MR(営業担当者)の評価に、単に目標の進捗率だけではなく、シェア値を取り入れるべきとの議論はい以前からされています。それは、担当するエリアの市場規模やその成長性、さらに競合他社との競争環境が異なるからです。

MOVEでは、①進捗率、②進捗率+市場規模、③進捗率+市場規模+シェア値の、3段階でどのようにターゲット施設の優先順位が変化していくのかをお示ししています。4軒の医療機関を担当するMRを事例として、Totalでは進捗率100%ではあるものの施設ごとには100%に達していないモデルケースを仮定しています。

①進捗率のみを追うことで、全ての施設が100%を上回る必要があると考えてしまいますが、それでは適切なリソース配分が出来ず、無駄なリソース、あるいはリソースが不足する施設が生じます。

②進捗率+市場規模の例ではその優先順位が変化し、100%達成しているIS病院の優先順位が上位になりました。

③進捗率+市場規模+シェア値では、IS病院の優先順位がさらにあがり、優先度No,1になっています。これは競争環境の中では非常に脆弱であり、インハウスの評価では100%達成している優良施設だとしても、外部環境からみれば、いつ口座を失ってもおかしくない状況にあります。

一方で、シェア値が1位のT大医学部附属病院では、シェア値が下位の競合製品が口座を失うことでさらにシェア値を高めることが出来る可能性があります。

このように内部環境要因は常に外部環境要因の影響を受けているため、進捗率などインハウスの情報のみで戦略を立てることは非常に危険な行為であると言えます。さらに目標の設定が不適切であった可能もあります。

製薬業界には、このような外部環境要因を知るための素晴らしい医薬品販売データベースが存在します。医薬品販売データベースは、どの製薬企業でも入手することが出来るため透明性が高く、それによって戦略的な動きを予測されやすくなるというリスクが生じます。

医薬品販売データベースを正しく使うことが競争市場においては重要です。