長期化・大規模化する医薬品開発に対応するため合従連衡による規模拡大の傾向にあった製薬業界ですが、低分子化合物をはじめとし、抗体医薬や核酸医薬、再生医療などの技術発展に伴い、希少疾患に対して医薬品を開発・提供するバイオベンチャーが登場しています。

希少疾患の治療薬開発は時間も費用もかかるうえ対象となる患者数が少ないため、これまで大手製薬企業は心血管疾患や糖尿病など患者数の多い疾患を中心に新薬を開発してきました。(対象患者数が5万人未満を希少疾患と定義)

近年ではバイオベンチャーであっても対象疾患の拡大を軸に成長するケースも存在し、大手企業やベンチャーキャピタルが開発資金を提供する動きも積極的です。

これらのビジネスモデルは最初にニーズありきで空白の治療領域に対して新薬を開発するマーケットイン型のマーケティング手法です。

しかし競争市場において、目の前に宝の山があるのに競合がみすみす見逃すわけはありません。

開発資金に乏しいベンチャー企業では臨床試験に十分な経営資源を避けないこともあり、適応取得の際に「○○に合併した症例」や「○○効果不十分例に」など、条件付き承認にとどまることも少なくありません。

資金力に勝る大手製薬企業がより幅広い適応を取得して後発市場参入されては、苦労して開拓した市場をみすみす奪われてしまいます。

容易に参入出来るということは競合においても同様ということです。

ブルーオーシャンを見つけたと思ってもすぐに干上がってしまう「真夏の水たまり」では持続的な成長をすることは出来ないでしょう。