昨今ではプライマリー領域の製品やMRを整理し、オンコロジー領域に多くのリソースを投入する製薬企業が増えてきました。

優秀なMRをプライマリー領域からオンコロジー領域に異動させることもあるでしょう。

この両者のマーケティングの違いと優秀さとは何を指すのか考えてみます。

少し古いデータですが、治療に対する薬剤の貢献度と満足度をプロットしたグラフです。

プライマリー領域は既に満足する象限に分類され、オンコロジー領域ではまだ十分な満足度が得られていません。

プライマリー領域での顧客ニーズは低く、オンコロジー領域の顧客ニーズはとても高い状態にあります。

つまりオンコロジー領域ではニーズはあるが製品がない状況なので、製品を作って提供すれば売れるということです。

これはコトラーのマーケティング1.0にあたります。

MRはガイドラインやインディケーション情報を正確に伝達することが主要な活動となります。

知識量が重要になるので、マーケティング部より研修部の役割が大きいかもしれません。

一方でプライマリー領域では既に満足している顧客一人一人の多様化するニーズに応える必要があります。

コトラーのマーケティング3.0~に相当すると言えるでしょう。

マーケティングとしてはより高度で難しくなります。

市場の偏在と顧客ニーズの多様化に柔軟かつ俊敏に対応するにはエリアマーケティングが必要であり、MR自身がマーケティングを行う必要があります。

いかがでしょうか?

オンコロジーとプライマリーではマーケティングのアプローチ方法やMRに求められる能力が全くことなります。

自分に向いていると思うのはどちらですか?

フォーミュラリを推進する学術団体「一般社団法人日本フォーミュラリ学会」が発足しました。

フォーミュラリは後発品のさらなる使用促進につながるため新薬メーカーとしては内心穏やかではないでしょう。

地域フォーミュラリの目的は地域全体で最適な薬物治療を推進することにあり、必ずしも安価な医薬品の処方を推進することではありませんが経済的な背景があることは明確です。

製薬企業は「安定供給、品質、価格」などで評価されるため、より社会貢献を求められることになります。

医療環境はエリアごとに異なるため、情報収集の感度を上げ、地域に即したエリアマーケティングと、全国的なリソース配分を見直さなければ淘汰されてしまう危険性をはらんでいます。

まさに「強化」「維持」「検討」「撤退」の色分けが重要です。

長期収載品を放出している新薬メーカー各社の今後の戦略が気になるところです。

コトラーの提唱する「競争地位戦略」と同様に、SMARTでも競争地位をとても重要視します。

競争市場には必ず競合が存在するため、自社の立ち位置=競争地位を知り、競争地位に応じた戦略を立てる事は勝つためには絶対条件です。

ではこの2つの戦略には違いがあるのでしょうか?

コトラーの競争地位戦略では、経営資源の量と市場内でのシェアにより競争地位が決まります。

【市場リーダー】はシェアが高く経営資源も豊富な企業です。

【チャレンジャー】はリーダーには及ばないものの経営資源が豊富でリーダーに次ぐシェアを持っています。

【ニッチャー】はリーダーやチャレンジャーに劣る企業です。

【フォロワー】は経営資源の量・質とも劣る企業を指します。

これらは基本的な部分でランチェスター戦略に共通するものです。

ではランチェスター戦略との違いはどこにあるのでしょうか?

コトラーの競争地位戦略では経営資源の大小により分類されますが、ランチェスター戦略の競争地位戦略は競合に対してどの程度の優越性を持っているかが重要になります。

市場規模ごとにラージABCに分類されますが、ABCのフレームの中では必ずしも経営資源の量的に大きい方が優先とは限りません。

競合に対して「強者」か「弱者」であるかが重要なポイントとなります。

これにより、「必ず勝てる、あるいは絶対に負けない」戦略を立てることが可能になります。

戦いとは相対的なものです。

戦う相手、戦う場所に応じて最適な戦略プランニングを行います。

すなわち絶対的な経営資源の多い少ないが決定要因ではないということです。

経営資源に劣る弱者でも勝つことが出来る、だからこそランチェスター戦略は【弱者の戦略】と言われるのです。

グーを出す相手にはパーを、パーを出す相手にはチョキを、チョキを出す相手にはグーを出す。

相対的に戦略を立てれば弱者でも勝つことが可能です。

PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)分析とは、「市場成長率」と「市場占有率(マーケットシェア)」の2軸から、事業や製品・サービスを分類し、経営資源の投下配分を判断するための方法です。

