市場規模の大きな顧客を優先するパレートの法則によるターゲティングやアロケーションは競合の存在が加味されていません。

売上が高い顧客では自社製品の売上が必ずしも高いはずはなく、当然のことながら自社が強いこともあれば競合が優位なこともあるはずです。

つまり市場規模と自社の売上には相関関係は成立しません。

製薬業界には受発注データという3Cの情報を含む完全情報です。

受発注データを用いれば「戦略」が見えてきます。

国内医薬品市場の推移を参照するとダウントレンドが読み取れます。

すなわち市場ライフサイクルでは成長期を過ぎ成熟期から衰退期へと移行していると思われます。

成熟期から衰退期での競争環境はレース型競争市場からゲーム型競争市場へと変遷し、競争環境は顧客を奪い合うゼロサムゲームです。

このフェーズでは3Cの中でも競合に対応する戦略が欠かせません。

一般的に市場の競争環境は分散型から一強型へと推移するといわれています。

競合に対する戦略なくしては気が付いた時には市場競争から脱落している可能性もあり得ます。

市場細分化とは全体市場を属性ごとに分類し、自社が参入するターゲットを絞込んだうえで、3Cから自社の強み領域を明確にすることです。

3Cから強み領域を明確化することで「必ず勝つ、絶対に負けない」フィールドに参入することが出来ます。

ビジネスフレームワークにおけるSTP分析です。

このセグメント設定、ターゲット設定、ポジション設定は「主戦場」「主敵」「布陣」を決定する戦略と言い換えることが出来るでしょう。

マーケティングを行う主な目的は差別化により競合に優位性を獲得することです。

しかし様々な保護や規制を受ける医薬品ビジネスの場合は差別化を機能させることは非常に困難です。

そのためマーケティングの上位概念である「戦略」存在が重要な意味を持ちます。

なぜ競争市場では市場細分化が重要なのでしょうか?

人口減少による市場の偏在や社会保障費抑制による収益性の悪化、不確実性が高まり未来の予測が困難となり、また市場の縮小により競争環境は激化しています。

さらに人員削減による戦力量の低下など、従来型の全体市場に対する本社からのワンオペレーションではエリア特性に沿った戦略が立てられず、また目まぐるしい変化に対応することが困難となりました。

国民医療費は増大を続けていますが、その伸びは鈍感しており、前年の成長を継続するためには縮小市場における競争に勝ち競合からシェアを奪う必要があります。

これまで戦略の策定は将来を予測することでプランニングする手法が取られていましたが予測不能な将来のためこれまでの手法が通用しません。

常に変化する市場環境に柔軟で俊敏に対応するためには常に市場の動向を把握し分析する必要があります。

また競争環境の多様化に対応するには市場細分化が重要となるのです。

顧客とのタッチポイント確保のために、製薬各社がこぞって導入し進めているDXによる情報提供ですが、各社右に倣えで推奨したため差別化が機能せず同一化を促進し、期待したい処方インパクトが得られないのが現状ではないでしょうか。

その中でも得をする者もいます。

それは市場内強者です。

強者は非差別化戦略をとれるのでコモディティ化することは好都合です。

皮肉なことに「敵に塩を送る」それも弱者が強者の手助けをすることになっているようです。

IT技術の向上によるマーケティングオートメーション進歩が、顧客レベルから個客レベルにまで最適化を可能にすることで、これまでのマーケティングプロセスは不要になるかもしれません。

その一方で、既に顕在化した個客一人ひとりのニーズに合わせた粒度の小さなサービスを提供するため、顧客の潜在的なニーズを掘り起こし、新たな市場を開拓することが出来ません。

VUCA(不確実性)の時代の未来は、これまでの延長線上にないため、過去の経験に基づいた予測は不可能です。

そもそも未来を予測することは誰にも出来ません。

出来ることは2つです。

常に変化を捉え細かくアジャストしていくか、自ら未来を創り出すかの2つです。

つまり「個客最適化」か「新市場開拓」です。

未来を過去の延長線上に置くのではなく、未来のビジョンへのロードマップを描けば、不確実性の時代にふりまわされることない戦略を立てることが出来ます。

The best way to predict the future is to create it.

