医療用医薬品(特に新薬開発)においては、PPM分析はよく用いられます。なぜなら医療用医薬品は特許切れによる収益性急落(特にブロックバスター薬)を伴うため、どの製品が将来の柱になるかを予測する必要があるからです。新薬候補(パイプライン)は開発コスト・期間が膨大なため、どこに投資すべきか、どこを中止すべきかの意思決定が重要です。

しかし、医療用医薬品においては、PPM分析はあくまで“全体の資源配分”を考えるためのフレームワークです。成熟市場において、もはや「育てる事業」ではなく「勝てるフィールド」に経営資源を投下することが求められる時代になっています。ここでは、従来のPPMを進化させた『競争優位ポートフォリオ・マトリクス』というフレームを設計し、考える構造を提案させていただきました。

そして、S.I Lab株式会社では、戦略を“考えるだけ”で終わらせず、実際の市場データで「勝てる場所を発見し続ける」ための手段として、DXS Stratify®を開発しています。
両者は、戦略と実行の橋渡しを担う“思考と技術の両輪”としてあなたのビジネスをドライブします。

展示会やピッチイベント、アライアンスの商談会などに参加すると、多くの企業や支援機関から前向きな反応をいただくことがあります。「とても興味があります」「社内で前向きに検討させてください」「NDAを締結して、次のステップに進みましょう」。こうした言葉を受けると、ついつい希望が膨らみ楽観的になってしまいます。

しかし、現実はどうでしょうか。

こうした返答の多くは、外交的な定型句であり、実際には何も進まないことが往々にしてあります。私たちは、こうした状態を「検討中の山」だと認識しがちですが、実態はむしろ「合意ゼロの谷」なのです。


オポチュニティの錯覚とクロージング・リスクの現実

このような状況を、「オポチュニティ(機会)の錯覚」と「クロージング(契約成立)リスクの現実」の乖離と捉えることができます。

  • オポチュニティの錯覚とは、関心表明やポジティブな言葉を、あたかも確実なビジネスチャンスであるかのように錯覚してしまうことです。
  • 一方で、クロージング・リスクの現実とは、実際には契約や出資、導入といった具体的なアクションに至らないという事実を指します。

この2つの間にあるギャップが、事業進行を見誤る最大の要因となります。


関心 ≠ 実行、建前 ≠ 意思決定、ポジティブ ≠ コミットメント

こうした場面で大切なことは、「言葉」ではなく「行動」を見ることです。

以下のような問いかけを通じて、冷静に見極める必要があります。

  • この相手は、来週中に契約書にサインする可能性がありますか?
  • 私たちが支出せずに、相手側が具体的な行動を起こしてくれる状況でしょうか?
  • もし資金が尽きた場合、この相手は実際に支援してくれるでしょうか?

このような問いに「いいえ」が並ぶようであれば、それは検討者であっても支援者ではないと判断すべきです。


合意ゼロの谷を越えるために必要な視点

事業を前に進めるためには、以下のような方針転換が求められます。

  1. 実行フェーズに入っている相手(Type A)を見極め、優先して交渉・フォローすること
  2. PoC契約など、最小実行単位(Minimum Executable Unit)を設定し、具体的な成果を早期に獲得すること
  3. 補助金や助成金、CVC、業界外からの資金調達、OEMなど、現金流入に直結するアクションを優先すること

まとめ

「検討しています」「とても面白いですね」という言葉に惑わされず、それが具体的な契約や支援につながるのかという視点で、すべての関係先を再評価することが重要です。

関心の山ではなく、合意の線でビジネスは動きます。

熱意や期待に支えられるフェーズを抜け、いま必要なのは、冷静で戦略的な判断です。
「合意ゼロの谷」を越えるために、私たちはどこに時間とリソースを集中させるべきか。
その答えを明確に持つことこそが、次の一歩に進むためのハードルを越えることになります。

CXもペルソナも“幻想”みんな幻想


マーケティングとは「価値提供」なのか?

