新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種について、河野規制改革担当大臣が、先行接種の対象となった医療従事者は年内から、高齢者は年明けから、それぞれ開始するという見通しを示しました。

9月22日公表データでは、全国の療従事者等も含めた全体のワクチン1回目の接種率(総人口比)は68%です。

また、65歳以上の高齢者のうち、ワクチン接種を行った人の割合は1回接種が90.1%、2回目接種が88.7%とほぼ接種が完了しています。

つまり64歳以下のポピュレーションで接種が進んでいないことが読み取れます。

4月までのワクチン接種のターゲティングが明確であったことに比べ、その後のターゲットが20歳代であったり、小児であったり、40~50代の接種を曖昧にしたりと、ロードマップがやや不明確になったように見受けられます。

さらに、ワクチン接種については副反応に加えて当初期待したほどのインパクトが得られていない現状があることも要因として考えられます。

最近では製薬企業が盛んに有効性を訴求していますが、顧客にとっての必要性、つまりニーズの顕在化が不十分といえます。

製品の良さを訴求するマーケティング手法は1900年代の高度成長期の手法です。

現代のマーケティングでは顧客にとっての精神的な価値を提供することが不可欠です。

良い製品であれば売れる時代はとっくに終わっています。

具体的なベネフィットを伝達することが重要なポイントです。

現時点での有望な「既存顧客」は、医療関係者および65歳以上の「既接種者」です。

未接種者に比べて接種へのハードルは低いことが予想されます。

新規市場開拓だけではなく、既存顧客のリピート率を高め、再接種を進める「既存市場の拡大」も重要な戦略といえます。

ということで、河野大臣の見通しはマーケティング戦略的には有効と言えるのではないでしょうか。

*当ブログはワクチン接種をマーケティングの視点から取り上げたものであり、接種の推奨・否定をするものではありません。