統計的に「相関がある」とは、
AとBという2つの変数が、ペアとしてどれだけ一緒に動いているか
を表しているにすぎません。

ここで見ているのは、

  • Aが大きいときにBも大きくなりやすいか
  • Aが小さいときにBも小さくなりやすいか

といった、「ペア(Aᵢ, Bᵢ)の動きの揃い方」です。
したがって、

  • AとBのヒストグラム(分布の形)がよく似ていても、
    ペアの対応がバラバラなら相関はほぼ0になります。
  • 逆に、AとBの分布の形が違っていても、
    各ペアがほぼ一直線上に並んでいれば、高い相関が得られます。

この意味で、

「統計的に相関がある」=「AとBの分布が一致している

ではなく、

「統計的に相関がある」=「AとBのペアの動きが揃っている

と理解するのが正確です。

*ミュートしています


DSAで扱う「分布構造の重なり」と因果

一方、DSA(Distribution Structure Analysis:分布構造分析)が扱うのは、
平均や分散といった単純な指標だけではなく、

  • 分布の形(歪み・尖り・多峰性など)
  • クラスターや階層構造
  • 条件付き分布の違い

といった、分布そのものの構造です。

ここでいう「分布構造の重なり」や「一致率」は、

  • ある条件(例:介入あり)のもとでのアウトカムの分布
  • その条件がなかった場合(例:介入なし、あるいは反事実)の分布

が、どれくらい似ているか/どれくらい違うかを表す指標として用います。

因果推論の文脈では、DSAはDAG(因果グラフ)と組み合わせて用いられます。

  1. DAGで「どの変数がどの変数にどう影響するか」という因果の向きとパスを仮定する
  2. そのパスに沿って、DSAで分布構造がどのように変形するかを評価する
  3. 原因側を変えたときに、結果側の分布構造が一貫してズレるなら、
    そのズレを因果効果の大きさとして解釈する

この中で、

分布構造の重なり(=一致率)

は、因果効果の大きさを表す重要な指標のひとつではありますが、
それ自体が「因果そのもの」というわけではありません。
因果の方向づけはあくまでDAGが担い、
DSAはその上で「分布構造のズレ」を定量化する役割を果たします。


まとめ

  • 統計的な相関は、AとBの分布の一致度ではなく、
    ペアデータの動きの揃い方を表す指標です。
  • DSAが扱う「分布構造の重なり(一致率)」は、
    条件の違いによる分布構造の差=因果効果の大きさを測るための部品です。
  • DSA+DAGによる因果推論では、
    DAGが因果の向きを定め、DSAが分布構造のズレを捉えることで、
    「何がどれだけアウトカムの分布を変えているか」を説明可能な形で示していきます。