戦後、日本の総人口は増加を続け、1967年には初めて1億人を超えましたが、2008年の1億2,808万人をピークに減少に転じています。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、我が国の人口は2048年に9,913万人と1億人を割り込み、2060年には8,674万人まで減少すると見込まれています。

長期的に見ると、明治時代後半の1900年頃から100年をかけて増えてきた人口は、今後100年のうちに再び同じ水準に戻ることが見込まれ、これまでの歴史を振り返っても類を見ない水準の人口減少を経験することになります。

少子高齢化など社会環境の変化は製薬業界においても今後益々業績の二極化を推し進めることになるでしょう。

このような環境の変化により将来の予測が困難なVUCAの時代にはこれまでの常識が覆されるような従来とは全く異なる視点や価値観をもって市場に大変革を起こすような企業や製品・サービスが登場することがあります。

未来が過去の延長線上にない今、経験則や感覚に頼ることは出来ない時代に入っています。

時代を見通す「戦略」を持つことで既存の市場ルールを無効化し、一気に業界トップに躍り出ることも可能ということですね。

最適なデジタルマーケティングのコミニュケーションチャネルとは目的に応じて相対的に決まります。

AIDMAなど顧客の行動変容のフェーズに応じて有効なコミュニケーションチャネルが提唱されています。

そして最も処方インパクトがあるのは人的販売です。

なぜ人的販売が最も処方インパクトが高いのか?

それは顧客獲得と顧客攻略の両面が必要なこと、デジタルによるテキストでの情報量では少ないこと、情報の洪水を整理し個別化して提供する必要があることからも明らかです。

メールやチャットなどのコミュニケーション代替ツールは対面によるコミュニケーションよりも事実を過不足なく伝えられるメリットがある一方で、使用される語彙数は、日本人が日常的に話したり、聞いたりする語彙数の5分の1にしかならないというデメリットがあります。

すなわち、対面コミュニケーションの1.4%程度の情報量しかオンライン言語ツールでは伝達出来ておらず、情報量が圧倒的に不足しています。

特に医師のような言語情報による認知特性を持つ顧客では処方インパクトが得られない可能性があります。

医薬品は高度な情報を伴う製品であるため、製薬企業は顧客が知り得ない非常に多くの情報を有することで顧客よりも有利な状況を得る「不完全競争」市場です。

しかし顧客が自社製品の情報にリーチしやすいようにデジタルを推進することで、顧客は自社製品の情報だけではなく、競合製品の情報を入手することで容易に比較することが出来るようになります。

その結果、顧客は既に必要な情報を得ているため、情報における企業側の優位性が薄れ、消費者主権の完全競争市場へとシフトすることでセールスが機能しなくなります。

一方で洪水のように情報が溢れていることで、かえって選択を困難にしている側面もあります。

そのため新しい製品に対するニーズが希薄化することで「選べないのでどれも選ばない」という状況を招く可能性があります。

それらを解消するためにはMRが顧客個々に合わせて情報を選択し提供する必要があります。

医薬品ビジネスにおけるデジタルマーケティングの特殊性を理解する必要があります。

デジタルマーケティングは消費材マーケティングのように顧客の顔が見えない、分散市場における不特定多数を対象としたマスマーケティングにおいては非常に効率的です。

しかし購入者である医師と、消費者である患者の2段階構造(B to B to C)である医薬品ビジネスでは、マスマーケティングだけではなくむしろダイレクトマーケティングが重要です。

すなわち受注確率の高い顧客の獲得だけではなく、顧客攻略の両面が求められます。

また高度な情報を伴う医薬品では顧客の自社製品の情報へのアクセスを高めるとともに、顧客が情報を持つことによる不完全競争から完全競争への移行を防がなければいけません。

