医薬品ビジネスのための「戦略思考」が身につくblog

S.I Lab (戦略向上研究会)では、戦略によって製薬会社で働くMRの仕事を、より楽しくすることを目的にしています。

「2者間競争の怖さを理解する」

2者間競争とは、すなわち同一市場に自社(製品)の他に競合他社(製品)の2者のみが参入する、1対1の競争状況を指します。

このようなケースでは、DXS Stratify®のような分析ツールは必要がないと言われることがよくあります。多くの企業やビジネスリーダーは、競合が明確であれば戦略が簡単になると誤解していることがありますが、これは2者間競争の本当の怖さを理解していないと言えます。

2者間競争では、競合とターゲット顧客が明確です。そのため全戦力を目の前の競合に投入することになり、表面上は効率的に見えますが、実際にはその競争においては、戦力量に勝る方が圧倒的な競争優位となります。

(*マーケットシェア理論では、2者間競争は多者間競争に比べて競合に対してより多くの戦力量を必要とするとされている)

あるいは戦力量が同等の場合には総力戦が続く消耗戦となり、勝った方も負けた方も大きなダメージを受けることになります。特に医薬品ビジネスのような同一性が高い業界ではその傾向が顕著になります。

またパレートの法則に基づいたターゲティング、例えば市場規模の大きな市場/顧客を優先するような場合には、競合もまた同様に経営資源を投入するため、血で血を洗う戦いになります。

つまり戦い方を知らないマーケターが、無意識のうちに自社の営業部隊を、自ら作り上げた過酷な戦場に送り込んでいることになります。

正しく兵法に則れば、守るべきは守り、死守すべきは死守し、撤退すべきは撤退し、諦めるべきは諦めるということです。

DXS Stratify®は市場規模と競争地位および競争優位性の軸を用いて、市場/顧客を12のマトリクスに分類することで、維持、強化、撤退、放棄の4つの戦略を算出し、ターゲット顧客とリソースアロケーションを定量化および可視化することが出来ます。

これにより、企業は自社のリソースをより効果的に配分し、競争上の優位性を確保するための明確な戦略を立てることができます。

さらに製薬企業間の競争が生む販売圧力による無駄な薬剤使用を回避することで、公共医療費の削減、社会保障費の安定化または低下、患者負担の軽減、医療アクセスの改善、イノベーションの促進、経済的な持続可能性につながります。

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