多くの医療機関でホームページを起点としたWebを活用したマーケティングが行われいます。

これら自己発信できるプロモーションチャネルは既に競争優位性を築くには普及しすぎており差別化につながりません。

クチコミと同じく効果が高いパブリシティはどうでしょうか?

だれでも出演が可能というチャネルではありません。

参入障壁が高く、同じ人が繰り返し登場する傾向があります。

しかし参入障壁が高いということは一度参入できれば競争環境は比較的緩やかと言えます。

またパブリシティ側も常に新しく情報を探しています。

ブログでは非公開としますが方法は存在します。

これからは中間層が存在しない二極化に向かうと考えられます。

理想の世の中とは言えませんが「富」は分け合うものではない社会に向かっています。

ここまで一連のプロセスをご紹介しましたが、市場環境の変化に柔軟で俊敏にアップデートをすることが大切です。

「強み」は「目的」を実現するためのKSF(重要成功要因)です。

しかし「目的」と「強み」だけでは不十分です。

実現するための「手段」を明確にする必要があります。

クリニックをオープンして認知が進めば時間はかかっても患者数は増えるとした事業計画の試算を目にすることがありますが、その根拠はなんでしょうか?

成長期とは異なり人口減少により対象する患者数は減っています。

打ち手がなければよほどの「強み」がない限り自然に患者が増えることはありません。

ムーアの「キャズム論理」では85%の人は自分で判断しておらず、人が良いというものを選択するとされています。

すなわちクチコミ効果が大きな要因となっています。

認知行動プロセスにおいても全てのフェーズでクチコミは有効とされています。

また最近では広告よりパブリシティの効果が高いと言われています。

このことからも企業自身が発する情報より客観的な第三者の意見を重要視することが窺えます。

医療機関にとって患者とは来院するまで顔の見えない潜在的な存在であり、B2Cのビジネス構造です。

消費材と同じくマスマーケティングが重要になって来ます。

患者の行動変容を促すにはブランディングが必要です。

ブランディングには自院だけの「強み領域」を明確にする必要があります。

自身が考えることが必ずしも「強み」とは限りません。

「強み」は患者と競合、そして自院の相対的な関係によって定義されます。

3C分析を通じて自院だけの「強み」を明確にしておきましょう。

市場に新規参入し、利益を上げるために必要な条件は十分な市場規模と成長性、そして競合に対する優位性です。

それを検証するためには立地および商圏分析が必要です。

良い場所を確保することが理想ですが多くの場合では既に既存の競合に取られています。

しかし立地は変えられなくとも商圏は変えることができる可能性があります。

データ分析を通じてブルーオーシャンを見つけることができるかもしれませんが、少子高齢化による人口減少が進む現代では難しいでしょう。

特に現在の医療圏では十分な市場規模はない場合には既に競合が存在する医療圏まで自院のエリアを拡大することになります。

競合に対する優位性が必要です。

戦略を立てる上で最も重要なことは「目的」を明確にすることです。

「目的」がなければそれを実現するための指針も手段も決めることが出来ません。

「目的」はいわばビジネスにおけるビジョンです。

もしかしたら人生におけるミッションかもしれません。

さらに「目的」は時と状況に応じて容易く変化するものではありません。

普遍的で持続可能な「目的」を立てることがが重要です。

市場規模の大きな顧客を優先するパレートの法則によるターゲティングやアロケーションは競合の存在が加味されていません。

売上が高い顧客では自社製品の売上が必ずしも高いはずはなく、当然のことながら自社が強いこともあれば競合が優位なこともあるはずです。

つまり市場規模と自社の売上には相関関係は成立しません。

製薬業界には受発注データという3Cの情報を含む完全情報です。

受発注データを用いれば「戦略」が見えてきます。

国内医薬品市場の推移を参照するとダウントレンドが読み取れます。

すなわち市場ライフサイクルでは成長期を過ぎ成熟期から衰退期へと移行していると思われます。

成熟期から衰退期での競争環境はレース型競争市場からゲーム型競争市場へと変遷し、競争環境は顧客を奪い合うゼロサムゲームです。

このフェーズでは3Cの中でも競合に対応する戦略が欠かせません。

一般的に市場の競争環境は分散型から一強型へと推移するといわれています。

競合に対する戦略なくしては気が付いた時には市場競争から脱落している可能性もあり得ます。

市場細分化とは全体市場を属性ごとに分類し、自社が参入するターゲットを絞込んだうえで、3Cから自社の強み領域を明確にすることです。

3Cから強み領域を明確化することで「必ず勝つ、絶対に負けない」フィールドに参入することが出来ます。

ビジネスフレームワークにおけるSTP分析です。

このセグメント設定、ターゲット設定、ポジション設定は「主戦場」「主敵」「布陣」を決定する戦略と言い換えることが出来るでしょう。

マーケティングを行う主な目的は差別化により競合に優位性を獲得することです。

しかし様々な保護や規制を受ける医薬品ビジネスの場合は差別化を機能させることは非常に困難です。

そのためマーケティングの上位概念である「戦略」存在が重要な意味を持ちます。

なぜ競争市場では市場細分化が重要なのでしょうか?

人口減少による市場の偏在や社会保障費抑制による収益性の悪化、不確実性が高まり未来の予測が困難となり、また市場の縮小により競争環境は激化しています。

さらに人員削減による戦力量の低下など、従来型の全体市場に対する本社からのワンオペレーションではエリア特性に沿った戦略が立てられず、また目まぐるしい変化に対応することが困難となりました。

国民医療費は増大を続けていますが、その伸びは鈍感しており、前年の成長を継続するためには縮小市場における競争に勝ち競合からシェアを奪う必要があります。

これまで戦略の策定は将来を予測することでプランニングする手法が取られていましたが予測不能な将来のためこれまでの手法が通用しません。

常に変化する市場環境に柔軟で俊敏に対応するためには常に市場の動向を把握し分析する必要があります。

また競争環境の多様化に対応するには市場細分化が重要となるのです。

顧客とのタッチポイント確保のために、製薬各社がこぞって導入し進めているDXによる情報提供ですが、各社右に倣えで推奨したため差別化が機能せず同一化を促進し、期待したい処方インパクトが得られないのが現状ではないでしょうか。

その中でも得をする者もいます。

それは市場内強者です。

強者は非差別化戦略をとれるのでコモディティ化することは好都合です。

皮肉なことに「敵に塩を送る」それも弱者が強者の手助けをすることになっているようです。