マーケティング戦略という言葉をよく目にしますが、私の定義では、戦略はマーケティングの上位概念なのでマーケティング戦略という言葉にとても違和感があります。なのでマーケティング戦略をうたうセミナーは基本的に受講しません。
「戦略」と「マーケティング」の用語はしばしば曖昧に使用されがちで、その結果として誤解や混乱を招くことがあります。孫子の兵法における戦略の定義や、ビジネスフレームワークのSTP分析(Segmentation, Targeting, Positioning)を一例として挙げてみましょう。
戦略と戦術
戦略(Strategy): 長期的な計画やビジョンを指し、主に何を達成しようとしているのか、どのような大きな目標に向かって進むのかを定義します。戦略は主戦場を選定し、敵(競合)に対してどのように優位性を確立するかを考える過程です。STP分析は、市場をどのようにセグメント化し、どのターゲット市場を狙うか、そして市場内でどのようなポジショニングを取るかを決定するプロセスであり、戦略的な決定の一例です。
マーケティング(Marketing): 戦術(Tactics)の一部と考えることができます。戦略の枠組み内で、具体的にどのような手段やアクションを取るかを指します。マーケティング活動は、戦略が定めた目標に到達するための道筋を具体化するもので、製品のプロモーション、価格設定、配布チャネルの選定などが含まれます。
ビジネスコミュニケーションにおいて、用語の正しい定義と使い方を理解し、共有することは非常に重要です。これにより、チーム内や業界全体での認識のズレを防ぎ、効果的な戦略立案と実行を可能にします。特に「マーケティング戦略」という言葉を使う際には、それが戦略的な目標達成に貢献するマーケティングのアプローチを指すと明確にすることで、ミスリードを避けることができます。
戦略とマーケティング(戦術)の関係性を正しく理解し、適切な文脈でこれらの用語を使用することが、ビジネスの成功において極めて重要です。これは、計画の精度を高め、目標達成の道筋を明確にするために不可欠です。