マーケティングの定義を「顧客への価値提供」だとする声は多くあります。
一方で、「それだけでは不十分だ。感謝されてこそ本物の価値提供であり、マーケティングだ」と主張する人もいます。

けれど、私たちは日々の購買行動の一つひとつに本当に価値を感じているでしょうか?
ましてや、「ありがとう」と感謝している場面など、どれだけあるでしょう?


マーケティングの定義の幅

1. 「顧客への価値提供」説

フィリップ・コトラーの有名な定義に代表されるように、

「顧客のニーズを満たす価値を創造・伝達・提供する活動」
というのがマーケティングの基本的な定義とされています。

2. 「感謝されてこそマーケティング」説

提供者側の“これは良いものだ”という独りよがりではなく、
受け手である顧客が“ありがたい”と心から思ったときにこそ、本当の価値が届けられたという考え方です。
つまり、感情的な満足まで含めて初めて成立するマーケティングだという立場です。


でも、私たちは本当に感謝して買っているのか?

ここにマーケティングの定義の曖昧さが垣間見えます。

  • コンビニでペットボトルを買う
  • ECサイトで日用品を定期購入する
  • 毎月同じシャンプーを買い足す

こうしたルーティン消費に、はたして「価値」や「感謝」はあるでしょうか?
正直なところ、ほとんどの購買は無感情に近いものです。
せいぜい、「面倒だからこれでいいや」という程度でしょう。


感謝は「常に」必要なのか?

結論から言えば、

「感謝されるマーケティング」は理想ではあっても、定義上は必須ではない。

  • 価値提供はマーケティングの出発点であり、
  • 感謝されることは、その提供価値が“予想を超えた”ときに偶発的に起こる副次的な成果です。

注目すべきは「無感情な購買」の積み重ね

むしろ現実のマーケティングにおいて重要なのは、
「感謝を引き出すこと」よりも、「選ばれ続ける当たり前の存在になること」です。

企業が目指すべきなのは、感動よりも「習慣化」。
価値を“感じさせる”より、疑いなく選ばせる構造をつくることの方が、よほど実務的なマーケティングなのかもしれません。


感謝されるマーケティングが力を発揮する領域

もちろん、感謝される体験をつくることは、ブランド構築や顧客ロイヤルティの観点で重要な差別化要素です。
特に以下のような領域では、その意義が大きくなります。

  • 高価格帯の商品・サービス
  • BtoBの長期的な契約取引
  • 医療や教育といった人生に影響する意思決定が含まれる分野

ただし、それはマーケティング全体に普遍的に求められる要素ではありません。


そもそも「価値」とは何か? その曖昧さ

マーケティングでは「価値を提供する」と簡単に語られますが、そもそも「価値」とは何を指すのでしょうか?

1. 主観的価値

顧客が「良い」と感じれば、それが価値だという考え方。
しかし、

  • 同じ商品でも人によって価値の感じ方は異なり、
  • 同じ人でも、時間や状況によって価値は変化します。

例:砂漠での「水」と、都会のコンビニでの「水」は、同じ商品でも価値がまったく異なる。

2. 市場価格=価値?

価格は一見、価値の客観的な指標のように思えますが――

  • ブランド力、情報格差、販売環境によって大きく変動します。
  • 同じペットボトルでも、空港とスーパーでは価格も価値も違います。

3. 顧客の反応=価値の証明?

「売れた」ことが価値の証明かのように言われますが、それはマーケティングの効果、
つまり、「情報操作」や「印象形成」に過ぎない場合も多く、
本当に満足されたかどうかはわかりません。


「価値提供」は自己満足で終わることもある

マーケターや企業が「これは価値がある」と信じていても、

  • 顧客に届かなければ無価値
  • 顧客が使ってガッカリすれば逆効果

提供した“つもり”と、受け取られた“現実”には深いギャップがあります。


では、マーケティングは何を軸にすべきか?

