IT技術の向上によるマーケティングオートメーション進歩が、顧客レベルから個客レベルにまで最適化を可能にすることで、これまでのマーケティングプロセスは不要になるかもしれません。

その一方で、既に顕在化した個客一人ひとりのニーズに合わせた粒度の小さなサービスを提供するため、顧客の潜在的なニーズを掘り起こし、新たな市場を開拓することが出来ません。

VUCA(不確実性)の時代の未来は、これまでの延長線上にないため、過去の経験に基づいた予測は不可能です。

そもそも未来を予測することは誰にも出来ません。

出来ることは2つです。

常に変化を捉え細かくアジャストしていくか、自ら未来を創り出すかの2つです。

つまり「個客最適化」か「新市場開拓」です。

未来を過去の延長線上に置くのではなく、未来のビジョンへのロードマップを描けば、不確実性の時代にふりまわされることない戦略を立てることが出来ます。

The best way to predict the future is to create it.

(未来を予測する最良の方法は、未来を創りだすことだ) エイブラハム・リンカーン

Matrix analysis can be applied regardless of business type/industry

戦略の原理原則はあらゆる業種/業界で応用が可能です。

戦略において重要な要素は顧客/市場と競合、そして自社の3Cです。

これら3つのビジネスプレイヤーの定量データがあればマーケットシェア理論による数式を用いたマトリクス分析が可能です。

Rule and principle of Strategy can be applied to any type of business/industry.

The key elements in strategy are customers/markets, competition, and company as the 3Cs .

If you have quantitative data of these three business players, you can implement matrix analysis using formulas based on market share theory.

デマンドジェネレーションとは、潜在顧客の中からWebサイトや各種広告媒体などによって発掘した獲得した見込み客(リード)に対して、それぞれの購入意欲にあわせたメール送信やWeb面談、Web講演会などのフォローアップをおこない、処方意欲の高いホットリードを育成する段階的な顧客の行動変容を促すプロセスです。

企業の情報を一方的に発信するだけでは「デマンド=需要を創出する」ことは出来ません。

マトリックスフレームでいえば、デマンドジェネレーションによってc行、d行の顧客から見込み顧客を発掘し、MRによるフォローアップにより処方獲得につなげる一連のプロセスが必要です。

しかしKPIなどの回数目標で評価されるMRは顧客との関係構築が既に出来ているa行の顧客に対してリソースを配分する傾向があるのではないでしょうか?

既に関係構築が成立している顧客に対するフォローアップは成熟期から衰退期における顧客維持には必要な営業活動ですが、導入期から成長期においては新規顧客の獲得が機能せず、市場を拡大することに失敗してしまいます。

本来医薬品ビジネスの場合は、消費材マーケティングのマスマーケティングとは異なりターゲットマーケティングが主体のため、MRの顧客攻略による新規顧客獲得活動は欠かすことが出来ません。

一連のプロセスの役割分担とそれぞれが正しく機能しているか検証してみましょう。

デジタル技術の進歩により、市場/顧客情報などのビッグデータを基にした、より顧客ニーズに合致した価値提供が出来るようになりました。

顧客レベルから個客レベルにまで最適化することが出来るようになれば、これまでのマーケティングプロセスは不要になるかもしれません。

その一方で、既に顕在化した顧客ニーズに合わせた粒度の小さなサービスを提供するため、競合他社とのコモディティ化により差別化が図りづらく、競争優位性を得ることが難しくなります。

