ロジャースのイノベーター理論では、新しい製品やサービスは、消費者の約16%によって早期に受け入れられるとされています。この16%は、「革新的採用者」と「初期採用者」に分けられ、新しいアイデアや技術に対してオープンであり、リスクを取ることをいとわない特性を持っています。彼らは新しい製品やサービスの試用を通じて、その価値を理解し、受け入れることができる少数派です。

一方で、残りの84%の消費者は、より保守的であり、新しい製品やサービスを受け入れる前に、それが広く受け入れられていることを確認したいと考えています。これらの消費者は「早期多数派」、「後期多数派」、そして「遅滞採用者」に分類されます。

MQL(Marketing Qualified Lead)とSQL(Sales Qualified Lead)は、見込み客を管理し、購買プロセスを効率的に進めるための概念です。MQLは、マーケティング活動を通じて獲得された購買意欲のある見込み客を指し、SQLは、製品やサービスを購入する可能性が高いと判断されたポテンシャル顧客を指します。MQLからSQLに育成したリードは、セールスチームに引き継がれ、具体的な商談へと進められます。

イノベーター理論から考えると、革新的採用者と初期採用者の16%に対しては、MQLによるアプローチで購買行動を促すことができる可能性が高いです。彼らは新しいものに対する好奇心が強く、情報を積極的に求める傾向があるため、マーケティングによる教育や啓発が効果的に機能します。

しかし、残りの84%の消費者に対しては、単にマーケティングのメッセージを受けるだけでは不十分であり、SQLによるより個別化され、具体的なアプローチが必要になります。これらの消費者は、製品やサービスが広く受け入れられていること、または信頼できる情報源からの強い推薦があることを確認したいと考えています。したがって、販売チームによる直接的なコミュニケーションや、詳細な製品情報の提供、信頼できる第三者による評価や推薦が重要になります。

加えて、ジェフリー・ムーアが提唱するように、ハイテク分野の製品では「キャズム」と呼ばれる、革新的採用者と初期採用者の間に大きなギャップが生じます。このキャズムを乗り越えるためには、早期多数派をターゲットにした戦略が不可欠であり、これにはSQLが重要な役割を果たします。

キャズムを越えるためには、製品が実際に顧客の問題を解決できることを明確に示し、信頼性と実績を構築する必要があります。これは、見込み客が購入決定を下す際に必要な信頼と確信を提供するため、SQLによる具体的なフォローアップやエンゲージメントが不可欠です。