このように、「価値」や「感謝」が曖昧な時代において、マーケティングを再定義するなら、

「選ばれる理由をつくること」
あるいは
「行動を引き出す仕掛けを設計すること」

――この2つが、より本質に近い答えではないでしょうか。

外発的動機から「自分で選んだ」と思わせるような、内発的動機づけへと導く、
行動科学・実証ベースのマーケティングが、今後ますます求められるのです。


■ CXもCUも、すべては“仮定”の上に立っている

そう考えると、マーケティングの主流とされている以下のフレームワークも、
すべて“幻想”ではないか?と疑いたくなります。


● CX(Customer Experience:顧客体験)

→ 顧客接点すべてにおけるポジティブな体験を設計するという概念。
しかし本当に、顧客はその体験を一貫して記憶・評価しているのでしょうか?


● CU(Customer Understanding:顧客理解)

→ 顧客のニーズや心理、行動を理解することがマーケティング成功の鍵とされる。
ですが、顧客自身が自分のニーズに気づいていないことも多い。
「インサイト」と呼ばれるものの多くが、解釈の後付けになってはいないでしょうか?


ペルソナ

→ 仮想の典型的顧客像をつくって施策を練る手法。
ただしそれは多くの場合、

  • 理想化されたモデルにすぎず、
  • 社内共有の方便となって実際の顧客と乖離し、
  • 仮想の誰かに向けて自己満足の施策が打たれることになります。

カスタマージャーニー

→ 顧客の思考・行動プロセスを可視化して最適化する手法。
しかし現実の顧客行動は直線的でもなければ、計画的でもありません。

  • 突然購入をやめる
  • 途中で飛ばす
  • 思いつきで行動する

つまり、「モデルとしては便利だが、現実とは異なる」のです。


本質的な問い:「誰のための“理解”なのか?」

これらのフレームは、顧客視点を装いつつも、実際には

企業が“売るために顧客を理解したつもりになる”ための道具
にすぎません。


曖昧な“主観の体系化”の限界

  • 顧客理解は仮定や解釈に過ぎず、
  • 体験価値は感情的・一時的・変動的、
  • ペルソナやジャーニーは抽象化された方便。

それらがあたかも「実在するもの」としてマーケティングに転化される――
これこそが、最大のリスクです。


それでも使う意味があるとすれば…

  • チーム内での共通言語として
  • 仮説立案のための思考の出発点として

ただし、過信すれば現実と乖離するというリスクを忘れてはいけません。


まとめ:マーケティングとは誰かの“方便”である

マーケティングとは、顧客理解や体験設計の“正しさ”を競うものではありません。
それらはあくまで仮説であり、現実を動かすための“道具”にすぎない

変化が激しく予測不能だからこそ、現実を直視し、幻想を鵜呑みにせず、仮説を検証し続けること。
それこそが、今のマーケティングに最も必要な姿勢と言えます。


多くの企業で一般的に行われている手法のひとつに、「自社の製品売上構成を上位から並べ、割合が高い製品に優先的にリソースを投下する」という戦略があります。限られた人員・予算を効率的に使ううえで、この“選択と集中”の考え方は一見合理的に見えます。
しかし、この手法には重大な盲点があります。

それは、売れていることと、競争に強いことは別問題であるという点です。

この方法が対象にしているのは、あくまでも「自社内での売上構成比」であり、市場全体における競合との関係、すなわち「相対的な競争優位性」を加味していません。そのため、売上は高いものの、実は市場シェアが低く、競合製品に対して非常に脆弱な製品が“主軸”として扱われてしまうことがあるのです。

こうした製品は、競合による集中攻撃や新製品の登場によって、一気に売上を失うリスクを抱えています。まさに、企業の「売上の柱」が突然崩れ落ちる可能性を孕んでいるのです。

特に市場が成熟または縮小している場合、競合とのシェア争いはゼロサム化します。こうした環境下で、過去の売上実績だけを根拠にリソースを集中させるのは、危うい構造の上にさらに荷重をかけるようなものです。

