自社製品の適応症、対象患者数、今後の動向増減や、処方医師、優先順位、人数から概ねセグメント設定とターゲット設定は可能であり、限定されています。

しかし、競合の特徴と自社製品の強み、差別化ポイントは外部環境分析と内部環境分析のプロセスを必要とします。

効率的にマーケティングプランを行うには仮置きのSTPを設定し、検証型でマーケティング・プラン二ングプロセスを実施すると良いと思います。

その場合においても消費財マーケティングのようにブルーオーシャンを見つけることはほぼ不可能であり、競合とのゼロサムゲームとなります。

市場に新規参入した際に、既に競争強者が存在するケースは珍しくありません。

不眠症治療薬のオレキシン受容体拮抗薬が登場した2014年頃はベンゾ系不眠症治療が当たり前のように使用されていました。

新規作用機序であるオレキシン受容体拮抗薬はいきなり脱ベンゾをうたわず、ベンゾ系の無効例や併用薬としてのポジショニング戦略をとりました。

既にシェアを獲得している市場内の競争強者の併用薬のポジショニングが成功すればシェアの拡大は容易となります。

多分、発売当初から脱ベンゾ戦略プランであれば、市場内弱者であるオレキシン受容体拮抗薬が短期間でシェアを拡大することは難しかったと思います。

その後、2018年頃からベンゾ系不眠症治療の長期継続使用が減算の対象となり、この追い風を受け一気にシェアを拡大、脱ベンゾ戦略にスイッチし成功しました。

しかしその後、効果で上回る後発品の参入によってシェアを奪われることになります。

脱ベンゾ戦略と合わせて新しいポジショニングを築くことが出来なかったことにより、効果という分かりやすい差別化で後発競合からの攻略を許すことになったのかもしれません。

「競争市場には必ず競合が存在する」

戦略プラン二ングの基本的概念です。

全くの新薬や希少疾患、インディケーションが明確に棲み分けられた製品では競合は無いと考えるかもしれませんが、その疾患に対して自社製品が登場するまで全くの未治療であることはまれです。

代替治療や適応外の薬物が使用されることが予想されます。

競合が不在であればターゲット市場のシェア100%を占拠することが可能なはずです。

PEST分析はマーケティング・プラン二ングのプロセスにおける最も高く広い視点からの分析になります。

現在の自分の視点を捨て離れた視点から全体を見通して考えることで新しい発見や市場環境を深く理解することにつながります。

ですが医薬品ビジネスにおいてはPEST分析にはあまり時間を掛ける必要はありません。

消費財マーケティングであれば、何か新しいビジネスチャンスはないか、イノベーションを起こすことができないかなどと、砂漠の中から針を拾うような探索的なアプローチをする事に意味があるのかもしれません。

しかし医薬品ビジネスの場合は適応症や薬価が定められており、また医師の処方箋を必要とするなど多くの規制があります。

市場の規模や今後の成長性、影響が考えられる法規制、また顧客の生活様式の変化や受診行動などを確認しておえきましょう。

簡単にPEST分析行い、STP分析を行った後に改めて確認を行っても良いでしょう。

マーケティング・プラン二ングの目的は競争市場において競争優位性得ることです。

市場には2タイプのビジネスプレイヤーがいると言われています。

それは売手と買手です。

さらに売手には自社だけではなく、競争市場には必ず競合が存在します。

自社と競合、そして顧客の相対的な関係を明確にするための分析が3C分析です。

なぜなら、自社の強み・弱みは競合と顧客によって常に相対的に変化をするためです。

競争優位性を得るためには変化を捉え、柔軟で俊敏に対応する必要があります。

戦略とは「必ず勝つ、絶対に負けない」ことであり、勝つか負けるか分からないのは戦略とは言えません。

競争優位性を得るために、常に3Cを意識しておきましょう。

マーケティング・プラン作成のプロセスは、市場/顧客および競合の外部環境分析と内部環境分析による自社の分析を行い、それらの結果から相対的に自社の強み・弱みを抽出し、セグメント設定、ターゲット設定、ポジション設定を行います。その上で実行戦略プランを策定し実行状況をトラッキングし分析、修正を繰り返します。

