ゲーム型競争市場における価格低下は、多くの場合、企業間競争の結果として起こります。単純に価格低下といっても、コストリーダーシップ戦略と低価格戦略という2つの戦略的なアプローチが存在します。今回は、これらの戦略をゲーム理論の観点からまとめてみましょう。

【コストリーダーシップ戦略】
コストリーダーシップ戦略では、企業は業界内で最低のコスト構造を実現しようとします。これにより、競合他社よりも低い価格で商品やサービスを提供できるようになり、市場での競争優位を確立できます。ゲーム理論の観点からは、コストリーダーシップ戦略を採用する企業は「先手を打つ」戦略を取ると解釈できます。つまり、他社よりも低コストで運営し、価格を下げることで市場の需給バランスを変え、他社が追従するか市場から撤退するかの選択を迫ります。

【低価格戦略】
低価格戦略では、企業は単純に市場平均価格よりも低い価格で商品やサービスを提供します。この戦略の目的は、価格感受性の高い消費者層を引き付けることにあります。ゲーム理論では、低価格戦略は「価格競争ゲーム」の一形態と見なされます。企業間で価格を下げ合うことにより、最終的には価格が均衡点に達するまで下落し続ける可能性があります。この均衡点は、全ての企業が利益を最大化できる価格レベルとは限らず、場合によっては「損失の最小化」のレベルになることもあります。

『ゲーム理論における均衡』
コストリーダーシップと低価格戦略をゲーム理論によって考えた場合、ナッシュ均衡が重要な概念になります。ナッシュ均衡は、全てのプレイヤーが自分にとって最適な戦略を取り続ける状態を指します。この均衡において、一方の企業が戦略を変更しても、他の企業は戦略を変更しない限り、その企業の利益は変わりません。

『戦略的相互依存』
ゲーム理論における重要な考え方の一つは、「戦略的相互依存」です。競争市場において、企業は他社の行動に常に注意を払い、自社の戦略を調整する必要があります。コストリーダーシップや低価格戦略を採用する際にも、他社の反応や戦略変更を予測し、それに応じて自社の戦略を適応させることが成功の鍵となります。

このように、ゲーム型競争市場における価格低下は、コストリーダーシップ戦略と低価格戦略という異なるアプローチを通じて、企業が市場内でどのように位置づけを図り、消費者を引き付けるかという戦略的な選択に大きく依存します。ゲーム理論は、これらの戦略がどのように実行され、市場の動きにどのように影響を及ぼすかを理解するために有効です。