顧客の多様性によって、従来の属性分類による出現率を用いて顧客層を設定することが困難になりました。

消費材マーケティングのように分散市場の不特定多数を対象としたマスマーケティングではその傾向が顕著です。

そのため、商品やサービスの機能・性能・価格といった「合理的な価値」だけでは差別化を図りにくくなっている現在、購入までの過程や使用する過程、さらに購入後の過程においても経験による「感情的な価値」の訴求を重視するCX(カスタマー・エクスペリエンス)というコンセプトが注目され始めました。

機能・性能・価格といった合理的な価値はコモディティ化しやすく、それだけでは自社と競合との差別化による競争優位性得ることが難しいからです。

そのような背景から「カスタマーセントリシティ」(顧客中心主義)を基盤として、顧客管理におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する製薬企業が増えています。

しかしどれだけ顧客のアクセス解析から滞在時間や嗜好を分析しても完璧にレコメンデーションすることはできません。

まぜなら人の消費行動は必ずしも合理性を伴うとは限らないからです。

過去の行動を分析することで、将来の行動を予測する確率は上がるかもしれませんが、一人ひとりの顧客個人を理解することは不可能です。

現代のようにコミュニケーションの手段がパーソナライズされても、個人のことを理解するには個客が本当にほしい情報を届ける必要があります。

消費材マーケティングではインターネット上のECサイトで商品を販売することが成立するため、実際に個客一人ひとりに営業を行うことは多くありません。

医薬品のようにターゲットマーケティングおいてはその必要性と重要性は比較になりません。

個客に最も近いのはMRです。

個客時代では対面のコミニュケーションがより重要になります。

そのことをもっと理解することがDXの成功のカギかもしれません。