【ビジネスフレームワークの課題】で取り上げた通り、多くのビジネスフレームワークは、主に消費財マーケティングで用いるマスマーケティングのプランニングに用いることが目的です。

ターゲット・マーケティングが主流の現代の医薬品ビジネスに応用するためには再構成する必要があります。

マーケティング・プラン二ングの場で用いられるビジネスフレームワークの多くが、1960年代から80年代に提唱されたものです。

外部環境要因を知るための「PEST分析」やKSFを抽出する「3C分析」など、現代でも多くのビジネスの場で用いられています。

60年代といえば、日本では戦後の高度経済成長期であり、需要が供給を圧倒的に上回っていた時代は、「つくれば必ず売れる」という市場環境であるためにマーケティングに求められる要素も今とは全く異なっています。

高度成長期のマーケティングの特長はProduct Outとマスマーケティングです。

分散市場に存在する不特定多数の顧客すべてを同じように扱い、販売量に基づいて利益を上げることを目的としたマーケティングです。

しかし現在では少子高齢化による世界的な景気後退に向かており、既に市場は成熟期から衰退期に向かっています。

フィリップ・コトラーが提唱するマーケティングも時代と共にアップデートされています。

そのため、いかに既に確立し汎用されているビジネスフレームワークであってもそのまま使用することは出来ません。

マーケティング・プラン二ングでは現状の理解と近未来予測を行うために、市場および顧客の理解/分析、競合の理解/分析、そして自社の理解/分析を行う必要があります。

誰もが理解できるマーケティング・プラン二ングを行えるように思考整理をサポートするツールが共通言語としてのビジネスフレームワークです。

ビジネスフレームワークを活用することで、SMARTかつMECEなマーケティング・プラン二ング作成のプロセスを標準化することが出来ます。

貴社ではMRの評価に売上実績を組み込んでいるでしょうか?

もしそうならMRは医療従事者を対象とした営業担当者だということです。

営業担当者である以上、販売だけではなく営業、つまり購入意思のない顧客の行動変容を起こし自社製品の処方を獲得する必要があります。

顧客の行動変容を引き起こす最も効果的なコミュニケーションチャネルは対面営業です。

しかし新型コロナウイルスによる医療機関側からの訪問規制強化や製薬会社による自主的なMRの訪問自粛によって、いつも廊下に立っていたMRがある日を境にピタリといなくなる現象が起きています。

対面営業を行うためには病院が定めている訪問規制をクリアする必要があります。

この課題を目の前にして、試行錯誤を繰り返しているMRも多いでしょう。

私がMRをしていたコロナ以前から同じような課題は存在していました。

医療機関が定めた訪問時間に医局に戻る医師は少なく面会機会はほとんど得られません。

しかし売れているMRはどこかで医師と面会しコミュニケーションを取っています。

訪問規制など構わずにゴリゴリに直接訪問を行っているMRだって少なからず存在します。

訪問ルールを逸脱することはお勧め出来ませんが、訪問時間に面会が出来なければ直接訪問のためにアポイントを取る方法を考える必要があります。

アポイントの取得自体が困難なら、電話での呼び出しやメールなどの手段を考える。

今思えばこれらはリモート営業ですね。

訪問規制があるからと言って病院への訪問活動をしなくても良いという理由にはならないでしょう。

会えない顧客にどのようにして面会するか、これは永遠のテーマです。

優秀なMRならば知恵を絞って顧客に面会する方法を考え、病院の中に入る“理由”をいかに数多く作り出せるかどうかがMRとしての優秀さの証明でもあります。

昨今のデジタルマーケティングの推進により、対面営業の努力は求められず、いかにオンライン営業を行ったかをKPIとしてトラッキングされる現状があります。

それでは期待した処方インパクトが得られていない状況を生むのも仕方がありません。