2者間競争では競合および顧客が明確であるため、マトリクス分析など必要がないと思われがちです。

しかし実際には2者間競争であってもミクロ競争環境は千差万別でありワンオペレーションでは対応しきれません。

競争環境を正しく捉えていなければ知らぬうちに競合に攻略されていたということも起こります。

デモデータでは、全体市場における競合製品のシェアが52%、自社製品のシェアが48%と非常に僅差です。

そのため全社としては「拮抗」を基準にした戦略プランを実行することになると思われます。

では実際に「拮抗」を基準としてよいのか、マトリクス分析によって検証してみましょう。

a行およびb行のABC6フレームにおいて、自社製品は40%のカバー率で80%の売上金額構成比、競合製品は60%のカバー率で95%の売上金額構成比となっています。

したがって安定性では競合製品が自社製品を大きく上回る結果となりました。

また最も注力すべきAbフレームに分類される顧客数を比較すると、自社製品は1顧客、競合製品は4顧客となっています。

明細タブから双方のシェア差を確認すると自社製品のAbフレーム1顧客はほぼ互角の拮抗状態です。

一方、競合製品のAbフレーム4顧客はAaへランクアップ寸前の予備軍ばかりです。

このまま競合製品の攻略を許せば、「拮抗」状態は一気に競合製品優位に傾く可能性が非常に高い状況です。

まずは自社製品のAbをAaにランクアップすること、そして競合製品のAaランクアップを阻止することが最優先課題となります。

自社製品のc行およびd行のABC6フレームにおける売上金額構成比は、カバー率61%に対して19.8%と寄与率が低いため、限られた経営資源を有効に活用し、戦力で競合製品を上回るために、ここに投入しているリソースをAbのAaランクアップと競合製品のAaランクアップ阻止に振り替えるべきでしょう。

全体市場におけるシェアばかり注視して詳細市場の分析を怠ると大きなしっぺ返しがあるかもしれません。