今では5万人を下回る国内のMRの人数は2013年には6万5千人を超えていました。マーケティングの世界は、常に変化し、進化しています。かつてのシェアオブボイス(SOV)の時代から、デジタル技術の急速な進化に伴い、マーケティングの焦点は大きくシフトしました。

シェアオブボイスの時代
シェアオブボイスは、あるブランドが持つ市場内の声の割合を示す指標です。広告出稿量やメディア露出の度合いを量ることで、競合他社との相対的な市場支配度を把握しようとするアプローチです。この時代においては、市場における「声」の大きさ、つまり「量」が競争力の源泉とされていました。多くの企業が、広告の大量投下や大規模キャンペーンを通じて、消費者の意識に刻み込まれることを目指しました。

デジタル化とマーケティングの変化
しかし、インターネットとデジタルメディアの台頭は、このパラダイムを根本から変えました。今日のマーケティングでは、単に「量」を追求するだけでなく、「質」の高い接触が重視されています。デジタルツールとデータ分析の進化により、マーケターはターゲット顧客により適切に、そしてパーソナライズしてアプローチすることが可能になりました。この変化は、顧客一人ひとりとの関係を深め、より意味のある方法でエンゲージメントを高めることを可能にしました。

ビジネスモデルによる違い
この「量」と「質」の重要性は、ビジネスモデルによっても異なります。マスマーケティング戦略においては、広い範囲の顧客にリーチするために「量」が重視されます。一方で、1on1マーケティングやアカウントベースのマーケティングでは、「質」が中心となり、顧客個々のニーズに合わせたパーソナライズされたアプローチが求められます。

デジタル時代のマーケティングにおいては、単にシェアオブボイスを最大化することから、量と質の適切なバランスを見つけることへと焦点が移りました。しかし、予めターゲット顧客が明確な医薬品ビジネスでは、顧客の行動変容において、MQL(Marketing Qualified Lead)からSQL(Sales Qualified Lead)までのプロセスを営業担当者(MR)が担う伝統的な営業モデルです。

「戦力量に勝る者が勝つ」という競争市場の原則において、売上インパクトを最大化するには人的販売は不可欠です。大幅にMR数を削減する製薬企業がある中で、今後の企業業績にどのような影響が現れるでしょうか?