特殊な場合を除き、通常は最初から最大市場は狙わず、確実の攻略が可能な市場から順次占有し、シェアを積み重ねることになります。

そのためSTP分析のセグメント設定は非常に重要になります。

では市場をどの程度まで細分化すればよいでしょうか?

クープマンモデルを用いることで製品ライフサイクルと顧客の行動変容フェーズに応じた設定が可能です。

まず占拠率、すなわち目標シェアを決め、それに相応する必ず攻略出来る市場を選択します。

目標をクリアすれば次の細分化された市場をドミナント的に攻略し市場拡大を図ります。

最初から最大市場を狙い弱者のまま消えていった有望な医薬品を数多く見てきました。

開発に莫大な時間と資金かけた医薬品がマーケティング戦略の失敗で水泡と帰させるわけにはいきませんね。

顧客の行動変容の進行フェーズに応じて戦略は変わります。

では行動変容の進行の目安となる指標はあるでしょうか?

受発注データによるシェア値を用いることで定量的に把握することが出来ます。

受発注データが入手出来ない場合には顧客内シェアを用いる方法もあります。

顧客内シェアとは、顧客にインタビューを行い、定性情報ですが顧客の認識状況を確認する方法です。

シェア値を用いれば定量的に顧客状況を把握し最適な戦略を選択することが出来でしょう。

医薬品ビジネスのマーケティングプランニングの難しさは、患者と医師の2つの顧客が存在することにあると思います。

さらに小児では親の存在が加わることもあります。

また使用においてはインディケーションや情報提供の制約など一般消費材マーケティングとは一線を画すものです。

とはいえ標準的なマーケティングプロセスは考えを整理するうえではやはり有用です。

どんな市場で、誰に対して、どのような価値を提供するのか?

セグメント設定、ターゲット設定、ポジショニング設定です。

全体的なマーケティングプランニングでも当然用いられるSTP分析ですが、実行プランでも同様です。

基本的なお作法を学べば幅広く応用することが出来るようになるでしょう。

マーケティングプランを作成する者にとって辛いのは、戦略には正解が無いが成功と失敗はあるところではないでしょうか。

なぜなら未来を予測して立てたプランは時期が来れば予想ではなく結果となるからです。

予測不能のVUCAの時代と言われますが、元々未来を予測することなんて誰にも出来ません。

しかし過去と現在の情報を駆使してマーケティングプランを作成する必要があります。

物事には因果関係があり、結果があれば原因が存在すると思いがちです。

しかし実際には偶然や降ってわいたようなことだって起こり得ます。

とはいえ「起こるべくして起こった」「予見可能だった」などと後付けで批判されることもあるでしょう。

熟考に熟考を重ねて結論を出し、間違ったと気が付いたら俊敏かつ柔軟に修正出来るマインドを持つようにしましょう。

マーケターの方はマーケティングプラン作成のための分析において未来の要因を予想しなければなりません。

しかし未来のことは誰にもわかりました。

分かったと思っていることの殆どは認知バイアスかもしれません。

分析においては結果と原因の因果関係を証明しようとしますが、そもそも因果関係などなく、偶然かもしれませんし、全く気が付きもしないことが巡り巡って来たのかもしれません。

しかしマーケターの役目として未来予想はTaskのひとつです。

未来を正確に予測することは不可能ですが、その時がくれば予測結果は必ず出てしまいます。

結果が出てから、人は「予め予見可能だった」とか「起こるべきして起きた」などと非難します。

マーケターの辛いところですが、論理的に説明可能なプランの作成を心掛け、勇気と開き直りで未来を切り開いていって欲しいと思います。

マーケティングプラン作成の手法は数多く紹介されていますが、マーケティングプランを実行プランに落とし込むプロセスについてはその手法を示すものは多くはありません。

そのためかマーケティングプランと実行プランのリンケージが曖昧で、結果的にKPI至上主義のような実行プランが散見されます。

戦略はストーリーです。

マーケティングプランは台本のようなものです。

実際に営業現場で演じて貰うためのストーリーがなくてはなりません。

またKPIの課題である、数値目標は実行すれば必ずしも結果が約束されたものでもありません。

競争市場では相対的に状況が変化していきます。

俊敏で柔軟に対応出来るプランニングであることも重要なポイントです。

最近はとても便利になり、売上実績のEXCELがあれば簡単にFORECASTが引けてしまいます。

ただ何にでも適応出きるかと言えば、やはり過去の実績を基にしているためリミテーションが存在します。

市場新規参入期や初動実績など不安定で変動しやすい時期には精度が落ちてしまいます。

最終的には定量データからの分析だけではなく、肌感覚などの定性データを加えた決断が不可欠です。

ひとの感覚が入ることで実感覚に近い腹落ちする目標数字を算出することが出来るからです。