顧客が知りたいであろう情報を、企業が提供する、あるいは顧客自身がリーチしやすいようにする。

これらを実現することを目的としたDXの推進は正しいでしょうか?

『人は形にして見せてもらうまで、自分は何が欲しいのかわからないものだ』
A lot of times, people don’t know what they want until you show it to them

『ある人たちは「顧客の望むものを与えよ」と言うが、それは私のやり方ではない。私たちの仕事は顧客が望むよりも先に彼らがこれから望むであろうものを理解することだ』
Some people say, give the customers what they want, but that’s not my approach. Our job is to figure out what they’re going to want before they do.

スティーブ・ジョブズの有名な言葉ですが、これは「人の消費行動は必ずしも合理性を伴うとは限らない」ことを意味しています。

情報を発信するには戦略に基づいたプロモーショナルデザインが求められるのです。

一般的な消費材マーケティングでは全体市場から受注確率の高い顧客をターゲティングするために絞り込みを行いますが、医薬品ビジネスの場合には初めからターゲット設定がされている場合が殆どだと思います。

当然のことですが、その中には処方確率の高い顧客ばかりではなく、処方を獲得するために攻略が必要な顧客も含まれています。

つまり消費材マーケティングのような絞り込みによる効率化は図れていないということです。

この混在がMAによって必ずしも処方インパクトが得られない要因だと思います。

企業セミナー、公開セミナーに加えて個別/グループセミナーを開催いたします。

かねてより、公開セミナーでは日程が合わず参加できないため開催形式についてのご要望を頂戴していました。

そのため少人数での開催にもご対応させていただけるようにこの度、個別/グループセミナーを開催する運びとなりました。

製薬企業特有の受発注データ(IQVIA社のDDDなど)を用いて、特許を取得した独自のアルゴリズムによる分析戦略プランニングの手法をご提供いたします。

競合に勝ちたい、ライバルに差をつけたい、将来のキャリアについて知見を深めたい方にお役に立つ内容です。

ご希望の方はホームページお問い合わせフォームからご連絡ください。

個人でのご参加、同僚/お知り合いを誘っての参加いずれでも結構です。

是非、不確実性の時代に勝つための理論とプロセスを身につけてください。

敵に勝つために最も重要な条件とはなんでしょうか?

それは戦力で敵を上回ることです。

戦力は兵力数×武器性能で決まります。

医薬品ビジネスの場合、武器性能は製品に該当しますが、同じクラスの薬剤間で大きな差別化が難しいため、兵力数が大きな影響因子になります。

兵力数、すなわちMR数など経営原資を意味します。

これが数に勝る大企業が強者となる理由です。

経営原資は限られています。

戦力を集中させた方が勝ち分散した方が負ける」ということです。

正しいアロケーションの手法が必要です。

「メラビアンの法則」では、言語情報は、メールやチャットなどのコミュニケーション代替ツールによって十分代用は可能であると言われており、対面によるコミュニケーションよりも事実を過不足なく伝えられるメリットがあるといわれています。

しかしメールやチャットなどのオンラインに依存した言語コミュニケーションツールで使用される語彙数は、日本人が日常的に話したり、聞いたりする語彙数の5分の1にしかならないという研究結果もあり、対面の場合に比べてかなり少なくなります。

つまり対面コミュニケーションで得られる情報量のうち7%が言語情報であり、そのうちの5分の1の1.4%程度の情報量しかオンライン言語ツールからは得られないということです。

