では医薬品ビジネスはマーケットイン型、あるいはプロダクトアウト型でしょうか?

それは新薬開発のプロセスを参照することで理解ができるかと思います。

基礎研究段階では可能性のある新しい物質(成分)の発見や化学的に創り出す研究により薬効のある候補物質がスクリーニングされる、新規標的分子と適応疾患の探索というシーズ開発型です。

そして非臨床試験以降の薬物の有効性や安全性を確認するフェーズからはニーズ開発型へと明確に転換します。

すなわち新製品を開発しマーケティング戦略により市場に投入しようとするプロダクトアウト型と、市場/顧客のニーズを探し出し、そのニーズに合った製品を開発するマーケットイン型の両方の側面を持ちます。

そしてそれらのバランスは市場/顧客ニーズと各製薬企業の技術力、経営資源量に左右されます。

そのため製品の発売後は、自社の状況に応じて製品自体の強みによる市場/顧客の開拓および拡大と合わせて市場/顧客ニーズに応える付加価値を創造するという高度なマーケティング戦略が必要になるわけです。

一般的な消費財マーケティングとは異なり極めて限局的なマーケティング戦略にならざるを得ない場合も少なくありません。