〜長期開発と市場ニーズ変化をどう捉えるべきか〜
医薬品の開発は一般的に10年以上もの長い歳月を要します。
このため、いくら開発段階で市場ニーズ(マーケットイン)を意識していても、発売時には市場環境や医療現場のニーズが大きく変わっていることが珍しくありません。
結果として、上市後は製品そのものの特長(プロダクト)を武器に市場を切り開くプロダクトアウト型の色合いが濃くなるのが医薬品ビジネスの宿命とも言えます。
しかし、これは「マーケットインが無意味」ということでは決してありません。
■ なぜマーケットインは必要なのか?
- 完全に外した製品を作らないための指針
- 致命的なズレを防ぐことで、上市後の柔軟な対応余地を確保するため
- 発売後に適応追加やプロモーション戦略で市場適応するため
つまり、開発時点でのマーケットインは「的中」を狙うというよりも、
失敗しないためのガイドラインとして意味を持ちます。
■ 領域別の傾向
| 領域 | 上市まで | 上市後 |
|---|---|---|
| プライマリーケア | 基本プロダクトアウト | 市場適応=マーケットインが極めて重要 |
| オンコロジー | 完全プロダクトアウト | 適応追加等でマーケットイン的展開 |
| 希少疾患 | 完全プロダクトアウト | 一部マーケットイン(QOL対応など) |
特にプライマリーケア領域では、発売後の市場適応力が成否を分けるカギになります。
■ 発売時の不確実性にどう備えるべきか?
このように、医薬品は開発から上市までのギャップが不可避です。
そのため、発売時点での静的分析と動的運用が極めて重要となります。
- 静的分析
→ 市場環境、競合状況、患者・医師の反応をデータで可視化し、現時点のポジションを正確に把握する。 - 動的運用
→ 上市後の反応や市場変化に応じて、ターゲティング・プロモーション・適応拡張などを臨機応変に調整していく。
特に現代の医薬品市場は、ガイドライン改訂や競合の登場など、状況が流動的に変わるため、
静的分析だけでなく、定期的な再分析と素早い戦略修正(動的運用)が不可欠です。
■ まとめ
医薬品ビジネスにおけるマーケットインとプロダクトアウトの関係は、
「二者択一」ではなく、「開発〜上市〜市場浸透」という各フェーズで柔軟に組み合わせて活用することが求められるというのが現実です。
そして、発売時の不確実性に対しては、
静的分析で現状を捉え、動的運用で市場適応する──この両輪が、勝敗を分ける時代です。
開発時からこの考え方を持っておくことこそが、製薬企業にとっての最適解と言えるでしょう。
