ゼロサム市場で勝つために、データ収集は必須
ゼロサム市場では、競合とのシェア争いが常に繰り広げられます。市場全体が成長しない中で、自社の成長は競合のシェアを奪うことに直結します。このため、競合の存在はますます大きくなり、いかに自社が競合に対して優位性を持っているかを把握することが重要です。特に、顧客単位で自社と競合のシェアを知ることは、競争優位性を確保するためのカギとなります。
戦力量と競争優位性を正確に把握する必要性
市場競争において、戦力量を定量化し、客観的に比較するための指標としてよく使われるのがシェア値です。シェア値は市場での勝敗を示す結果として非常に重要ですが、それだけでは戦力量の差を正確に定量化することはできません。シェア値をただ比較するだけでは、企業がどの程度のリソースを再配分し、どのように競争力を強化すべきかは見えてこないのです。
そのため、競争優位性を正確に測るためには、**競争地位(シェアの順位)と競争優位性(シェア値の差)**を合わせて考慮する必要があります。競争地位によって、どの競合が近い位置にいるかを知り、競争優位性によって、その競合との差を明確にしなければ、効果的な戦略やリソースの再配分ができません。つまり、シェア値は結果として重要である一方で、競争地位と競争優位性を理解することで初めて、戦力量を強化し、競争優位を築くための正しい道筋が見えてくるのです。
データがない場合でも定性データの収集は価値がある
データが容易に入手できない業界では、顧客とのコミュニケーションを通じて定性データを収集し、そこから顧客内シェアや競合状況を明らかにする努力が求められます。顧客が自社製品をどの程度利用しているのか、競合製品と比較した評価はどうなのかといった聞き取りを通じて、定性的なデータを数値化していくことは、競争優位性を高めるために大いに価値があります。こうしたデータは、戦略的な意思決定の基盤として活用することができます。
製薬企業は医薬品販売データをもっと活用すべき
特に製薬業界では、医薬品販売データが顧客単位で取得できるという大きな強みがあります。このデータには、自社製品のみならず競合製品の納入実績も含まれており、競争環境の全体像を把握するために非常に有用です。それにもかかわらず、製薬企業の多くはこのデータを十分に活用していないのが現状です。せっかくのデータを戦略的に活用しないのは、大きな機会損失です。
製薬企業はこのデータを活用し、顧客ごとの競争優位性を数値化し、適切なリソース配分を行うことで、競争力を高めることができます。特にゼロサム型の競争市場では、顧客単位でのデータ活用が勝敗を分ける大きな要因となり得ます。したがって、製薬企業にとって、医薬品販売データを利活用して競争優位性を確立することは、もはや必須と言えるでしょう。