またデジタルではテキストによる言語情報での情報提供が中心となりますが、情報量が不十分になることで十分な情報を顧客に届けられない可能があります。

このような背景からデジタルによる情報提供は当初期待した処方インパクトが得られていません。

医薬品ビジネスの特殊性を理解する必要があるでしょう。

「電子カルテ情報の標準化」や「診療報酬改定DX」など、今後の医療機関経営に大きく影響を与えるデジタル化の動きが活発になっています。

現在の電子カルテの競争状況を調べてみました。

1位の製品のシェア値が22%とまだまだ安定目標には達しておらず、2強型市場を形成しています。

26%を超えれば一強型市場も見えてくるでしょう。

3位のシェア値が8%弱であることから少なくとも7%未満の製品が7つ以上あるということです。

1位の製品の納入数は3600件前後なので納入実績が100件未満の製品が多く存在することが推測されます。

クープマンモデルでは7%以下は撤退の基準となりますが、電子カルテを一度導入したのに撤退されてはリスクが大きすぎます。

このケースでもシェア値が高い強者が市場内で優越性を持つことが分かるかと思います。

DXが進むにつれ、単に電子カルテの機能だけではなく、予約やAI問診、オンライン診療から支払いまで連携が必要なシステムは多く、これらを一気貫通で提供できる企業が市場を席捲することになるでしょう。

『マーケティング戦略』とはどのような意味を持つ言葉なのでしょうか?

『戦略』と『マーケティング』の2つの異なる意味を持つ概念が一つになっており、私は違和感を感じます。

定義には様々なものがありますが、一般的には『戦略』とは進むべき方向性の【指針】、『マーケティング』とは目的を実現のために必要な【手段】です。

そして『戦略』は『マーケティング』の上位概念であり、マーケティングプランニングのためには『戦略』は不可欠です。

『マーケティング』の手法の多くは競合製品との差別化ですが、法的保護や規制の多い医薬品ビジネスでは差別化を行うことは非常に難しいビジネス環境です。

そのため『戦略』が非常に重要な意味を持つことになります。

『戦略』なき『マーケティング』はファンタジーです。

『手段』が『目的』化することは実際に多く見られる現実です。

『マーケティング戦略』という言葉が招く弊害かもしれません。

ビジネスを展開する上で商圏は非常に重要な成功要因です。

顧客が存在しない商圏では集客に苦労することになりビジネスが成立しません。

しかし実際には顧客が存在しない商圏でビジネスを開始してしまう例は少なくありません。

競合が居ないと喜ぶ人も中にはいるくらいです。

釣りをされる方は目には見えないが海の中には魚がいるだろうと期待して釣り糸を垂れていまることでしょう。

しかし魚がいない海ではいかに良い仕掛け、良い道具を使っても一匹も釣ることは出来ません。

もしこれが猟なら、鳥一匹飛んでいない空に向かって弾を撃つ人はいないでしょう。

なぜなら無駄だからです。

必ず顧客が存在する、あるいは顕在化したニーズがある、まだ潜在的ではあるが今後顕在化したニーズになる、など確信が持てる商圏で勝負すべきです。

それを知るためには外部環境分析、内部環境分析のプロセスが必須となるでしょう。

地域医療構想で不足している病床を知ることが出来ます。

もし新たに病床を増床するなら過剰な病床ではなく不足している病床を選択するのは明白です。

客観性を持った物差しとは定量化された情報です。

経験則や感覚値による定性情報は主観的な情報のため共通の物差しとしては不適切です。

孫氏の兵法による「度にはじまり勝で終わる」とは現代でいうところのデータドリブンです。

つまり精神論では勝てないということですね。

戦略を学ぶうえで「孫氏の兵法」は欠かす事の出来ない最も有名な兵法書です。

2500年以上前に書かれた「孫氏の兵法」ですが現代社会のビジネス戦略においても活用できる知恵が詰まっています。

原理原則はいかに古くなろうともシンプルで不変で誰にでも応用可能であるはずです。

マーケットシェア理論では競合に勝つために必要な戦力量を2者間競争では3倍、多者間競争では√3倍以上としています。

この値を下回る場合には強者との戦いを避け、絶対に負けない条件が揃うまでシェアを積み重ねる必要があります。

孫氏の兵法には「必ず勝つ、絶対に負けない」ための戦略を選択するために必要なヒントが満載ですので是非ご一読をお勧めします。