共通ポイントの草分け的な存在であるTポイントと三井住友フィナンシャルグループのVポイントが22日に統合し、「青と黄色の新しいVポイント」が誕生しました。新しいVポイントの誕生により、共通ポイント市場は3強時代に突入し、勢力争いは今後、一層激しさを増しそうです。

ポイントの先駆けであるTSUTAYA(ツタヤ)が始めたTポイントは、2003年にはコンビニなど他の店舗でも貯められるようになりました。その後、金融系やスマホキャリア系などが参入し、共通ポイント化によって同一市場で競合する状況が生まれています。

古くから、店舗で買い物をすることでスタンプを貯め、買い物に使えるポイント制度は存在しましたが、スマホと電子マネーの普及により、その形態は大きく変化しました。

今回のTポイントとVポイントの統合が、共通ポイント市場の勢力図にどのような影響を与えるか、マーケットシェア理論から検証してみました。

元々、共通ポイント市場は、旧Tポイント、楽天ポイント、dポイントの3強競争市場でしたが、今回のTポイントとVポイントの統合により、競争市場の構造は変わりませんが、競争優位性には大きな変化が見られます。

旧TポイントはVポイントとの統合により、さらにシェアを高め、市場撤退の位置にあった旧Vポイントは市場リーダーとなりました。統合前と後ではシェア値が6ポイント向上しています。

6ポイントの変動がどれだけの競争インパクトを持つかというと、2位の楽天ポイントに対して、統合前の2.8倍から4.1倍へと競争優位性を高めています。単純計算では、従来よりも1.5倍、楽天ポイントよりもユーザー獲得率が高いことになります。

僅かなシェア値の変動であっても、競争市場での優位性に与えるインパクトは非常に大きいものです。総合スーパーが覇権を競って吸収・合併に急ぐ理由も同様です。

近年のビジネス環境では、かつての競合他社と提携し、市場占有率を高める戦略が多く見られます。

昨日の敵は今日の友、と言えるでしょう。