日本経済団体連合会(経団連)の歴史を眺めると、会長職は長らく製造業界の重鎮たちが務めてきたことがわかります。

日本の経済発展史を振り返ると、製造業がその中心に位置しています。自動車、電機、重工業など、世界市場で影響力を持つこれらの業界は、国内外での日本経済の成長を支えてきました。経団連会長の多くが製造業界から出てくるのは、このような背景が大きな理由です。

製造業は、日本のGDPにおいて重要な役割を果たしており、資源に恵まれない日本では、輸出産業としての製造業の地位は非常に高く、経済政策やビジネス環境形成に、経団連は大きな影響力を持ってきました。

そのため経団連のリーダーシップは、製造業の大手企業から選ばれており、これらの企業が持つ長い歴史と経済への貢献、そして政治や他の経済分野との強固なネットワークによるものです。

しかし、今やITや情報産業は日本経済の新たな柱としての地位を確立しつつあります。先進技術の発展、製造業とIT技術の融合、スタートアップの活性化、グローバルマーケットへの進出、政府によるデジタルトランスフォーメーションの推進などが、この変化を加速しています。

経団連の5代目会長で、財界総理、影の総理と呼ばれた、稲山嘉寛氏から、情報産業の先駆者であるリクルート社長の江副氏が経団連に加盟する際、「物を作らない企業は実業ではなく虚業」と言われてから40年、今後、ITや情報産業出身者が経団連のリーダーシップを担うようになるでしょうか?