戦略プランニングとして自社および競合他社の事業の立ち位置を確認することに役立ちます。

自社の製品/サービスが、【問題児】【花形】【金のなる木】【負け犬】のどれに該当するのか知ることで、資金や人材といったリソースを投下する際の判断に役立ちます。

SMART Methodでもランチェスター理論を基盤に、「市場規模」「自社売上」「市場内競争地位」の3軸から経営資源の投資配分を判断するABCマトリクス分析があります。

PPMが【問題児】【花形】【金のなる木】【負け犬】の4つに分類するように、SMART Methodでも「強化」「維持」「検討」「撤退」の4つに分類することで経営資源の分配を決定します。

パレート分析を用いた分析では現状で売上の寄与率が高い顧客/製品にいつまでも依存し、経営資源を投下し続けてしまうという懸念があります。

その結果、育てるべき次期主力製品への経営資源の投下がおざなりになり、いつまでも現状の主力製品に依存し続けることになります。

現実に多くの製薬企業でパレート分析によるコールアロケーションや戦略プランニングを行っています。

製薬企業にとって限られた経営資源を有効に使い主力製品を維持しつつ、次期主力製品を育てることは企業永続の重要な課題です。

コール数、メール送信数、Web面会数、開封率、これらは「計数値」、つまりCountableな指標です。

よってKPIの指標値として用いられます。

一方、KSFは「計量値」、つまりUncountableな指標です。

すなわちUncountableな指標であるKSFの進捗を確認するために、KPIではCountableな指標を用いているわけです。

では、コール、メール送信、Web面会、開封率などの適正値はどのようになるでしょう?

答えはKSFを達成するために必要な量ということになります。

KPIに絶対値はありません、相対的に決定する必要があります。

まず暫定的にKPIを決め、実際に活動をおこない、KPIの実施率とKSFの実現状況を照らし合わせることで検証、継続(維持)、修正(増減)のPDCAサイクルを回します。

重要なことはKSFを明確化することです。

その実現のために必要となる活動とその量を見積もり、KPIを決定します。

何のためにその活動が必要なのか?どのくらいの量を行う必要があるのか?

これらを明確にすることが出来れば実効性が向上し、目標実現の確立も飛躍的に向上するはずです。

パレート分析とは、構成要素を大きい順に並べ、それらの累積量を示すことで、全体への寄与率みる分析方法で、優先順位付けに活用します。

また、やる・やらない、残す・切るといった判断がしやすく、投下するリソース量を決定することが出来ます。

一般的に20-80の法則といわれるように、「顧客の上位20%で売上高の80%を占めている」のであれば、思い切って顧客数を削減し、優良顧客に資源を集中することを検討します。

パレート分析はABC分析とも呼ばれていましたが、コスト分析手法の ABC分析(Activity Based Costing:活動基準原価計算)と区別するためにパレート分析と呼ばれています。

あなたの会社では、顧客へのコールアロケーションを決める際に用いているかもしれません。

ランチェスター戦略にもABC分析といわれる手法があります。

パレート分析が「売上」の1軸で行われるのに対して、ランチェスター戦略では「市場規模」「自社売上」「市場内競争地位」の3軸で分析を行います。

パレート分析では縦方向の評価軸しかありませんが、ランチェスター戦略のABC分析ではマトリクスにより12のフレームに分類することが出来ます。

そのため競争市場で勝つための詳細な分析が出来るのです。

競争市場には必ず競合が存在します。

競合の存在を意識してせずに競争市場で勝つことは出来ません。

最近よく耳にするSDGs。

SDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)とは,2015年9月の国連サミットで採択されたよりよい世界を目指す国際目標です。

