■ 相対指標がない受験競争の問題点
1. 自分の立ち位置が分からない
点数だけでは「自分がどのレベルにいるのか?」「志望校に届いているのか?」が判断できません。
たとえば80点を取ったとしても、それが全体の中で高いのか低いのかが不明なら、戦略的な判断(科目の強化・配点調整・志望校変更など)ができません。
2. 競争ではなく自己満足に陥る
点数が高ければ喜び、低ければ落ち込む。
しかし、競争相手の状況が見えないため、勝ち負けの意識が曖昧になり、戦略的行動が取れません。
結果として「努力=報われる」と信じる内向きな学習に偏り、受験がゲーム理論的な勝負であるという側面が失われます。
3. 模倣や誤判断が横行する
周囲がどのような成績で、何をしているのかが見えないため、誤った学習法が最適化されずに放置される恐れがあります。
また、合格基準点がブラックボックス化し、結果として「偏差値の高い科目に時間配分する」といった合理的戦略が取れません。
4. 適切な志望校選定ができない
偏差値がなければ、志望校とのギャップを数値で把握できないため、現実的な合格戦略が立てられません。
結果として、「受かるはずの学校を避ける」「落ちる学校に固執する」など、非合理な受験行動が増加します。
■ ビジネスにも同じことが言えます。
これはまさに、企業が「売上高」だけを追って、「市場シェア」や「競合との差(シェアギャップ)」を見ずに戦っている状態と同じです。
多くの経営層が、売上高に一喜一憂し、上がれば「この調子で頑張ろう!」、下がれば「もっと頑張らなければ」と、結局のところ“頑張る”しか選択肢のない精神論型マネジメントに陥ってしまいます。
こうした精神論経営に頼ると、戦略の根拠を失い、競争に勝てるかどうかの判断すらできなくなり、
もはやそれは**「経営」ではなく「気合の運営」**に過ぎなくなります。
企業にとって重要なのは、成果そのものよりも、その成果が“競争の中でどの位置にあるか”を冷静に把握し、戦うべき場所と資源の投下先を判断する戦略眼です。
受験で言えば、偏差値という相対的指標をもとに、自分の立ち位置と合格可能性を見極め、志望校を再設定するようなものです。
売上は「得点」に過ぎません。
大切なのは、その得点で勝てるのかどうかを見極めること。
それを教えてくれるのが、「市場内ポジション=順位」や「シェアギャップ=偏差値」といった相対的な評価軸なのです。
■ 結論
受験競争において順位や偏差値が不明であるというのは、
“戦場の地図を持たずに戦う”ようなものです。
それと同様に、ビジネスにおいても「相対的な位置情報=市場ポジションと競争優位性」を把握せずに戦うことは、極めて非合理的であるといえます。