戦略とは、単に“自社で売れているもの”を守ることではなく、“市場で勝ち続けられるもの”を見極め、そこに資源を配分することです。
そのためには、売上構成比だけではなく、市場シェア・シェア順位・競合との差(シェアポジションとギャップ)などの相対的な競争力を定量的に把握し、重点品目を見直す必要があります。

“柱”だと思っていたものが、実は最も危うい足場だった。
そんな事態を避けるためにも、「内向きの売上構成」から脱し、「外向きの競争構造」に基づいた重点戦略を再構築することが求められています。

はい、基本的な構図としてその通りです。

ただし、現実の市場ではその単純な理屈が必ずしも成り立つとは限らず、製品力と営業力のバランスこそが結果を左右します。

すなわち「やり方次第で売れるようにする仕組み」=マーケティングです。

ただし、それを単に「宣伝や販促」と捉えるのではなく、本質的に理解することが重要です。

マーケティング単体では「売れる仕組みの部品」にはなりますが、そこに「戦略」が組み合わさることで、初めて“勝てる仕組み”=売上を生み出す再現性ある構造が完成します。

構造化するとこうなります

売れる仕組み = 戦略 × マーケティング

項目内容
戦略(Strategy)「どこで」「誰と」「何で」「どう戦うか」を決める意思決定。
=STP(セグメント・ターゲット・ポジション)やリソース配分の選択。
マーケティング(Mechanism)顧客が“自然と買いたくなる”状態を作るための施策群。
=内発的動機づけ。

例えるなら

  • 戦略:“どの戦場でどの敵と戦うか”を決める指揮官の判断
  • マーケティング:“勝つための兵站や装備、戦術”を整えるオペレーション

よくある誤解

マーケティング=広告・販促・PR だけと捉えると、本来の“売れる仕組み作り”を誤解し、戦略なき手段の羅列になってしまいます。

それでは成果は「やってみなければ分からない」ギャンブルに近づいてしまいます。


結論

戦略で“戦う場所”と“勝ち方”を定め、
マーケティングで“その勝ち方を再現する仕組み”を作る。
これが、“売れる仕組み”の本質です。

相対指標がない受験競争の問題点

1. 自分の立ち位置が分からない

点数だけでは「自分がどのレベルにいるのか?」「志望校に届いているのか?」が判断できません。
たとえば80点を取ったとしても、それが全体の中で高いのか低いのかが不明なら、戦略的な判断(科目の強化・配点調整・志望校変更など)ができません

2. 競争ではなく自己満足に陥る

点数が高ければ喜び、低ければ落ち込む。
しかし、競争相手の状況が見えないため、勝ち負けの意識が曖昧になり、戦略的行動が取れません。
結果として「努力=報われる」と信じる内向きな学習に偏り、受験がゲーム理論的な勝負であるという側面が失われます。

3. 模倣や誤判断が横行する

周囲がどのような成績で、何をしているのかが見えないため、誤った学習法が最適化されずに放置される恐れがあります。
また、合格基準点がブラックボックス化し、結果として「偏差値の高い科目に時間配分する」といった合理的戦略が取れません。

4. 適切な志望校選定ができない

偏差値がなければ、志望校とのギャップを数値で把握できないため、現実的な合格戦略が立てられません。
結果として、「受かるはずの学校を避ける」「落ちる学校に固執する」など、非合理な受験行動が増加します。


ビジネスにも同じことが言えます。
これはまさに、企業が「売上高」だけを追って、「市場シェア」や「競合との差(シェアギャップ)」を見ずに戦っている状態と同じです。
多くの経営層が、売上高に一喜一憂し、上がれば「この調子で頑張ろう!」、下がれば「もっと頑張らなければ」と、結局のところ“頑張る”しか選択肢のない精神論型マネジメントに陥ってしまいます。