実際にデジタルによる情報提供は当初期待したような処方インパクトが得られていません。

デジタルの活用とデジタル化の推進は当然進むべき方向ですが、デジタル推進においては対面での情報提供チャネルの重要性を理解するべきでしょう。

パンデミック以降、顧客との面会機会が減少し、デジタルチャネルによる情報提供が推進されています。

MRの多くは在宅勤務となり、自宅からメールを送信したり、Web面談による情報提供を行っています。

昨今ではオフィスを廃止する製薬企業にも驚かなくなりつつあります。

しかし労働環境のリモート化が進もうと労働集約型産業である医療従事者のワークプレイスはパンデミック以前も以降も変わらず医療現場です。

そのため在宅ワークでPCの前に座っているわけではないため、メールをチェックする機会もありません。

忙しい顧客ほど自ら情報を収集し意思決定をしている余裕もありません。

MRが訪問し周辺情報まで得られることがメリットとなっているケースは珍しくありません。

プッシュ型の情報提供チャネルか、プル型の情報提供チャネルか、機能するのはどちらの情報提供チャネルでしょうか?

医薬品は高度な情報を伴う製品です。

そのため顧客が知り得ない多くの情報を製薬企業は所有しています。

昨今では顧客との面会機会が減少し、MRによる人的販売が困難となりました。

そのため多くの製薬企業が情報チャネルをMRからデジタルへと転換しています。

デジタルチャネルを用いれば非常に多くの情報を顧客に提供することが可能になる一方で、顧客は競合製品の情報も容易く得られるために、比較した上で製品を選択することが出来るようになります。

そのため、MRが訪問し情報提供を行おうと思っても既に顧客にとって必要となる情報は獲得済となり、MRによる顧客攻略が無効化されてしまう、すなわち完全競争市場が成立してしまうことになります。

消費材マーケットでは、口コミや価格の比較サイトが増えてきています。

多くの顧客がこれらのサイトを利用していることでしょう。

顧客が購入を検討している商品を選択する際に、口コミの評価が低い製品や、価格が高いショップから買うことは極めて特殊なケースだと思います。

デジタルチャネルによる情報提供の推進が自らの優位性を放棄し完全競争市場を作り上げているかもしれません。

24種類のジャムを並べたときには買い物客の3%しか購入せず、6種類のジャムを並べたときには買い物客の30%近くが購入した、アイエンガー教授のジャムの実験の結果から、「選択肢が多ければ多いほど、顧客の購買意欲は低下するのだから、選択肢は少ない方がよい」とされています。

これは「選択過多効果=オーバーロード現象」呼ばれ、かえってで顧客にストレスを与えている可能性があります。

デジタルチャネルを使った情報提供は自社だけではなく、多くの競合他社も同様にデジタルチャネルを通じた自社製品の情報提供を行っているのです。

顧客のもとには処理しきれないほどの大量の情報の洪水が押し寄せ成す術もない状態かもしれません。

そのため新しい情報に反応することが出来ず、慣れ親しんだ従来の治療方針や処方習慣をより一層好むようになるということです。

メラビアンの法則とは、人と人がコミュニケーションを図る際は「言語情報7%」「聴覚情報38%」「視覚情報55%」という割合で影響を与えていることを示した心理学上の法則です。

アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンによって提唱され、別名「3Vの法則」や「7-38-55ルール」などとも呼ばれています。

コミュニケーションをとる際に言語情報はわずか7%しか優先されておらず、実際には聴覚と視覚から得る情報が93%と大部分を占める結果となりました。

つまり言葉よりも「イメージ」が影響する可能性が非常に高いことを示しています。

メラビアンが行った実験から分かることは、「非言語コミュニケーションがいかに重要か」という点です。

正確な情報を伝えることはもちろん重要ですが、それだけでは不十分です。

デジタルによる情報提供が進んでも人的販売が高い処方インパクトを持つことは変わりないでしょう。

医薬品は高度な情報を伴う製品です。

製薬企業は顧客が知り得ない膨大なデータ/情報を保有しています。

これにより顧客に対して企業側が有利となる情報における不完全競争の市場を形成出来るのです。

顧客は知りたい情報があれば自ら企業側へ問い合わせなければなりません。

人的販売は顧客(個客)に最適化した情報提供が可能であり差別化と市場優位性を生むことが出来るのです。