――そしてDSAへの期待
現在の画像診断は、技術的には大きく進歩しています。高精細な画像、定量指標、AIによる自動解析。しかし一方で、臨床現場では「分かるが、説明しにくい」「見ているが、数値にできない」という違和感が残っています。
画像を読むとき、医師が本当に見ているのは平均値ではありません。ムラがあるか、局所的に尖った部分がないか、境界が不自然ではないか、内部に複数の相が混じっていないか。つまり構造です。しかし現状の定量指標は、厚み、径、体積など、どうしても単一の代表値に寄りがちで、構造の情報は潰れてしまいます。
AIはこの問題を解決するかのように期待されました。確かに、特定タスクにおいては高い精度を示します。ただしその多くは「当てに行く」モデルであり、なぜそう判断したのかを、臨床家が構造として検証することは容易ではありません。装置差や撮像条件の違いによる分布シフトにも弱く、運用や監査の面で課題が残ります。
さらに、医療画像では「真の正解」が曖昧であることも少なくありません。病理が取れない、経過でしか確定しない、評価者間一致が低い。こうした状況では、正解ラベルを前提とするAIは限界を抱えます。結果として、読影は依然として経験に依存し、その経験は共有や再現が難しいままです。
DSAへの期待
こうした課題に対して、DSAが提供する価値は明確です。DSAは画像そのものを診断するのではなく、画像から取り出される量がどのような分布構造を持っているかを評価します。歪み、尖り、裾の重さ、多峰性といった「構造の形」をスコア化することで、画像に含まれる違和感を数値として残します。
これにより、医師が感覚的に捉えていた構造的所見を、誰もが同じ指標で確認できるようになります。平均値では同じに見える画像の違いを、「分布の形が違う」と説明できる。治療前後の変化を、サイズではなく「構造の変化量」として追跡できる。これは診断精度を競うAIとは異なる、説明可能性と再現性に重きを置いたアプローチです。
DSAは、既存の画像解析やAIと競合するものではありません。むしろその上流や横に位置し、構造がどの程度歪んでいるのか、どこが不均一なのかを明示することで、判断の根拠を補強します。画像診断における「経験」と「数値」の間にある空白を埋める存在として、DSAには大きな期待があります。
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