こうした精神論経営に頼ると、戦略の根拠を失い、競争に勝てるかどうかの判断すらできなくなり
もはやそれは**「経営」ではなく「気合の運営」**に過ぎなくなります。

企業にとって重要なのは、成果そのものよりも、その成果が“競争の中でどの位置にあるか”を冷静に把握し、戦うべき場所と資源の投下先を判断する戦略眼です。
受験で言えば、偏差値という相対的指標をもとに、自分の立ち位置と合格可能性を見極め、志望校を再設定するようなものです。

売上は「得点」に過ぎません。
大切なのは、その得点で勝てるのかどうかを見極めること。
それを教えてくれるのが、「市場内ポジション=順位」や「シェアギャップ=偏差値」といった相対的な評価軸なのです。


結論

受験競争において順位や偏差値が不明であるというのは、
戦場の地図を持たずに戦う”ようなものです。

それと同様に、ビジネスにおいても「相対的な位置情報=市場ポジションと競争優位性」を把握せずに戦うことは、極めて非合理的であるといえます。



「とても良いですね!」「面白い取り組みだと思います」「ぜひ頑張ってください!」
こんな言葉を聞けば、手応えを感じ、きっと売れると確信を持つことでしょう。
それ自体は悪いことではありません。むしろ、関心を持たれるだけでも一定の成果です。

しかし、その“好反応”が、購入や契約といったビジネスの成果に結びついたかと問われると、多くの場合、結果は「No」です。

実は、好反応と商談成立の間には深くて広い溝があります
相手が褒めてくれるのは、あくまで“関心”レベル。
本当に顧客の心を動かすには、“検討”や“決断”といったステージに踏み込んでもらう必要があります。


「褒める」と「買う」はまったく別の行動

人は面と向かって否定しづらいものです。とくに日本社会においては、好意的な表現が礼儀とされているため、建前の賛辞は日常茶飯事です。
だからこそ、「いいですね」の一言に安心せず、
次のような“能動的な問いかけ”が出たかどうかを確認しましょう。

「もう発売しているのですか?」

「値段はいくらですか?」

「どこで買えますか?」

「いつまでに納品できますか?」

これらが出ないのであれば、どんなに笑顔で褒められてもそれは「お世辞ゾーン」から出ていないということです。


なぜ褒めてくれるのに買わないのか?

  1. 失敗したくない(現状維持バイアス)
  2. 自社には関係ないと思っている(自分ゴト化されていない)
  3. 他に優先順位の高い課題がある(今ではない)
  4. 上司に説明できない(決裁を取る自信がない)

こうした見えない心理障壁を越えなければ、褒め言葉はいくら重なっても売上にはならないのです。


まとめ:評価されるのではなく、選ばれる存在へ

「いいですね」は賞賛ではなく、よそで売れるといいですね、にすぎません。
「欲しい」と言われ、「導入したい」と言われて初めて、ビジネスは動き出します。

好反応に満足せずに、その裏にある“買わない理由”を見極めること。
それが、本当の意味で売れる営業、選ばれる商品、信頼されるビジネスへの第一歩です。

受験エリートは、希望校に合格するための戦略プランを綿密に描いています。

テストの結果に対しては、点数の上下に一喜一憂するのではなく、相対的な指標である順位や偏差値を重視します。

順位と偏差値は、単なる合格可能性を示す指標ではありません。

順位とは自分がいまどの位置にいて、偏差値は、ライバルと比べてどれだけ競争優位にあるかを“定量的”に示すものです。

つまり、順位と偏差値は“勝ち負け”を数値化したものであり、これを軸にした戦略こそが、合理的かつ効率的に合格へとつなげる道筋となるのです。

受験戦争を勝ち抜いた「受験エリート」は、企業戦士としても戦略に長けた「ビジネスエリート」であるはずです。

ビジネスの現場においても、単なる売上高や、社内の指標である進捗率・達成率の増減に満足するのではなく、競争市場における自社のシェアポジションや、競合との“競争優位性”を示すシェアギャップといった相対的指標をもとに、「必ず勝つ」ための、戦略を練っているはずです。

