――AI時代の意思決定は「結果」ではなく「手順」を問われる

AIを使った予測や分析が当たり前になりました。医療データ、ビジネスデータ、政策データ。
「AIに聞けば答えが出る」「データを入れれば結論が出る」──そう信じられている場面を、私たちは日常的に目にします。

しかし、その多くに決定的に欠けているものがあります。
それが 分析アルゴリズム=意思決定の手順 です。

データは増えた。でも、説明は減った

RWD(リアルワールドデータ)は爆発的に増えました。
ところが意思決定の現場では、

  • なぜこの結論になったのか
  • どの前提が結果に影響したのか
  • 条件が変わったら結論はどう変わるのか

といった問いに、明確に答えられないケースが増えています。

平均値、p値、回帰係数──
数値は並んでいるのに、意思決定として監査できない
これは「データ不足」ではなく、「構造不足」の問題です。

DSA:仮説を“作る前”に、構造を固定する

DSA(Distribution Structure Analysis)は、
いきなり因果を語る前に、分布構造として何が起きているかを固定するためのアプローチです。

  • 平均に隠れた二峰性
  • 一部の層だけで起きている強い効果
  • 外れ値ではなく「尾部」に意味がある構造
  • 効く人/効かない人の分離構造

これらを探索として可視化し、仮説の候補を残す
DSAは「答えを出す手法」ではなく、
問いの置き方を監査可能にするための前段設計です。

DAG:因果の“仮定”をブラックボックスにしない

DAG(Directed Acyclic Graph)は、
因果関係を証明する魔法の道具ではありません。

DAGの本質は、

  • 何を因果と仮定したのか
  • 何を交絡とみなしたのか
  • 何を調整し、何を調整しないのか

という 因果推論の前提条件を明示すること にあります。

DAGを描くとは、
「この結論は、この仮定の上に成り立っています」と
説明責任を引き受ける行為です。

DSA+DAGが実現するもの

DSAとDAGを組み合わせることで、初めて次のことが可能になります。

  • 仮説生成(DSA)と因果検証(DAG)が混ざらない
  • なぜその仮説を選んだのかを説明できる
  • 外れたときに「どこが間違っていたか」が分かる
  • 同じデータ・同じ前提なら、誰がやっても同じ結論になる

これは予測精度の話ではありません。
意思決定の再現性と説明責任の話です。

結論:DSA+DAGは「当てるAI」ではない

DSA+DAGは、未来を当てるためのAIではありません。
不確実な世界で、

「なぜその判断をしたのか」を説明できる意思決定

を作るための設計思想です。

AI時代の競争力は、
速く答えることではなく、
答えの作り方を公開できることに移りつつあります。

DSA+DAGは、
データを「それっぽい結論」に変換する仕組みではなく、
意思決定を検証可能な構造物に変えるためのフレームワークです。