競争市場では「戦力に勝る側が勝つ」ということが大原則です。
戦力とは「武器性能×兵力」であり、様々な法規制によって製品特性の比較が難し医薬品ビジネスでは武器性能が同一化し差別化が難しい環境にあります。
では兵力に勝る大手製薬企業が必ず勝つかと言えばそうではありません。
経営資源には限りがあるため、必要な場所に必要な量の兵力を配分する必要があります。
製薬企業では市場規模の大きな順から優先してターゲティングを行うパレートの手法を用いるケースが少なくありません。
市場参入期は自社データがないことも理由のひとつです。
成長期から成熟期に入る頃には市場規模に加えて自社製品の前年の売上の高い顧客を優先する、同じくパレートの軸を組み合わせることもあります。
このパレートの落し穴は競争市場にあるにもかかわらず競合の存在を加味していない点です。
戦後の高度成長期からバブル期の市場の拡大を背景とした「レース型の競争」と、リーマンショック後の世界的な景気の後退による市場縮小を背景とする「ゲーム型競争」では戦略プランは全く異なります。
「レース型競争」では市場に参入した誰もが市場成長に伴い売上を増やすことが出来ますが、市場規模が縮小し競合同士がパイを奪い合うゼロサム(どちらかが勝てばどちらかが負ける)の「ゲーム型競争」では必ず敗者が生まれます。
そのためライフサイクルのフェーズに応じた戦略の選択が重要になります。
競争市場には必ず競合が存在します。
パレートによる市場規模の軸に、競合との戦力の差を測る「競争地位と競争優位性」の軸を加えることで限られた経営資源を効率よく配分し使い切ることが出来ます。