相関関係と因果関係の違い
前橋市長(女性42歳独身)が部下の既婚男性の10回にのぼり、ラブホテルで密会を続けていた件がニュースを騒がせています。市長は男女の関係を否定していますが、一方で民事ではラブホテルの利用は不貞行為があったと認定される事象です。
ビジネスの世界でも「AとBが一緒に起きている」ことはよくあります。これが相関関係です。しかし相関は因果を意味しません。たとえば「売上増と広告費増」には強い相関がありますが、「広告費が売上を増やした」のか「売上が伸びて広告費に回せた」のかは別問題です。
今回の事例でいえば、「ラブホテルに10回行った」という事実と「不貞関係があった」という解釈には強い相関がありますが、それが因果かどうかは別次元の議論です。
p値で考える「偶然の説明可能性」
統計学で使うp値は、「もし因果がないとしたら、このようなデータが偶然出る確率はどのくらいか」を表します。
- 帰無仮説(H0):不貞はない
- 観測事象:同じ相手とラブホテルに10回以上入る
この場合、H0のもとで10回のホテル利用を説明できる確率は極めて低いと考えられます。p値はほぼゼロに近づき、「偶然では説明できない」と解釈されやすい。だからこそ裁判所は「社会通念上、不貞を推認できる」と判断するわけです。
第一種過誤と第二種過誤
ここで重要なのは誤判定リスクです。
- 第一種過誤(α):本当は不貞がないのに「ある」と誤認(冤罪型)
- 第二種過誤(β):本当は不貞があるのに「ない」と見逃し(見逃し型)
民事裁判では「優越的蓋然性(もっともらしさが50%超)」が基準です。刑事の「合理的疑いを超える確信」ほど厳しくはありません。つまり、第二種過誤をできるだけ避ける方向にバランスをとっているのです。
ビジネスへの示唆
今回の事例はスキャンダルですが、統計的思考はビジネス判断にも通じます。
- 相関と因果を混同しない
- p値は「真実の確率」ではなく「偶然説明のしにくさ」
- 誤判定リスク(第一種・第二種過誤)を意識して意思決定する
マーケティング施策や新規事業の成否判断も同じ構造です。「偶然の成功」か「再現可能な因果」かを見極めることが、戦略的な強みを生むのです。
