現在使用している自社製品に満足していたはずの顧客が、ある日突然、競合他社の製品にブランドスイッチをすることはありませんか?
このような行動はバラエティーシーキングと呼ばれます。
特定の製品カテゴリーの購買において、消費者が刺激や多様性を求めることから生じる現象です。
医薬品のように、同一クラスの薬剤間では非劣性であっても優越性の差が少ない製品カテゴリーではスイッチングで失敗しても良いので新しいものを試してみようという気持ちになりやすいからです。
多くの製薬企業は顧客満足度に軸足を置いているかと思います。
満足度が高ければ、顧客のロイヤリティーは高くなると考えるからです。
このことはごく当たり前のように感じるのではないでしょうか?
しかし、顧客満足とロイヤリティーの関係を明らかにした研究結果では、顧客満足度が高くなればよりロイヤリティーは高くなるが、「満足」と「非常に満足」のロイヤリティーの差は非常に大きいことが分かっています。
「満足」しているのにロイヤリティーが低いのはなぜでしょうか?
その理由は同一市場で競合同士の競争があるからだと言われています。
あるブランドに満足していたとしても同等に満足できるブランドが他にあるのならば特定ブランドへのロイヤルティーは低くなるということです。
つまり、顧客満足度調査で「満足」という回答が得られても、顧客満足度をロイヤリティーと言う観点から見るとほとんど意味がないということになります。
すなわち「極めて高い」顧客満足度を達成しなければ、高いロイヤリティーを獲得する事が出来ないということを意味します。
クープマンモデルにおいても強者は2位に圧倒的な差をつけていますよね。
また、数ある競合製品の中から特定の製品を選択した後に、顧客は本当にこの製品で良かったのだろうか?他のブランドの方が良かったのではないだろうか?と悩んでしまうことがあります。
このように自己の内部で心理的な矛盾が生じることを認知的不協和と呼びます。
この場合においても、医薬品のように、同一クラスの薬剤間では非劣性ではあっても優越性の差が少ない製品カテゴリーであることが不協和を生じやすくする理由です。
認知的不協和が生じると人間はそれを低減させようとして選ばなかった製品の悪い点をみつけたり、選んだ製品の良い点を再確認するといったような行動や思考を取るようになります。
シェアを高め圧倒的な強者になること、優越性を得るため競合製品に対して差別化を図ることが重要です。
顧客を怒らせたり、失敗によって取引中止などは論外ですよ。