試算上では、人員削減率より戦力量ダウン率が大きくなります。それはなぜでしょうか?人員が25%減少したならば戦力量も25%の減少にはならないのでしょうか?
戦力量とは兵力数×武器性能で求められます。戦力とは人、物、金、情報であり、兵力数は営業担当者数、武器性能は製品力や経営資源などに該当します。
例えば、A軍の兵力数が10人、B軍の兵力数が1/2の5人だったとします。その場合、B軍の兵士はA軍の2人の兵士から同時に攻撃を受けることになります。逆に言えば、B軍の兵士は同時に2人のA軍の兵士を倒さなければいけません。
刀や弓、拳銃などの接近戦が中心だった時代であれば、一騎当千で一人で何人もの敵兵を倒すことができたかもしれません。しかし、機関銃やミサイルなど、近代の遠隔戦ではそれは不可能です。これは現代ビジネスのDX推進に置き換えることができるかもしれません。
このような近代戦の場合には、戦力量は二乗して計算されるために、人員削減率より戦力量ダウン率の方が大きくなるのです。特に市場が縮小傾向にあり、限られたパイを奪い合うゼロサムゲームの場合にはより顕著です。
そのため、人員削減による戦力量ダウンの影響には十分に考慮し、戦力ダウンの影響を最小限に抑え、現在の売上高の基盤を維持するとともに、競合と拮抗状態にある顧客では戦力強化により競り勝つ必要があります。正確なターゲティングとリソースアロケーションが戦略上非常に重要な意味を持ち、今後の企業としての存続を左右する可能性があるでしょう。