同一市場内に複数の競合が存在する場合、競争環境の厳しさは単純に参入している競合の数だけでは判断するは出来ません。

つまり競合数が多いから競争環境は厳しく、少ないから容易いとはならないということです。

競争環境を見極めるための2つの指標をご紹介します。

それは「シェア類型」と「市場ライフサイクル」です。

「シェア類型」では競合間のシェアの差から競争環境を判断することが出来ます。

「分散型」であれば参入者の誰にでも強者になれる可能性がありますが、「一強型」になってしまうとその市場では既に勝負ありの状態にあります。

もう一つの指標は「市場ライフサイクル」です。

市場規模は拡大しているのか、あるいは縮小傾向にあるのかが判断の基準となります。

市場自体が成長期にあれば、「レース型競争」となり、大小の差はあるにしろ、参入者の全てが売上を伸ばすことが出来ます。

逆に市場規模が縮小傾向にあれば、限られたパイを奪い合う「ゼロサムゲーム」となり、一方が売上を伸ばせば他方が売上を失うことを意味します。

今の医薬品ビジネスのマーケットは縮小傾向にあります。

まず優先すべきは競合との競争に勝ち残ることです。

治療方針と処方傾向は、自社製品を処方してもらうための重要な顧客情報です。

しかし顧客である医師に治療方針と処方傾向を訪ねても、「患者の病態による」ケーズバイケースと答えられてしまうのではないでしょうか?

医療の基本は一人ひとりの体質や病気のタイプに合わせて個別化された治療を行うことです。

患者さんの体質や病気に関連している遺伝子情報をより細かく調べた上で、個々の患者さんの体質や病気のタイプに合わせて治療を行うこともあるかもしれません。

それではセグメント設定やターゲット設定、ポジション設定などの属性分類に意味がないかと言えばそうではありません。

ターゲット顧客の持つ患者群には、どのような属性があり、それぞれがどの程度の市場規模を持っているのか把握することが出来るからです。

市場を細分化することが出来れば、全体市場を狙うのか、競合との争いを避けたニッチ市場を狙うべきなのかの判断材料となり、戦略策定の上で競合に対して非常に有利になります。

「BtoB」「BtoC」は、ビジネスシーンで頻繁に登場するマーケティングモデルです。

医薬品ビジネスは、製薬企業から購入者である医師、そして使用者である患者の3者間におけるビジネスモデルです。

よってマーケティングモデルとしては「BtoBtoC」と複雑な構造モデルとなります。

これまでは製薬企業がダイレクトにエンドユーザーである患者とのタッチポイントを持つことは殆どありませんでしたが、昨今では、デジタルコミュニケーションの発展により治療支援アプリなどを介して徐々にその機会は増えています。

ではこの患者を対象としたカスタマーセントリックやカスタマーエクスペリエンスなどの取り組みは自社製品の売上にどの程度寄与するでしょうか?

「BtoB」「BtoC」の大きな違いは、顧客の顔が見えるか、顔が見えないかです。

製薬企業にとっても、医師/医療機関にとっても患者の顔は受診して初めて特定されますが、それ以前は潜在顧客として分散市場における不特定多数の存在です。

また製薬企業が治療の必要性や継続の重要性を啓蒙しサポートを行ったとしても、患者がどこの医療機関を受診するか、さらに受診した医療機関が他社製品ではなく自社製品を処方するかは不確実です。

