1. 販管費はグローバルな経営活動に紐づく費用
販管費(SG&A)は、製品の販売促進、営業体制、マーケティング、管理機能、人材確保など全社的な経営資源の投入を示す指標です。
そのため、対象となる市場も国内に限らず全世界を含んでおり、グローバル戦略の一環として費やされます。具体的には以下のような活動が該当します:
- 海外学会での情報発信
- 多国籍な営業チームの構築
- 各国の規制対応や製品登録費用
- グローバル本社・機能部門の運営費用
これに対して、国内医薬品売上高は、日本市場における処方薬の販売実績だけを対象とした部分的な指標であり、販管費の全体像とはスコープが異なります。
2. グローバル化によって販管費と国内売上の乖離が拡大
多くの大手製薬企業は、すでに売上の大半を海外で上げています。
| 企業名 | 海外売上比率(目安) |
| 武田薬品 | 約80% |
| 第一三共 | 約60% |
| アステラス | 約50% |
このような企業では、販管費の多くが海外市場を前提としたグローバル対応型の投資となっており、日本国内の売上高とはもはや直接的な結びつきがありません。
したがって、販管費と国内医薬品売上高の相関が弱いのは自然な結果であり、企業がどこで戦い、どこに投資しているかを反映しているのです。
■ 海外販路を持たない企業のリスクと脆弱性
この構造が意味するのは明確です:
海外販路を持たず、経営資源も限られている企業ほど、今後の市場環境に対して脆弱であるということです。
- 日本市場はすでに人口減少と薬価制度の引き締めにより、縮小・低収益構造に向かっています。
- 海外展開ができなければ、成長機会を自ら制限することになります。
- にもかかわらず、販管費は一定以上必要なため、利益圧迫・競争力低下につながります。
■ 結論:販管費の“意味”は企業の戦略とリンクする
販管費は単なるコストではなく、企業がどの市場で勝負しているか、どこに経営資源を投下しているかを表す戦略的指標です。
- 総売上高との相関は「企業全体の規模と活動量の関係」を示す
- 国内医薬品売上との非相関は「販管費の重心が国内ではない」ことを意味する
したがって、海外展開の乏しい企業、経営資源に劣る中堅・中小企業は、この構造の中でますます競争上不利となるのは避けられず、戦略転換か撤退が迫られる局面にあるといえるでしょう。