(未来を予測する最良の方法は、未来を創りだすことだ) エイブラハム・リンカーン

Matrix analysis can be applied regardless of business type/industry

戦略の原理原則はあらゆる業種/業界で応用が可能です。

戦略において重要な要素は顧客/市場と競合、そして自社の3Cです。

これら3つのビジネスプレイヤーの定量データがあればマーケットシェア理論による数式を用いたマトリクス分析が可能です。

Rule and principle of Strategy can be applied to any type of business/industry.

The key elements in strategy are customers/markets, competition, and company as the 3Cs .

If you have quantitative data of these three business players, you can implement matrix analysis using formulas based on market share theory.

デマンドジェネレーションとは、潜在顧客の中からWebサイトや各種広告媒体などによって発掘した獲得した見込み客(リード)に対して、それぞれの購入意欲にあわせたメール送信やWeb面談、Web講演会などのフォローアップをおこない、処方意欲の高いホットリードを育成する段階的な顧客の行動変容を促すプロセスです。

企業の情報を一方的に発信するだけでは「デマンド=需要を創出する」ことは出来ません。

マトリックスフレームでいえば、デマンドジェネレーションによってc行、d行の顧客から見込み顧客を発掘し、MRによるフォローアップにより処方獲得につなげる一連のプロセスが必要です。

しかしKPIなどの回数目標で評価されるMRは顧客との関係構築が既に出来ているa行の顧客に対してリソースを配分する傾向があるのではないでしょうか?

既に関係構築が成立している顧客に対するフォローアップは成熟期から衰退期における顧客維持には必要な営業活動ですが、導入期から成長期においては新規顧客の獲得が機能せず、市場を拡大することに失敗してしまいます。

本来医薬品ビジネスの場合は、消費材マーケティングのマスマーケティングとは異なりターゲットマーケティングが主体のため、MRの顧客攻略による新規顧客獲得活動は欠かすことが出来ません。

一連のプロセスの役割分担とそれぞれが正しく機能しているか検証してみましょう。

デジタル技術の進歩により、市場/顧客情報などのビッグデータを基にした、より顧客ニーズに合致した価値提供が出来るようになりました。

顧客レベルから個客レベルにまで最適化することが出来るようになれば、これまでのマーケティングプロセスは不要になるかもしれません。

その一方で、既に顕在化した顧客ニーズに合わせた粒度の小さなサービスを提供するため、競合他社とのコモディティ化により差別化が図りづらく、競争優位性を得ることが難しくなります。

過去の行動を分析することで将来の行動を予測する確率は上がるかもしれませんが、一人ひとりの顧客個人の嗜好性を理解することは現状では不可能です。

消費材マーケティングではインターネット上のECサイトで商品を販売することが成立するため、実際に個客一人ひとりに営業を行うことは多くありません。

医薬品のような個客一人ひとりに営業を行うターゲットマーケティングおいてはその必要性と重要性は消費材マーケティングとは比較になりません。

製薬企業において最も顧客に近いのはMRであり、顧客中心主義の成功のカギは対面のコミュニケーションの重要性をもっと理解することかもしれません。

https://thefocus-on.com/okazaki_michio/

現代では、大量生産/大量消費の時代は終わり、「いいものを、安く、たくさん作って流通」させても顧客に買ってもらえるとは限らない時代となりました。

また機能的価値を高めようとしても多くの分野で概ね一定の機能を超えており、顧客のニーズは既に満たされているという事実もあります。

そのため「情緒的価値」を高めるためにペルソナやカスタマージャーニー/ペイシェントジャーニーなどを分析し、CX、UXを高める製薬企業が増えています。

これら顧客ニーズの変化は経済成長が大きく影響しています。

しかし現在は世界的な景気後退や少子高齢化時代に突入し、また新しい時代の転換期を迎えています。

厳しい競争環境下では、顧客にフォーカスしただけでは不十分です。

競合に対する視点が重要になります。

3Cの要素をしっかりと見極める必要があります。