確実性を高めるためには、全体市場における強者/No,1であるか、細分化されたニッチ市場における強者/No,1である必要があります。

それ以外の市場内における競争地位の製品は却って競合製品の処方を促進する、いわば「敵に塩を送る」行為となるかもしれません。

MA製品別のドメイン取得数のデータを見つけました。

Salesforceの一強型市場をイメージしていましたが、実際には混戦のようです。

パレートでは上位5社が市場の80%を構成しています。

そのうち上位4製品が射程距離圏内に存在し、いずれもアタマ一つ抜け出すには至っていません。

トレンドで見ると上位2社が抜け出しており、シェア類型の推移は、このままの傾向が続けば、いずれ2強型、1強型市場を形成するものと思われます。

Salesforceは現状のシェアを維持することを第一に、安定させることが出来ればシェア拡大を図ります。

HubSpotは競争目標のBowNow、Adobeから7%のシェアを奪い、早急にSalesforceを攻撃目標にすることです。

ただ全体的には全ての製品が売上を伸ばしており、市場ライフサイクルは成長期によくみられるレース型競争のようです。

今後、HubSpotとBowNowがどのような戦略によって市場を拡大していくのか面白いところです。

一度導入したシステムを頻繫に入れ替えることはないでしょうから、早晩に成熟期から衰退期へ向かいゲーム型競争になることでしょう。

いずれにせよ、売上を最大化するためのマーケティングオートメーションです。

自社のMAが売れていないのでは顧客に対して説得力がありません。

一番売れているMAが一番売上を最大化するMAと言えるでしょう。

MRの人員削減には既に慣れてしまった感もあり、当初のインパクトは感じない方も多いかもしれません。

「MR数調査2022年版」の報告では、前年比6.6%減となり、これによりMR総数は5万人を切ることが予想されます。

多くの製薬企業がMRの人員削減を進める理由は生産性です。

売上高に見合った人事数に調整するためです。

しかし人員を削減することでそれまでと比べて業務量そのものが低下する可能性があります。

そうなれば再び売上高が減少し、売上高に見合う人員数にするために繰り返し削減を行うようになります。

適正なMR数とは、売上高に合わせた人員数にするべきか、あるいは売上高を最高値にするための人員数にするべきでしょうか?

利益は決して売上を上回ることはありません。

売上高が向上すれば同じ人員数でも生産性を高めることが出来ます。

戦略において人員数は戦力です。

競合に勝つためには戦力で競合を上回る必要があります。

特に医薬品ビジネスのように同一化が進み差別化が困難なビジネス環境においては戦力で競合を上回ることは勝つための絶対条件です。

人事機能の中に「戦略としての人事」があります。

経営戦略を実現するために、経営資源の「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」を最大限活用するマネジメントを戦略人事(Strategic Human Resources Management)と言います。

あなたの会社で行われる人員削減は戦略人事に則って行われているでしょうか?

もし繰り返し人員削減が行われているならば戦略人事ではないかもしれません。

誰のための利益追求か?

株式会社であればストックホルダーの利益が優先でしょう。

医療機関にかかる患者は増え続け、「国民医療費」は、2022年度も、2021年度を上回ることが想定されています。

戦略を考える上で、市場規模は非常に重要な要因であり、市場規模が拡大することは医薬品ビジネスにとって喜ばしい状況と言えるでしょう。

市場規模が拡大する成長期の戦略は、成熟期から衰退期における戦略に比べ売上向上させやすいからです。

しかし皆さんの感覚では市場が拡大し、ビジネス環境は良好な状態であるとは感じられないはずです。

診療報酬改定率は、「本体」部分が0.43%引き上げられた一方で、「薬価」部分を1.37%引き下げ、全体では0.94%のマイナス改定となっています。

薬剤費率の推移をみても、この10年間は横ばい、もしくはダウントレンドにあります。

市場環境を読み戦略を立てる必要があります。

市場規模が縮小する成熟期から衰退期では競争環境は一層厳しくなります。

多くの製薬企業が顧客に目を向ける戦略を立てていますが、競合に対する戦略は十分でしょうか?

IQVIAジャパンによると、2026年医薬品市場の世界ランキングでは日本が4位に後退し、対世界シェアで5%を下回ったそうです。

日本においては医薬品の市場規模は社会保障費の影響を大きく受けます。

歳出の約3分の1を占める社会保障関係予算は対前年度当初比1.2%増の36兆2,735億円と微増となり、こちらも過去最高を更新しています。

2022年度に行われた診療報酬改定では診療報酬については看護職の給与引き上げなどで0.43%のプラス改定となりましたが、薬価も含めたトータルの改定率は0.94%のマイナスです。

