販路開拓や潜在顧客との接点作りに悩む企業がコンサルタントに相談すると、まず「どんな製品やサービスを売っているのか?」と尋ねられることがよくあります。しかし、必ずしもその質問は最優先事項ではありません。もちろん、製品やサービスについて知ることは重要ですが、それ以上にビジネスモデルを理解することが不可欠です。

例えば、その企業がB2B(企業間取引)なのか、B2C(消費者向け取引)なのか、あるいはD2C(直接消費者に販売するモデル)なのか。または、マスマーケティングを行うのか、1on1のパーソナライズされたアプローチを採用しているのか。このようなビジネスモデルやマーケティング手法を理解せずに、製品やサービスに焦点を当てたアドバイスをすることは、企業が直面している本当の課題や障壁を見落とすリスクがあります。多くの場合、「この製品を売るならこうすれば良い」という方法論のアドバイスが先行し、ビジネスの全体像を把握せずに議論が各論となり進んでしまうのです。

効果的な戦略的コンサルティングを行うためには、製品やサービスに焦点を当てる前に、企業がどの市場でどのようなポジションを取ろうとしているのか、そして顧客との関係をどのように築こうとしているのかを明確にする必要があります。こうした分析を行うことで、現在直面している課題や将来的に予測される障壁に対して、より的確で効果的な解決策を提案することが可能になります。

さらに重要なのは、戦略が製品やサービスに依存しない点です。戦略の本質は、どのようなリソースをどこに配分し、市場で競争優位をどう確立するかにあります。そのため、どのような業界や商品であっても、基本的な戦略理論は普遍的に応用可能です。しかし、製品やサービスの特性を理解することが、戦略の調整には必要です。つまり、戦略は普遍的でありながら、柔軟に適用されるべきなのです。

この戦略の普遍性は、企業が扱う製品やサービスが変わっても、ビジネスモデルや市場環境に応じた意思決定を通じて成功に導く力を持っています。しかし、多くのコンサルタントは、製品やサービスに基づいたアドバイスをすぐに始めてしまいます。そうすると、ターゲットオーディエンスや流通チャネル、顧客エンゲージメントの戦略的な側面が見落とされる危険性があります。

加えて、戦略とマーケティングが異なる意義と役割を持つことを理解していないコンサルタントも見られます。戦略は企業全体の方向性を示し、リソース配分や市場での競争優位を確立するための大局的な計画です。一方、マーケティングはその戦略を実行するための具体的な手段であり、市場との接点を構築し、顧客に価値を届けるための活動です。これらを混同してしまうと、マーケティング戦術にばかり焦点が当たり、全体のビジネス戦略が欠けてしまうことになります。

最も重要なのは、製品やサービスではなく、企業が直面している根本的な課題を解決し、将来的な成功を支える戦略を提供することです。戦略の持つこの普遍性と柔軟性を活かし、どんなビジネスにも応用できるアプローチこそが、真に価値あるコンサルティングを提供する資質だと考えています。