受験戦争も企業競争も、「勝つための戦略的思考」を持つ者こそが勝者となるのです。


偏差値は見えないライバルとの順位表

かつては市場が拡大し続けることが前提だった日本経済も、現在では人口減少と高齢化により、業種業界を問わず「ゼロサム市場」へと移行しています。市場全体のパイが増えない環境では、企業が売上を伸ばすためには競合他社からシェアを奪うしかなく、まさに勝者と敗者が明確に分かれる構造となっています。

このような環境において、「前年より売上が伸びた」「利益率が上がった」といった自社内の数値だけを見ていては、本質を見誤ってしまいます。重要なのは、競争市場の中で自社がどの位置にいるのか、つまり“相対的な競争優位性”を把握することです。

それは受験時代に悩まされた「偏差値」のようなものです。点数が上がった下がったと一喜一憂しても合格確率まではつかめません。点数(=売上)そのものだけでなく、全体の分布における自社の“偏差値”=戦略的ポジションを数値化することで、表面的な好成績に隠れたリスクや、逆に過小評価されていた強みが明らかになります。

弊社が開発する、「市場ライフサイクル分析」や「ベキ分布分析」、「マトリクス分析」はいずれも相対的な競争優位性を定量化および可視化するためのアルゴリズムです。単なる“売上ランキング”では見えなかった競争構造の力学を捉え、企業の戦略タイプを客観的に分類することが可能です。

とくに製薬業界のように、製品の差別化が難しく、プロモーションも制限される環境では、競合に対して「どこに、どれだけ資源を投下するか」が競争力を大きく左右します。限られたリソースの中で勝ち筋を描くためには、もはや経験や勘だけでは不十分であり、データに基づく戦略的な意思決定が不可欠です。

ゼロサム市場では、全員が勝者になることはできません。だからこそ、「相対的な優位性」を可視化することが、これからの企業経営にとっての“通信簿”になると私たちは考えています。

S.I Labは、単なるデータ分析にとどまらず、競争市場で生き残るための判断の軸と、戦略の出発点を提供しています。勝者と敗者が明確になる不確実な時代にこそ、定量的な競争優位性の見える化が強く生き残る企業を作るのです。

多くの製薬企業では、ターゲット戦略の基本として「市場規模 × 自社売上(売上貢献度)」のマトリクスを用いて、優先すべき医療機関や施設を分類・抽出する方法を採用しています。確かにこの手法は直感的で理解しやすく、営業リソースの配分にも即座に活用できるため、現場に浸透しています。

しかしながら、この方法は真の“戦略”とは呼べません。なぜなら、そこには「競争」という視点が決定的に欠けているからです。

売上高は、企業の活動成果を示す重要な指標ではあるものの、それだけでは市場における真の競争優位性を測ることはできません。売上高には市場規模や歴史的背景、M&Aによる蓄積、既得権益など多くの“非競争的要因”が含まれており、それが必ずしも持続的な競争力や革新性を意味するとは限らないのです。

DXS Stratify®は、従来の「市場規模 × 自社売上」という2軸のマトリクスでは見ることが出来なかった競争市場における競争優位性を明らかにするために、さらに2つの競争視点を導入しています。

  • シェアポジション(自社の順位)
  • シェアギャップ(直近の競合とのシェア差)

これにより、同じ売上高でも、競合との相対的な位置関係を定量的に評価することが可能となります。自社が圧倒的に強いのか、競合と拮抗状態なのか。あるいは既に競合から射程距離圏外に突き放されているのかなど、つまり、売上という結果を、競争という視点で“意味付け”することができるのです。

このように、DXS Stratify®は売上データを用いながらも、これまでの単純な2軸分析では可視化できなかった「競争優位性」を浮き彫りにします。もはや“売上があるから優先する”という発想では、市場で勝ち残れない時代です。重要なのは、自社が「どこで勝てるか」を見抜き、そこに経営資源を集中させること、それこそが戦略であり、DXS Stratify®が提供する本質的価値です。