戦略を考える上で、市場規模は非常に重要な要因です。

自社が参入する製品群における市場規模はもちろんですが、日本では国民皆保険や薬価制度によって医薬品ビジネスは需要と価格において保護されています。

一方で社会保障費の増減の影響を確実に被るとも言えます。

グローバルに展開する製薬企業にとっては日本市場の魅力が低下し、経営資源の投入に消極的になるかもしれません。

https://www.stat.go.jp/data/nihon/23.html

顧客の所在が不明確な消費財マーケティングにおいて、潜在顧客を掘り起こし、受注確率の高い顧客を絞り込む一連の行程をデジタルに置き換えることは営業活動の効率化と最適化においてとても有効で重要な戦略です。

医薬品マーケティングにおいても消費者である患者一人一人を自社製品のユーザーにすることは、消費財マーケティングと同様に一見するとマスマーケティングのように思えます。

しかし医薬品の場合、消費者である患者に自社製品が届くまでに購入者である医師/医療機関が存在します。

特に実際に処方されるまでには医師による処方箋が必要となります。

顧客となる医師は患者のようにマスマーケティングは必要ではなく、コロナウイルス以降、面会機会が減少したとはいえ、ダイレクトマーケティングが可能です。

まずは医師の治療指針や処方傾向によるニーズに合わせたOne to Oneマーケティングを突き詰める必要があるでしょう。

消費財マーケティングにおける顧客は消費者です。

消費者は不特定多数であり市場は分散しています。

これまではTVCMや広告による情報提供を行い、顧客が店舗に購入しに来るのを待つビジネスでしたが、インターネットを中心としたデジタルの進歩・普及により、EC(Electronic Commerce:電子商取引)に代表されるように個客レベルでのセールスが可能になりました。

医薬品ビジネスにおける顧客は誰でしょうか?

製品を購入する医師が顧客であり、使用する患者が消費者と言えます。

昨今の顧客を中心としたUX/CXは、「BtoC」や「DtoC」ビジネスとは親和性は非常に高いと思います。

一方で医薬品ビジネスでは、顧客である医師に対してダイレクトマーケティングが可能ですが、消費者である患者へリーチすることは困難です。

また医薬品の使用には医師の処方箋が必要となるため、消費者である患者が薬剤を選択するということは非常にまれです。

そのため、顧客としての医師に対するマーケティングが効果的であり効率性も高くなるのです。

それでは医師を対象とした顧客属性に合わせた最適なアプローチのために必要な情報とは何でしょうか?

所有している車や趣味、好きなお酒の種類からは治療方針や処方傾向を知ることは出来ません。

どのような薬剤をどの程度の量、どんな頻度で購入しているのか、MRの活動と合わせることで知ることが出来ます。

最近のビジネスシーンにおいてUXやCXという言葉を目や耳にすることが多くなりました。

以前から「顧客を中心としたマーケティング」の重要性は提唱されていましたが、最近では特にその傾向が強まったと感じます。

その背景にはインターネットの普及によりコミュニケーションがデジタル化したことにより、企業と顧客の関係に変化が生じたことにあります。

インターネットを用いれば、顧客は企業の情報発信を待たずに欲しい情報を獲得できるようになりました。

企業が自社製品の情報を提供しなくても、顧客自身で製品を選び、インターネットで購買まで行うことが出来ます。

顧客は自社製品のみならず競合製品の情報を得ることで、双方を比較したうえで購入を決めることも可能です。

さらにSNSや口コミなどの要素が加わることで、選択権が顧客側にシフトし、企業は情報発信における優位性を失うことになります。

そのため、企業はデジタルによる双方向性や検索優位性、即時性を取り返す必要が生じました。

ECサイト(amazonなど)では定価よりも安価で購入出来ることもあり、情報および価格における企業側の優位性が薄れ、消費者主権の完全競争市場へとシフトしています。

MRが顧客を訪問し自社製品の情報提供により購買につなげようと思っても、顧客は既に必要な情報を得ているためセールスが機能しなくなるのです。

各社が乗り出すカスタマーセントリックのマーケティングは競合との差別化による競争優位性を生むことが出来ない限り、より一層、市場競争を激化させることになるかもしれません。