添付の図をご覧いただければ明らかなように、いまや業界・業種を問わず「一強多敗」の構図が広がっています。輸送用機器でいえばトヨタ、海運業でいえば郵船、情報通信業ではNTTが、各市場において経営資源に勝る大手企業がシェアを独占し、その他の企業が消耗戦に巻き込まれる構造が定着しつつあります。

この状況は、単に「大手が強くなったから」ではありません。問題は、戦うルールが変わったのに、戦い方だけが昔のままであることです。私はこの要因の一つにコンサルタントやビジネススクール、マーケティングセミナーがあると思います。

多くのコンサルタントやビジネススクール、マーケティングセミナーでは、いまだに4P、PPM、アンゾフの成長マトリクスなど、戦後の高度経済成長期に提唱された市場拡大前提の古典フレームワークが当然のように使われています。

そして、その根拠としてしばしば引き合いに出されるのが、あの有名な「馬車から自動車へ」という比喩です。「馬を速く走らせる努力をしても、自動車の時代には勝てない。だから、発想を変えろ」と。確かに、時代の変化に気づくことの大切さを伝えるにはわかりやすい例かもしれません。

しかし、これを語る彼ら自身が、「自動車の時代だ」と言いながら、分析フレームはいまだに馬車の設計図を使い続けているのです。「皆が知っているから」「教えやすいから」という理由で、半世紀以上前の拡大期向けフレームを使い続けるその姿勢こそが、詭弁的ロジックではないでしょうか。

戦略的思考を語る場が、実は最も時代に取り残されている。そう考えざるを得ません。

実際、現代の多くの市場は縮小期に入り、競争はゼロサムゲーム化しています。拡大期に有効だった「分け合える前提の戦略」は通用せず、戦力量がモノを言う構造が強化される一方です。

こうした状況で、かつての戦略をそのまま流用すれば、資源を持つ大企業だけが生き残る「一強多敗」が進むのは必然なのです。いま必要なのは、「自動車の時代だ」と口にすることではなく、自分たちの馬車(古いフレームワーク)を乗り換える覚悟です。