縮小市場の中で、企業が競争に勝つためのポイントが変わりつつあります。かつて成長市場においては、「作戦・戦術」にあたるマーケティング活動や短期的な施策によって効果が得られる市場環境でした。しかし、現代のゼロサム市場、特に人口減少や市場成熟によって需要が拡大しない分野では、もはやその方法だけでは生き残ることが出来なくなりました。

縮小市場で重要になるのが「戦略」と「兵站」です。戦略はターゲティングとリソース配分に焦点を当て、縮小する市場の中で「どこを主戦場に、誰をターゲットとし、どのように戦うか」を決定する、すなわちSTP戦略です。限られたリソースを、利益が確保できる分野やシェアを奪いやすいターゲットに集中させる必要があります。これは単なるマーケティングのようにターゲット層を広く取るのではなく、企業の強みが真に生かせる分野や市場に絞り込み、そこでの競争力を最大化するアプローチです。

戦略で定めたターゲットやリソース配分を実行するために、リソースの供給と維持を担うのが兵站の役割です。人材、商品、資金、情報といった限られたリソースをいかに確保し、供給を維持し、無駄なく活用するかが兵站の主な課題です。ゼロサム環境では、適切なタイミングで必要なリソースが供給されないと競争に勝つことは難しくなるため、兵站が戦略と緊密に連携し、迅速かつ柔軟な対応が求められます。

成長市場では、参入者の誰もが売上を向上させることが出来るため、多少曖昧なマーケティングでも効果を発揮していました。しかし、縮小市場では限られたパイの中で確実にシェアを獲得する必要があるため、広範囲なマーケティング施策の効果は薄れがちです。その結果、戦術的なマーケティング活動よりも、どこで戦い、どこにリソースを投じるべきかを決めるマーケティングの上位概念である戦略と、そのリソースを確実に供給・維持する兵站の重要性が高まっています。

ゲーム型競争市場では、戦略と兵站によって最小限のリソースで最大限の効果を狙うことが重要です。たとえば、特定の顧客セグメントや地域に特化し、そこへリソースを集中することで、他社に対して競争優位を築きます。縮小市場におけるゼロサムのゲーム型競争市場で勝ち残るためには、戦略と兵站の強化が不可欠です。競争環境が厳しさを増す現代、企業は単なるマーケティング活動だけでなく、戦略と兵站を軸とした競争力の構築を目指すべきでしょう。