過去の行動を分析することで将来の行動を予測する確率は上がるかもしれませんが、一人ひとりの顧客個人の嗜好性を理解することは現状では不可能です。

消費材マーケティングではインターネット上のECサイトで商品を販売することが成立するため、実際に個客一人ひとりに営業を行うことは多くありません。

医薬品のような個客一人ひとりに営業を行うターゲットマーケティングおいてはその必要性と重要性は消費材マーケティングとは比較になりません。

製薬企業において最も顧客に近いのはMRであり、顧客中心主義の成功のカギは対面のコミュニケーションの重要性をもっと理解することかもしれません。

https://thefocus-on.com/okazaki_michio/

現代では、大量生産/大量消費の時代は終わり、「いいものを、安く、たくさん作って流通」させても顧客に買ってもらえるとは限らない時代となりました。

また機能的価値を高めようとしても多くの分野で概ね一定の機能を超えており、顧客のニーズは既に満たされているという事実もあります。

そのため「情緒的価値」を高めるためにペルソナやカスタマージャーニー/ペイシェントジャーニーなどを分析し、CX、UXを高める製薬企業が増えています。

これら顧客ニーズの変化は経済成長が大きく影響しています。

しかし現在は世界的な景気後退や少子高齢化時代に突入し、また新しい時代の転換期を迎えています。

厳しい競争環境下では、顧客にフォーカスしただけでは不十分です。

競合に対する視点が重要になります。

3Cの要素をしっかりと見極める必要があります。

売り手と買い手が同じ量と質の情報を持つことで完全競争市場が成立します。

高度な情報を伴う医薬品ビジネスにおいて完全競争市場が成立することは、顧客に対する製薬企業の圧倒的な優位性が失われることを意味します。

では完全競争市場が成立するとどのようなことが起きるでしょうか?

ロジャースの「イノベーター論理」ではイノベーターとアーリーアダプターの16.5%以外は他者の意見を基に意思決定を行うとされています。

つまり他者が良いと言う製品、すなわち一番売れている製品を選択することになります。

もはや情報を比較し自分のメリット・デメリットすら考慮されない可能性があります。

行動変容モデルにおいて全てのフェーズで口コミが有効な理由はここにあります。

完全競争市場で一人勝ちするためにはシェアを高め市場内強者になることです。

医師向け薬剤比較アプリというものが登場しました。

DXによる情報提供推進がこのような状況を招くことは容易に危惧出来たことですが、、ついにこのフェーズに達してしまったかという感じです。

これまでも医薬品情報を収集するためのアプリは存在していましたが、その多くは添付文書アプリなど製品情報を網羅した、主に薬剤師向けに作られたものでした。

医師向け薬剤比較アプリでは、処方薬剤の特徴を確認したり、関連薬効製品や同効薬剤と比較や、実際に処方した医師の口コミを手軽に知ることができます。

この顧客にとって便利なアプリは製薬企業を消滅させる威力を秘めています。

医薬品は高度な情報を伴う製品です。

製薬企業は顧客が知り得ない多くの情報を有することで不完全競争市場を形成し優位性を得ています。

しかし顧客が企業と同等の情報を持ち、自ら選択をするようになる完全競争市場では、競争の2極化が進み、最終的には強者の一人勝ちを招きます。

簡単に情報を得られるということは、極めて限定的な情報のみで薬剤選択を行うということであり、営業活動を無効化してしまいます。

各社が進めてきたDXによる情報提供推進は自らの首を絞めるかもしれません。

勝負では相手がいるいじょう自身がいかに万全であっても勝てるとは限りません。

自身の状態を相手が上回っていれば勝負には負けてしまいます。

つまり勝敗は相手と自分の相対的な関係によって決まるということです。

勝つためには相手を上回るポイントを的確に攻めることです。

裏返せば全体的には劣勢であっても確実に相手の弱点を攻めることが出来れば勝機はあると言えます。

全体市場ではなくニッチ市場やSTPによる市場細分化などを行うのはそのためです。

全体市場からでは顕在化していない相手の弱点が細分化により浮き上がってきます。

さらに自身の弱点を理解していれば防御し、先制攻撃することもできるはずです。

マトリクス分析によって競合製品の脆弱性を把握することで限られた経営原資であっても効率的かつ短期間で成果を上げる事ができるでしょう。

必ず勝つ、絶対に負けないためのたった一つの方法

戦略において重要なことはもちろ勝つことですが、それ以上に重要なことは「絶対に負けない」ことです。

そのためのたった一つの方法は自分より弱い者を攻撃し、強い者との戦いは避けることです。

勝てる可能性はシェア理論を用いることで知ることができます。

偉い人には弱く部下に偉そうにする上司は戦略家と言えるかもしれません。

「顧客は競合より自社製品の方が効果が強いと評価している」

だから競合より自社製品の方が処方を獲得できるはずだと思うかもしれません。

しかし実際には期待した処方インパクトが得られないケースは少なくないのではないでしょうか。

「効果が強い」ことが処方インパクトに結びつくためには、そのことが顧客のニーズを満たす優先要因である必要があります。

競合に対する優越性は有していても顧客のニーズを満たしておらず、3Cにおける自社製品の優越性が成立していません。

差別化を機能させ顧客に認知、定着を促すブランドとブランディングをデザインしなければなりません。