SDGsの提唱者はマーケティングの神様として皆さんご存知のフィリップ・コトラーです。

コトラーのマーケティング3.0では「世界をよりよい場所にする」ことを顧客と共創すると唱えています。

またコトラーの2015年の著書の中で、成長だけを目指す経済ではこの先地球が滅びる。経済成長より利益を出し続けることが重要だと言っています。

市場が成熟期から衰退期に移行した現代では方向展開が必要になります。

つまりSDGsはマーケティングであり、本質的には「企業の生存戦略」といえます。

その目線で見ていると、確かに企業の取り組みとして取り上げられるニュース・記事が多いことに気づきます。

こんなところにもマーケティング理論が使われているのは面白いですね。

競争市場には必ず競合が存在します。

その競合に勝つためには競合相手のことを知る必要があります。

環境分析のフレームワークの3C分析は皆さんご存知だと思います。









3C分析のCの一つに「競合:Competitor」があり、競合要因を分析します。

上図のようにマクロおよびミクロの要因を集め自社への影響を分析します。

さらに自社分析を行うことで戦略プランを立案することになります。

3C分析は戦略プランニングにおいて重要なプロセスですが、一貫性を持つ連続性と、偏りなく必要な情報を取得した上で現況を整理し戦略プランを決定するための技能が必要です。









ランチェスター理論を用いた競合分析および戦略プランニングはとてもシンプルです。

シェア値から市場内競争地位を視覚化し、自社が攻略すべき競合を明確にすることが出来ます。

適切な戦略プランは自社の競争地位から選択するだけです。

あとは活動内容と期間、投入するリソース量を具体化して実行します。

製薬ビジネス研究会さま主催の「第4回勉強会」がYouTubeに掲載されました。

MRの業務効率化に役立つ売上データの活用方法をご紹介しています。

顧客とのオンライン化が進む中で、どうすれば限られた情報を活かし競合優位性を得られるのか、具体的な事例を交えて解説しています。

デジタルマーケティングではよく、4つのRight、すなわち「適切な相手に」、「適切なタイミングで」、「適切なコンテンツを」、「適切なチャンネル」で提供することが重要だと言われています。

ではどうやって適切であるかを判断しているのでしょうか?

「適切な相手」とは送付したコンテンツを見てくれたヒト、「適切なタイミング」はそれを開封した時間、「適切なコンテンツ」はリピートした内容、「適切なチャネル」は最もアクセス率が高い媒体です。

皆さんは、この4つのRが、こちらから見て欲しいヒトに、見て欲しいタイミングで、見て欲しいコンテンツを、こちらの都合の良いチャンネルで提供することが非常に難しいことにお気づきになったと思います。

選択権は完全に顧客側にあります。

一般消費財で用いられる分散市場型で不特定多数が対象となるマスマーケティングであれば反応する顧客を見つけ出すことは非常に重要であり、4Rは有効な手法でしょう。

しかし、医薬品ビジネスのように対象顧客が極めて明確で、優先順位が決まっている場合では効率が良い方法には見えません。

医薬品ビジネスは B2Bの要素とB2Cの要素を合わせ持っています。

デジタルマーケティングのD2CはB2C的な状況下では有効かもしれませんが限定的です。

反応が芳しくない顧客の心の扉を開かなければビジネスとして成立しないからです。

多くの場合でMRは処方してくれない顧客に処方させることが仕事になっているはずです。

適正使用のための適正な情報提供が原則であり、販売促進が主目的ではないとは言え、製薬会社および卸まで利益率が大幅に減少している状況下では悠長に構えてもいられません。

急速に推進されるデジタルマーケティングにMRの方は順応するしかありませんが、内心では完全に納得は出来ていないのではないかと思います。