多くの企業で一般的に行われている手法のひとつに、「自社の製品売上構成を上位から並べ、割合が高い製品に優先的にリソースを投下する」という戦略があります。限られた人員・予算を効率的に使ううえで、この“選択と集中”の考え方は一見合理的に見えます。
しかし、この手法には重大な盲点があります。

それは、売れていることと、競争に強いことは別問題であるという点です。

この方法が対象にしているのは、あくまでも「自社内での売上構成比」であり、市場全体における競合との関係、すなわち「相対的な競争優位性」を加味していません。そのため、売上は高いものの、実は市場シェアが低く、競合製品に対して非常に脆弱な製品が“主軸”として扱われてしまうことがあるのです。

こうした製品は、競合による集中攻撃や新製品の登場によって、一気に売上を失うリスクを抱えています。まさに、企業の「売上の柱」が突然崩れ落ちる可能性を孕んでいるのです。

特に市場が成熟または縮小している場合、競合とのシェア争いはゼロサム化します。こうした環境下で、過去の売上実績だけを根拠にリソースを集中させるのは、危うい構造の上にさらに荷重をかけるようなものです。

戦略とは、単に“自社で売れているもの”を守ることではなく、“市場で勝ち続けられるもの”を見極め、そこに資源を配分することです。
そのためには、売上構成比だけではなく、市場シェア・シェア順位・競合との差(シェアポジションとギャップ)などの相対的な競争力を定量的に把握し、重点品目を見直す必要があります。

“柱”だと思っていたものが、実は最も危うい足場だった。
そんな事態を避けるためにも、「内向きの売上構成」から脱し、「外向きの競争構造」に基づいた重点戦略を再構築することが求められています。